好酸球性副鼻腔炎の診断基準

好酸球性副鼻腔炎の診断基準は? 症状・治療法を徹底解説

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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近年、増加している「好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)」は、難治性の副鼻腔炎です。現代医学であらゆる治療を行っても治りにくい疾患で、難病指定されています。粘性の高い鼻水や嗅覚障害・喘息(ぜんそく)などの症状は、好酸球性副鼻腔炎の可能性があるのです。ただし、専門の医療施設で検査しなければ分かりません。また、治療が困難な病気でもあるため、長期間にわたっての治療が必要となります。悪化させないためには、早めに治療を始めることが大切でしょう。

本記事では、そんな好酸球性副鼻腔炎の診断基準・治療法など説明します。

  1. 好酸球性副鼻腔炎とは
  2. 好酸球性副鼻腔炎~セルフチェック法
  3. 好酸球性副鼻腔炎~診断基準について
  4. 好酸球性副鼻腔炎~治療法
  5. 好酸球性副鼻腔炎~手術について
  6. 好酸球性副鼻腔炎~耳鼻咽喉科の選び方
  7. 好酸球性副鼻腔炎に関してよくある質問

この記事を読むことで、好酸球性副鼻腔炎の治療に必要な知識を身につけることができます。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.好酸球性副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎とはどのような病気なのでしょうか。主な症状・原因・なりやすい人・放置の危険性について説明します。

1-1.どんな病気か

好酸球性副鼻腔炎とは難治性の副鼻腔炎で、鼻茸(はなたけ)や副鼻腔粘膜へ好酸球が浸潤する特徴があります。好酸球とは、アレルギー性疾患・寄生虫症などの際に増加する白血球の1種です。一般的に、好酸球性副鼻腔炎はあまり知られていない病気ですが、平成27年7月1日に指定難病になりました。治療が極めて難しく、長期間にわたる通院治療が必要とされています。

1-2.主な症状

代表的な症状が、頑固な鼻づまりです。鼻茸=ポリープが数多くでき、常に鼻で呼吸できない状態となります。また、副鼻腔炎と同じ膿性・粘性鼻汁(ねんせいびじゅう)などの症状もありますが、強めの嗅覚障害が特徴です。最悪な状態になると、まったくにおいが分からなくなり、味覚を失う可能性があります。ほかにも、目の奥の痛み・頭痛などの症状が起こるでしょう。

1-3.主な原因

今のところ、ハッキリとした原因は分かっていません。何らかの原因で好酸球が増加し、免疫機能の働きが過剰になって起きているといわれています。「好酸球性副鼻腔炎の診断ガイドライン」によると、気管支喘息の治療変化・頻回な鎮痛剤の使用などが複雑に絡み合って発症に関与しているとされているのです。

1-4.なりやすい人・患者数

好酸球性副鼻腔炎は、気管支喘息の人に多く起こるといわれています。副鼻腔炎と喘息は密接に関係しており、喘息患者の約40~73%が慢性副鼻腔炎を合併しているのです。そのため、好酸球性副鼻腔炎も喘息と大きく関係しているといえるでしょう。気管支喘息を起こしてから好酸球性副鼻腔炎になるのか、好酸球性副鼻腔炎になってから気管支喘息になるのかは判明していません。今までの調査によると、ほとんど同じ割合で起きているといわれています。
また、好酸球性副鼻腔炎の患者数は、鼻茸が存在する慢性副鼻腔炎患者20万人のうち10分の1にあたる約2万人です。現在は増加傾向にあり、さらに患者が増えるといわれています。

1-5.放置するとどうなるか

放置するほど、鼻の中にできた鼻茸(ポリープ)が外に出るほど大きくなる可能性があります。風邪・ウイルスなどの感染症を起こすと、その刺激によって鼻茸が成長するのです。その結果、重度の鼻づまりが起き、自然と口呼吸になり、喘息を発症する可能性が高くなります。日常生活にも大きな支障をきたすでしょう。

2.好酸球性副鼻腔炎~セルフチェック法

「もしかしたら、好酸球性副鼻腔炎かも」と気になっている方は、チェックリストを確認しましょう。

2-1.チェックリスト

以下の項目に当てはまる方は、好酸球性鼻腔炎の可能性があります。

  • 粘っこい鼻水がたくさん出る
  • 最近、鼻づまりがひどい
  • 鼻の中にポリープができている、次から次へとできる
  • 嗅覚が低下した・味覚が落ちたように感じる
  • 息苦しく感じるときがある
  • 耳だれが出てきた

