顎関節症を学んで治療しよう

噛むと耳が痛い症状、実は病気かも? 顎関節症の治療方法

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

生きるためには絶対に欠かせない食事。その大切な食事のときに困るのが、噛むと耳が痛いという症状です。この症状、実は顎関節症によるものかも知れません。顎関節症は50%の人が一生のうちに1回は発症するといわれており、悩んでいる方はとても多いでしょう。そこで、今回は⽿の痛みと顎関節症の関連性、そして、そのほかに考えられる病気についてご紹介していきます。

  1. 噛むと⽿が痛い! その原因、顎関節症かも?
  2. 噛むと⽿が痛い! 考えられる病気は?
  3. 噛むと⽿が痛いときの対処・治療法
  4. 顎関節症にまつわるよくある質問

この記事を読むことで噛むと⽿が痛くなる原因を知ることができます。原因を知って、つらい症状を改善させましょう!

1.噛むと⽿が痛い! その原因、顎関節症かも?

1-1.痛みの症状と主な原因

⽿の奥、こめかみ、目の奥など、⽿周りに痛みが発生することがあります。このような⽿周りの痛みは、顎関節症の典型的な症状です。

1-2.顎関節症とは?

顎関節症とは、顎のかみ合わせがずれるなどの理由によって発生する、慢性的な疾患のことです。顎の関節は、実は⽿のすぐ近くにあります。⽿の下を抑え、口を開閉させて確認してみてください。関節がずれてしまうと、⽿の付近に炎症を起こすことがあります。すると、顎の痛みが⽿やこめかみ、目の痛みとなって感じるのです。そのため、間違えて⽿鼻科や眼科に行ってしまい、原因不明と判断されて困ってしまう人が多いとされています。

1-3.顎関節症の原因は?

顎関節症を引き起こす原因は、習慣にあるといわれています。以下のような習慣を持っている方は、顎関節症のリスクが高くなるでしょう。

  • 頬杖(ほおづえ)をつく
  • 片側の顎でだけ物を噛む(右利きなら右、左利きなら左が多い)
  • 寝る向きがいつも同じ
  • 寝ているときに歯ぎしりをしてしまう
顎関節症で耳が痛むこともあるんですね。
はい。耳鼻咽喉科に行っても異常なしと診断されてしまうこともあります。

2.噛むと⽿が痛い! 考えられる病気は?

2-1.顎関節症

一番に考えられるのは、やはり顎関節症でしょう。顎関節症の代表的な症状は以下のとおりです。

  • 顎がロックされて口が開閉できない
  • 口を開閉すると「ガクッガクッ」と音がする
  • 顎が痛い
  • ⽿が痛い
  • 目の奥が痛い
  • 頭痛がする

この中でも、特に上から2つの症状が出ている場合は、ほぼ確実に顎関節症です。顎関節症の治療を行っている病院に行きしましょう。

2-2.限局性外⽿道炎

外⽿道の外側3分の1の部分に発生する炎症のことを、限局性外⽿道炎といいます。限局性外⽿道炎の主な症状は以下のとおりです。

  • 物を噛むときに⽿が痛む
  • ⽿たぶを引っ張ったときに痛む
  • 慢性的に⽿が痛む
  • ⽿の周辺が腫れる
  • 口を開閉させづらい

物を食べたときに⽿が痛んだり口を開閉させづらかったり、と顎関節症に似た症状があるので間違えないようにする必要があります。

2-3.⽿下腺炎

⽿の周りにある唾液腺と呼ばれる場所が炎症を起こして発生する疾患です。唾液が分泌される際に、炎症を起こしている場所に痛みを感じるでしょう。

  • 物を噛むと⽿の周りが痛む
  • 食事後、⽿の周りが腫れてくる
  • 熱が出ている

2-4.注意点

ここまでご紹介してきたように、⽿が痛いという症状だけでは病名は判断できません。ですから、一つの症状だけではなく、ほかの症状も出ていないか、自分に問いかけてみましょう。

個人では判断が難しそうですね。
はい。できれば耳鼻咽喉科を受診し、原因がつかめなければ口腔外科を併設している歯科も受診してみてください。

3.噛むと⽿が痛いときの対処・治療法

3-1.受診のポイント

⽿が痛いといっても、受診すべき場合としなくても問題ない場合があります。受診すべき場合は、ここまでご紹介してきたような症状の場合は、治療が必要です。必ず病院に行きましょう。

逆に、受診の必要がない場合の代表例といえば、『酸っぱいものを見たり口に入れたりすると、⽿の下部が痛くなる』というもの。これは酸っぱい食べ物は、唾液腺を刺激して唾液を多く分泌させるからです。唾液が分泌される際に、痛みを感じます。

3-2.何科へ行けばいい?

