医院名:川村耳鼻咽喉科クリニック 
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2020年:今年のスギ・ヒノキ花粉症予想とその対策

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今年の花粉飛散予想

昨年(2019年)は近畿地方を含めて全国的にもスギ・ヒノキ花粉飛散量の多い年でした。例年症状の出ない方も花粉症で苦しんだり、例年以上の強い症状に悩まされた方も多かったと思います。
では今年の花粉症はどうでしょうか?
日本気象協会などの予想によりますと2020年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散は、九州から関東甲信にかけて広い範囲で例年に比べて少ないとの予測です。とくに、九州は非常に少なく、近畿や中国地方でも、飛散が非常に少ない地域があるようです。近畿地方では例年の約半分である50%、飛散量の多かった昨年に比べると30%との予想です。ほっと一安心ですね。
一般的に花粉飛散量は前年が多いと翌年は少なく、前年が少ないと翌年は多くなる傾向があります。また、それ以外に前年の夏の気温が高く、日照時間が長く、雨が少なければ翌年の飛散量が多くなると言われています。
一方、飛散開始時期は1月以降、春先にかけて気温が高めだと、飛散時期は早まります。
今年は暖冬傾向ですので1月の気温は高めです、2月は平年並みとなる予想で飛散開始時期も平年並みで大阪では2月下旬の予想です。

花粉症の対策

1:花粉を体内に入れない

最も基本的で安全な対策です。一般的によく言われていることですが、外出先では花粉が顔に触れないように帽子やマスクをして、サングラスやメガネをかける。うがいや洗顔で、花粉を洗い流す。外出の場合はできるだけツルツルとして凹凸のない素材の服を選ぶ。帰宅時は花粉を払い落とすなどのセルフケアも重要です。

2:初期療法

初期療法とは花粉が飛び始める1~2週間前をめどに薬の治療を開始することです。初期療法により症状が出る時期を遅らせ、飛散中の症状も軽く押さえられ、症状の終了を早めることができると言われています。
初期療法に使用される薬は、例年の症状や程度などによって異なります。くしゃみ、鼻水が中心の場合は基本的には抗ヒスタミン剤を用い、鼻づまりも強い場合はステロイドの点鼻薬も使用します。ただし初期療法により症状が軽くなったからといって花粉シーズン途中で治療をやめてしまうと症状がひどくなることがあります。花粉シーズン中は服用し続けることが大切です。

3:ラジオ波凝固術(下鼻甲介焼灼術 レーザー手術)

凝固術(焼灼術)とは

花粉症の反応部位である鼻の粘膜をレーザーやラジオ波高周波などで焼く(正確には焼灼する)方法です。粘膜を焼くと聞くと怖い感じもしますが、すでに30年以上前から行われている治療法で安全性が高いことも知られています。局所に麻酔をすれば痛みもほぼ無く5~10分程度で終わる手術です。
鼻の入り口に近く、花粉が付着する下鼻甲介(かびこうかい)を炭酸ガスレーザーやラジオ波などで焼く事により、粘膜が収縮(縮む)するので鼻のつまりが改善され、焼いた後の粘膜は花粉成分が浸透しにくくなるのでアレルギー反応が少なくなります(図1)。

