医院名:川村耳鼻咽喉科クリニック 
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寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)について

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この時期に要注意! 寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)とは

治療として後鼻神経切断術が効果的

秋口になり朝晩と日中の気温差が大きくなると花粉症やダニアレルギーのようにくしゃみ、鼻水が止まらなくなり、鼻が詰まることがよくあります。秋口もヨモギやブタクサなどの花粉も飛びますので花粉症との鑑別も難しいですが、厳密には寒暖差アレルギーと花粉症は異なります。
寒暖差アレルギーの原因完全に解明されているわけではありませんが、主な原因としてとして自律神経のバランスの乱れや鼻の知覚神経の過敏で起こると考えられています。

1:寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)はどうして起こるのか

副交感神経が興奮するとくしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状が起こりやすくなります。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、臓器や血管に対して正反対の影響を及ぼしています。交感神経は主に活動の時に働く神経で、交感神経が優位になると動機が早くなり、血圧が上昇し、唾液や消化液などの分泌物は減ります。副交感神経は安静時やリラックスした時に働く神経で、副交感神経が優位になると心拍数が減り、血圧が下がり、唾液や消化液などの分泌物が増えます。
鼻の症状は副交感神経が優位になると起こりやすく、粘膜内の血管が拡張するために鼻が詰まりやすくなり、分泌物が増えるために鼻水も増えます。
したがって、昼夜逆転の生活や運動不足、脂っこいもの、偏食をしているといった食生活をしている方などの自律神経が乱れやすい生活 をしている人、ストレスの多い人などに発症しやすいと考えられています。
鼻の知覚神経が過敏になると副交感神経が興奮しやすくなります。
ただし、それ以上に大きな原因として鼻の知覚神経が過敏になっている人に起こりやすいと推測されています。鼻の中、特に下鼻甲介と呼ばれる部位の知覚神経が興奮すると、その刺激は脳に伝えられて、副交感神経を介して鼻水や鼻詰まりが起こります。また脳からの刺激が迷走神経などを通って呼吸筋(横隔筋、肋間筋など)、へと伝わりくしゃみが起こります。(図1)

アレルギー性鼻炎の方は鼻の知覚神経が過敏になりやすい状態です。
アレルギー性鼻炎では下鼻甲介の表面に付着した花粉やダニなどの抗原に反応して粘膜内の細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が知覚神経を刺激してアレルギー反応が起こります。
この知覚神経が過敏な状態になると少しの温度変化や気圧の変化、あるいは触られるといった接触刺激でも知覚神経が興奮して、アレルギー性鼻炎と同様の状態になっていると考えられます。
また、もともと花粉症やダニアレルギーなどのアレルギー性鼻炎をお持ちの方は、知覚神経が過敏な状態にあるので寒暖差アレルギーも起こりやすくなります。
したがってアレルギー性鼻炎の方は寒暖差アレルギーも起こりやすくなります。
寒暖差アレルギーは医学的には血管運動性鼻炎とほぼ同じですが、花粉やダニなどの特異的な物ではなく、温度や接触など非特異的な物に反応するので非特異的鼻過敏症と称することもあります。

2:寒暖差アレルギーの治療は?

自立神経のバランスを整える
先ほど述べたように寒暖差アレルギーは自立神経のバランスが乱れて副交感神経が優位になると起こりやすいため、自立神経のバランスを整えることが重要だと一般的には言われています。
具体的には適度な有酸素運動や筋トレによって筋肉を強化し自立神経を鍛えます。また、ストレッチなどで体の緊張感をほぐして自律神経を整える事も効果的です。また喫煙や排気ガス、化粧品などの化学物質、精神的なストレスなども自律神経のバランスを乱す要因となるので、こうした刺激となる物質をできるだけ避ける、こまめなストレス解消を心がけることも重要です。
ただし、これらのことは一朝一夕にはいかず、目に見える効果がすぐには現れないのが現実です。
薬による治療
医療機関を受診すると寒暖差アレルギーも通常のアレルギー性鼻炎とほぼ同じ症状ですので同じような薬が処方されます。その代表的なものが抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬などです。
ただ、残念ながら通常のアレルギー性鼻炎に比べて寒暖差アレルギーは薬が効きにくい場合も少なくありません。
なぜなら、通常のアレルギー性鼻炎では抗原抗体反応によって放出されたヒスタミンを代表とする化学伝達物質が神経や血管表面のヒスタミンレセプターに結合することによって刺激が伝達されますが、抗ヒスタミン薬はこのヒスタミンレセプターにヒスタミンが結合するのを阻害することによって知覚神経の刺激伝達を押さえてアレルギー症状を起こりにくくしています。(図2)