あくまでセルフチェックとなるため、少しでも異変を感じたら受診することをおすすめします。放置するほど状態も悪化するので、早めに検査を受けてください。

3.好酸球性副鼻腔炎~診断基準について

好酸球性副鼻腔炎の診断方法・診断基準についてチェックしましょう。

3-1.診断方法

主に、血液検査・鼻茸の有無・CT撮影などを行い、その結果を見ながら診断することになります。詳しくは、次項の【3-2.診断基準】で説明しますが、診察の際には具体的に症状を伝えてください。いつから症状が起きているのか、どんな症状が出ているのかなど伝えることが大切です。

3-2.診断基準とは

好酸球性副鼻腔炎の診断基準は以下のとおりです。

  • 病側・両側:3点
  • 鼻茸あり:2点
  • CTにて篩骨洞(しこつどう)の陰影あり:2点
  • 血液検査で好酸球が2%より多く5%以下:4点
  • 血液検査で好酸球が5%より多く10%以下:8点
  • 血液検査で好酸球が10%より多い:10点

以上の項目で、合計点が11点以上の場合が「好酸球性副鼻腔炎」として診断されます。この中でも大きなポイントは鼻茸です。鼻茸がなくてもスコアで評価されますが、鼻茸がなければほかの病気が疑われる可能性があります。

4.好酸球性副鼻腔炎~治療法

では、好酸球性副鼻腔炎の治療にはどのような方法があるのでしょうか。

4-1.どんな治療法があるのか

通常の慢性副鼻腔炎と異なり、抗生物質の内服などでは治りにくいことが分かっています。そのため、好酸球性副鼻腔炎の治療は、ステロイド薬と手術を組み合わせて行うことが多いのです。まず、ステロイド薬を内服して、鼻づまり・においが改善できるかどうか確認します。改善できない場合は、手術を考慮して治療が行われるという流れです。

4-2.薬について

好酸球性副鼻腔炎に使われる薬は、ステロイド薬のほかに、ロイコトリエン拮抗薬・点鼻薬・抗アレルギー薬を使用します。鼻茸の状態や症状などによって使用する薬が異なるため、きちんと検査することが大切です。ただし、好酸球性副鼻腔炎の場合は喘息・味覚障害と合併した重症例が多いので、鼻茸を取りのぞく手術を第一に考えます。

4-3.子どもの場合

難病情報センター」によると、好酸球性副鼻腔炎は、ほとんど20歳以上の成人になってから発症し、15歳以下の子どもでは発症しないと記載されています。ただし、稀(まれ)に発症することもあるといわれているため、症状が現れた際は念のため受診したほうがよいでしょう。

4-4.注意点

適切な治療を受けるためには、きちんと医療施設で検査を行う必要があります。自然と治る病気ではありませんので、早めに受診して治療を始めてください。また、治療を行う前は、どんな効果があるのか、どんな薬を使うのかも確認が必要です。

5.好酸球性副鼻腔炎~手術について

それでは、好酸球性副鼻腔炎の手術について詳しく説明します。

5-1.手術が必要な場合

鼻茸ができている場合は、除去手術を行います。手術で鼻茸を取りのぞいた後に、ステロイド薬などの局所・薬物療法を行うという流れです。また、先にステロイド薬を使用しても症状が緩和できなかった場合に、手術が行われることもあります。

5-2.メリット・デメリット

好酸球性副鼻腔炎は再発することが多く、現時点で根本治療が見つかっていません。しかし、一度手術を行えば、術後は洗浄液での鼻洗浄が効果を発揮します。鼻洗浄を行うことで再発防止ができ、継続的に症状を軽減することが可能です。ただし、手術をすれば終わりというわけではありませんので注意してください。再発防止のためには、手術後も経過観察が必要です。

5-3.手術の種類と方法

好酸球性副鼻腔炎の手術といえば、「内視鏡下鼻副鼻腔手術」が代表的です。局所麻酔を十分に行った後、内視鏡を挿入して鼻内をモニターに映しながら手術を行います。この手術の大きなメリットは、従来法よりも体に対するダメージが少ないことです。術後の出血・顔の腫れが少なく、しびれ感もありません。
また、ほかにも「鼻中隔弯曲矯正術」という、鼻中隔の曲がっている部分の骨・軟骨を粘膜下に摘出する手術があります。手術は鼻内から行うため、顔を切開する必要はありません。鼻の外形にも影響しないので、女性でも安心して受けることができます。

5-4.手術時間・入院日数

多くの病院では入院が必要ですが一部の診療所では日帰りで行う場合もあります。ただし、重度の症状や全身麻酔が必要になると入院が必要になることもあります。入院期間は1週間が目安ですが、当院のような一部の医療機関では1~2泊の短期滞在で行う場合もあります。手術時間は約1~2時間です。具体的な時間は症状・状態で異なるため、事前に確認してください。