まずは顎関節症の場合です。顎関節症の治療・矯正は歯科や口腔(こうくう)外科が行っています。次に限局性外⽿道炎です。この疾患は耳鼻咽喉科の範囲なので、間違えて歯科医院や口腔(こうくう)外科に行ってしまうと、顎関節症と診断されるかもしれません。ご紹介したチェックポイントをしっかりと確認してくださいね。また、⽿下腺炎が疑わしい場合も耳鼻咽喉科に受診するのが一般的です。

3-3.自分でできる対処法は?

自分で治すというのは大変です。治ったとしても、長い時間がかかったり、完治せずに再発してしまったりしてまうこともあります。できれば自分で対処しようとせず、早めに病院に行きましょう。

仕事や学校などで、なかなか病院に行く時間が取れない方もいますよね。そのような方は、痛み止めを飲むことで一時的に痛みを取ることが可能です。ドラッグストアで、ロキソニンなどの痛み止めが販売されています。

3-4.やってはいけないこと

上記にて『痛み止め』という対処法をご紹介しました。しかし、子供、特に幼い子供の場合は、市販の薬を使うと危険な場合があります。セルフジャッジはやめて、必ず医師の診断のもとで薬を服用するようにしましょう。

また、子供は症状を正確に伝えることができません。病院に行っても症状が改善しない場合は、セカンドオピニオンを視野に入れるようにしましょう。

痛みを止めても根本的な解決にはならないんですね。
はい。痛みが続く場合は、まず病院に行きましょう。

4.顎関節症にまつわる質問

Q.顎関節症による弊害はありますか?
A.真っ先に挙げられる弊害といえば、顔面のゆがみでしょう。顎がガクガクしている状態というのは、簡単にいえば骨同士が擦れている状態です。その状態で放置していると擦れている部分の骨が削れていきます。そのため、顔がゆがんでいってしまうのです。また、肩こりや腰痛、手足のしびれなどを合併する方もいます。

Q.歯並びと顎関節症に関係性はありますか?
A.関係あります。歯並びが悪い人は顎を閉じたときに不安定になりやすいので、顎関節症になるリスクが高まるからです。

Q.どのような治療をするのですか?
A.一般的には専用のマウスピースをつけて矯正を行います。マウスピースなどでの矯正でも改善できない場合には、外科的な手術が行われることもあるでしょう。また、顎関節症は体全体のゆがみが原因でもあるため、生活習慣の指導なども行われます。

Q.性別や年齢と関係はありますか?
A.どの年齢でも発生する可能性はありますが、一般的には男性よりも女性に多く、年齢に関しても20~30代に多いとされています。これは顎関節症の原因の一つに、顎関節を支える筋肉の弱さがあるからです。昔の人に比べ、最近の若年層は柔らかいものを食べて育っています。そのため、顎周りの筋肉が発達していません。特に女性はそれが顕著のため、発症しやすいとされています。

Q.何の病気かわからない場合は何かに行けばいいですか?
A.小さいお子さんに症状が出た場合などは、正確に症状を聞き取れないこともあるでしょう。何の病院に連れていけばいいのかわからないこともありますよね。そのような場合は、まず耳鼻咽喉科に受診するのが良いでしょう。なぜかというと、耳鼻咽喉科は⽿に関する症状だけでなく、顎関節症についても治療を行っているからです。

まとめ

今回は顎関節症と⽿の痛みに関する情報をご紹介しました。⽿の痛みで疑われる病気には、顎関節症や限局性外⽿道炎、⽿下腺炎等が挙げられます。自分で治療することはできませんが、痛み自体はロキソニン等の痛み止めで対処が可能です。しかし、根本的な治療にはならないので、必ず病院に行きましょう。受診すべき科については耳鼻咽喉科がおすすめです。疑わしい症状を発生した際には、できるだけ早めに耳鼻咽喉科に行きましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績