ところが寒暖差アレルギーではヒスタミンなどの化学伝達物質の刺激ではなく、知覚神経が温度変化などで直接刺激されることが主な原因ですのでヒスタミンの結合を押さえても薬では効果が出にくいと考えられています。
レーザー手術
炭酸ガスレーザーやラジオ波などで主に反応が起こる下鼻甲介の粘膜表面を焼灼(焼く)方法です。外来にて10分程度で行うことができ、疼痛もほぼ無く安全性も高いので通常のアレルギー性鼻炎にはよく行われる手術療法です。
この方法がなぜアレルギー性鼻炎に有効かと言うと、焼灼した下鼻甲介粘膜は抗原がしみこみにくい硬い粘膜へと変性します。抗原がしみこみにくいということは粘膜内の肥満細胞などアレルギーを起こす細胞と反応しにくくなりますので、化学伝達物質の放出が減り、アレルギー症状が少なくなると考えられています。(図3) 

ただし、さきほどの薬の項目でも説明したのと同様に、寒暖差アレルギーでは化学伝達物質の刺激ではなく、知覚神経が温度変化などで直接刺激されることが主な原因ですので通常のアレルギー性鼻炎に比べると効果が現れにくい傾向にあります。

後鼻神経切断術
寒暖差アレルギーやアレルギー性鼻炎が起こる部位は鼻の入り口近くに左右一対ある下鼻甲介と呼ばれる突起です。
下鼻甲介の深部には化学伝達物質の刺激や寒暖差などの温度変化の刺激を脳へと伝える知覚神経(三叉神経)と脳からの刺激を鼻に伝えて鼻水や鼻詰まりを起こさせる自立神経(分泌性の副交感神経を含む)が走行します。これら下鼻甲介に分布する覚神経と自立神経後鼻神経は、あわせて後鼻神経と名付けられています。知覚神経や自立神経そのものは他の体全体の臓器と同様に鼻腔内全体に分布していますが、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどのアレルギー症状はこの後鼻神経が約半分を司るとされています。
鼻詰まりは鼻中隔などの骨の形の影響も受けますので、その場合は骨形態の矯正も必要ですが、くしゃみ、鼻水は後鼻神経の反応を抑えることができれば症状は軽くなります。
寒暖差アレルギーはこれらの知覚神経や自立神経の過敏、アンバランスによって引き起こされるのでこの神経を切断する後鼻神経切断術が有効と考えられています。(図4)

 

神経を切断すると聞くと、怖いイメージや何か大きな機能損失があるのではないかと誰でも心配になると思いますが、上に述べたように後鼻神経以外にも鼻に神経は存在しますので、全く鼻水が出なくなって鼻がカラカラに乾燥するわけではありません。個人差はありますが過敏な反応で多すぎる鼻水が半分程度になることがほとんどです。もちろん臭いを感じる神経は別の場所に存在しますので嗅覚が弱くなることもありませんし、鼻の知覚がなくなるわけでもありません。

(詳しくはこのHP内の「後鼻神経切断術ついて(粘膜下下甲介骨切除術を含む)」をご参照下さい)
当院ではこの後鼻神経切断術を日帰りの局所麻酔下や一泊の全身麻酔下でも行っております。
寒暖差アレルギーでお悩みの方は一度ご相談下さい。