5-5.費用について

好酸球性副鼻腔炎の手術費用は、保険適用で約5万~15万円でしょう。しかし、重度の場合は入院費用が加算されるため、約20万~30万円を考えておいたほうがよいです。ただし高額療養費制度の適応になることが多いので平均的な年収であれば自己負担は10万円弱になることが多いでしょう。個室を希望すれば、さらに金額が増えます。好酸球性副鼻腔炎は手術後の経過も必要なので、費用がかさむ可能性があるでしょう。

5-6.再発について

好酸球性副鼻腔炎は、再発のリスクが高い副鼻腔炎です。特に喘息や非ステロイド系解熱鎮痛剤アレルギー等の合併症があったり、重症の場合ほど再発率は高くなります。ただ、きちんと手術を行い、ステロイド薬などの内服薬を投与していけばリスクが軽減できます。再発を防ぐためには、外来での経過観察が必要です。すぐに完治できる病気ではありませんが、根気強く治療を続けていけば症状が軽減できる可能性があります。

5-7.注意点

治療費が高額になる場合は、健康保険の高額療養費制度が利用できます。高額療養費制度は、保険の自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される制度です。しかし、入院時の食費・食事代は含まれていませんので注意してくださいね。

6.好酸球性副鼻腔炎~耳鼻咽喉科の選び方

適切な治療を受けるためには、耳鼻咽喉科を慎重に選ばなければなりません。ここでは、選び方のポイントと料金・注意点を説明します。

6-1.選び方のポイント

どの耳鼻咽喉科で治療を受けるべきか悩むときは、以下のポイントに注目してください。

  • 好酸球性副鼻腔炎などの手術・治療実績がある
  • 丁寧な対応と説明をしてくれる
  • 口コミ・評判がよい
  • 日帰り手術・1泊2日の手術に対応している
  • 治療前にきちんと検査を行う

丁寧な説明をしてくれる耳鼻咽喉科なら、安心して治療を受けることができるでしょう。「川村耳鼻咽喉科」では、CTスキャナーを完備しており、徹底的な検査を行います。治療前には、患者さんが安心していただけるように、丁寧な説明を心がけていますのでご安心ください。

6-2.注意点

耳鼻咽喉科の中には、きちんと説明を行わずに治療を始めるところがあります。何が原因で症状が起きているのか分からずに治療を始めても、不安で仕方ありませんよね。治療前にきちんと説明してくれるのか、見極めることが大切です。また、治療にいくらかかるのか確認するようにしましょう。

7.好酸球性副鼻腔炎に関してよくある質問

好酸球性副鼻腔炎に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.遺伝する病気なのか?
A.遺伝がきっかけで好酸球性鼻腔炎が発症したという報告はありません。ただし、両親が気管支喘息の場合、子どもが気管支喘息を発症する可能性が高まります。気管支喘息と好酸球性副鼻腔炎は深いつながりがあるため、その影響から発症する可能性がゼロとは断言できません。

Q.どのような経過をたどるのか?
A.軽度の場合は、ステロイドを内服させた保存的医療を行います。一旦、ほとんどの方が緩和しますが、ステロイド投与をやめると再び症状が起こる可能性があるのです。経過が反復するほど鼻茸も大きくなり、重症になりますので副鼻腔手術を行います。手術後、症状は改善しますが、再発すれば再び保存的治療・再手術を行うことになるでしょう。

Q.ステロイド薬に副作用はあるのか?
A.血圧・血糖値が高くなる・カビや細菌に感染しやすくなる・眼圧の上昇・胃潰瘍(いかいよう)になりやすくなるなどの副作用があります。副作用が心配な方は、使用前に医師へ確認しましょう。

Q.日常生活での注意点とは?
A.風邪を引くと症状が悪化するため、手洗い・うがいを徹底してください。規則正しい生活習慣・栄養バランスの整った食生活を心がけましょう。

Q.鼻づまりがひどいときはどうすべきか?
A.できるだけ、早めに受診することをおすすめします。どうしても病院へ行けないときは、温かい蒸しタオルを鼻に当てて血流を促しましょう。鼻づまりは血流が悪化している状態なので、鼻の血流をよくすることが第一です。

まとめ

いかがでしたか? 好酸球性副鼻腔炎は、普通の副鼻腔炎よりも治りにくいため、指定難病になっています。完治するための治療法は見つかっていませんが、適切な治療を行えば症状が緩和できる可能性があるので安心してください。大切なのは、根気強く治療を続けることです。手術や、ステロイド内服薬などの薬物療法を併用して、治療を行いましょう。早めに受診することで、軽度のうちから治療を始めることができます。少しでも異変がある場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診してくださいね。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績