ラジオ波凝固術とレーザー手術の違い

粘膜を焼く方法として最も一般的なのは炭酸ガスレーザーですが、そのほかにアルゴンプラズマや当院で行っているラジオ波などもあります。当院でラジオ波による焼灼を行っている理由としてはラジオ波の方がその他の方法に比較して強く、深く焼けるために効果が高い事があげられます。したがって効果の持続期間も長く平均すると2~3年は持続するようです。ただし術後しばらくはかさぶたが厚く付きますので、そのための鼻詰まりが起こります、またかさぶたに伴って少し血が混じった粘調な鼻水も1~2週間続きます。したがって効果が十分出るのには1ヶ月ほどかかります。
かさぶたが付着するのは悪い面のみではなく、かさぶたによって花粉などの抗原が粘膜にしみこむのを防いでくれる面もあります。その点からはラジオ波凝固術は花粉飛散期でも手術可能です。一方、レーザー手術などでは焼灼の深度が浅いのでかさぶたの付着も少なく、術後の鼻詰まりも軽くすみますが、かさぶたが落ちた粘膜表面に花粉が付着すると強いアレルギー症状が出る場合があります。したがってレーザー手術はかさぶたがなくなって新しい粘膜が生え替わってから花粉時期を迎えるように1月までに手術をおこなうのが理想的です。
下の表にラジオ波手術とレーザー手術と主な相違点、メリット、デメリットをまとめました。ご参照下さい。

ラジオ波と炭酸ガスレーザー比較
比較項目 ラジオ波 炭酸ガスレーザー
回数 一回で効果がでる 数回必要なことがある
効果の持続 平均2~3年 平均1年
鼻詰まりへの効果 強い やや弱い
かさぶた 厚い 薄い
手術時期 いつでも 花粉飛散前
凝固術の効果が期待できない方とは

凝固術(焼灼術)は粘膜のみに対する手術で粘膜を縮めて鼻を広くする効果と、抗原がしみこみにくい粘膜にして(いわゆるバリアーをかぶせるイメージです)アレルギー反応を抑える効果があります。
ただ、下鼻甲介の骨が大きい場合はそれ以上には縮みませんので鼻詰まりが十分に改善しない場合もあり、鼻中隔が曲がっているような場合はそのために手術機械が入らず、十分凝固できない場合もあります。また、鼻中隔が曲がっているとそのための鼻詰まりも起こります。そのような方には鼻中隔矯正術や下鼻甲介骨に対する手術が必要な場合もあります。
アレルギー性鼻炎(花粉症)に対する手術治療の選び方をご参照下さい。
また、くしゃみや鼻水が多い場合も凝固術(焼灼術)ではやや効果が劣ります。そのような場合はくしゃみ、鼻水に関連する後鼻神経に対する手術が適応となる場合もあります。アレルギー性鼻炎(花粉症)に対する手術治療の選び方後鼻神経切断術についてをご参照下さい。

4:舌下免疫療法

舌下免疫療法とは最近注目されている治療法で病気の原因となるもの(アレルゲンと言います)を少ない量からゆっくり増やして体内にいれて治そうとする方法です。以前は皮下注射で行っていましたが、近年はアレルギー物質を含むエキスを舌の裏に滴下し、これを約2分間舌下に保持してもらい、その後吐き出す舌下免疫療法が開発されました。最初の4週間滴下を毎日1回行い、その後は週1回行います。滴下は家で行いますので、毎日の通院は不要ですが、1ヶ月に1回程度の通院は必要となります。効果は20%で花粉症が治癒し、30%以上でかなり楽になり20~30%で症状はあるが以前より楽になり、10~20%では無効との報告があります。
ただし効果はすぐには現れず、治療には最低でも3年以上かかります。また花粉時期には始められず、スギ花粉飛散期はスギ花粉に対する患者さんの過敏性が高まっていることから、6月から11月末までのあいだに治療を開始します。12月を過ぎてしまうとスギ花粉の飛散が終了する6月まで新たに治療を開始することはできません。
重大な副作用としてアレルギー物質を含むエキスを投与することで治療を行いますので、稀ではありますがアレルギー反応が起きる可能性があります。(とくに重篤な場合ではアナフィラキシーショックとよばれる救急搬送されるような強いアレルギー反応を生じる可能性があります。ハチ毒や食物アレルギーによる事例が有名です

当院ではこの舌下免疫療法は行っておりませんのでご希望の方には当該医療機関を紹介致します。
以上、今年(2020年)の花粉症予想とその対策についてお話しました。是非、これを参考に花粉シーズンを快適にお過ごし下さい。