副鼻腔炎の原因

鼻粘膜の腫れが副鼻腔炎の原因に? 鼻づまりを治す解消法を紹介

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

鼻づまりは、不眠の原因になることもあるほど、不快でつらい症状です。時には、鼻の奥が痛むこともあります。続く症状を放置し、副鼻腔(ふくびくう)炎など治しにくい病気になることもあるでしょう。こうした鼻の異常は、粘膜の腫れが原因であることも少なくありません。長引く鼻づまりで生活しにくいと感じることもあるため、早期治療が重要です。

そこで今回は、鼻づまりや鼻粘膜の腫れに関する情報をご紹介します。鼻のトラブルが続いている方は必見です。

  1. 鼻の粘膜はどんなもの?
  2. 鼻粘膜の腫れについて
  3. 鼻の粘膜が腫れるとどうなる?
  4. 鼻粘膜の腫れに関するセルフチェック
  5. 鼻粘膜の腫れに関するセルフケアや予防法
  6. 鼻粘膜の腫れを治療する方法
  7. 鼻粘膜の腫れに関するよくある質問
  8. まとめ

この記事を読むことで、鼻粘膜とはどのようなものか、腫れた場合に考えられる病気などが理解できます。たかが鼻づまりと安易に捉(とら)えず、深刻な病気に移行する前に正しく治療しましょう。

1.鼻の粘膜はどんなもの?

まず、鼻の粘膜に関する基礎知識からご紹介します。

1-1.鼻の構造

鼻は、鼻中隔という仕切りで2つに区切られています。奥は副鼻腔(ふくびくう)という空間で、表面はひだ状の粘膜です。鼻はのどとつながっており、後鼻孔という空洞がのどの上部にあります。

1-2.鼻粘膜について

副鼻腔(ふくびくう)には粘膜に覆われた骨の隆起があり、上にあるものを中鼻甲介(ちゅうびこうかい)、側壁にあるものを下鼻甲介(かびこうかい)と呼びます。副鼻腔(ふくびくう)は顔全体に空洞を形成しているのが特徴です。空洞には名称があり、それぞれ上顎洞(じょうがくどう)・前頭洞(ぜんとうどう)・篩骨洞(しこつどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)となります。

1-3.鼻粘膜が持つ働き

鼻粘膜は、外部から異物侵入を防御する働きをしています。そのため、常に湿り気がある状態にあり、異物をすくい取ったきれいな空気だけを体内に送り込むようになっているのです。ごみやほこり以外に、ウイルスなどの侵入も防ぐ働きをしています。

1-4.鼻粘膜の重要性

前述にて、鼻粘膜が異物の侵入を防ぐ役割があるとご説明しました。まっすぐ鼻の穴が伸びていることが、正常に機能する条件です。しかし、何らかの要因で腫れが起こり、鼻のとおりが悪くなることがあります。鼻粘膜が狭窄(きょうさく)し、息苦しさや鼻づまりが起こるのです。鼻中隔湾曲症という病気の可能性もあります。

2.鼻粘膜の腫れについて

鼻の粘膜はデリケートです。新生児や赤ちゃんは鼻の穴が細く、大人より鼻づまりを起こしやすいため、より注意が必要でしょう。鼻粘膜が腫れる原因などについてご紹介します。

2-1.鼻粘膜は腫れやすい?

鼻粘膜は、風邪や花粉症などにかかった場合、傷ついてただれることがあります。腫れが慢性化し、鼻腔(びくう)の肥厚が起こって、腫れが長引いて治りにくくなるのです。

2-2.鼻粘膜が腫れる原因は?

鼻の中は湿気がある状態が理想です。ところが、冬や乾燥が激しい時期は、鼻粘膜も乾きやすく、傷や腫れが起こります。湿度・気温が低い時期はウイルスの活動も活発であるため、より異常を示しやすいでしょう。

2-3.鼻粘膜は腫れに弱い?

鼻粘膜はわずかな刺激でも腫れやすいです。特に、花粉症やアレルギー性鼻炎は、鼻粘膜が常に腫れています。刺激により敏感になり、鼻粘膜の肥厚や慢性鼻炎に移行しやすいです。

3.鼻の粘膜が腫れるとどうなる?

鼻づまりや鼻水が、鼻粘膜の異常を示す代表的なサインです。腫れた場合に感じやすい症状をご紹介します。

3-1.鼻粘膜の腫れによる症状

鼻粘膜が腫れると呼吸がしにくくなり、息苦しさや違和感を抱くようになります。炎症によって刺激を受けやすく、鼻の奥がしみる痛みを感じる場合もあるでしょう。鼻粘膜の腫れで最も多い症状は、鼻づまりです。大人でも子供でも起こります。赤ちゃんは自分で鼻をかめないため、鼻水を吸い出す処置を行うと楽になるでしょう。

鼻粘膜の腫れによって鼻呼吸ができず、口呼吸になりやすいです。そのため、のどが乾燥して炎症を起こし、痛みを感じる場合もあります。

3-2.鼻粘膜の腫れに関連する病気は?

鼻の粘膜が腫れる病気は、風邪や感染症に伴う鼻炎・アレルギー性鼻炎・花粉症をはじめ、広範囲の炎症に発展する副鼻腔(ふくびくう)炎などがあります。

鼻づまりをきちんと解消せず、だらだらと経過観察しているうちに、副鼻腔(ふくびくう)に膿(うみ)が溜(た)まるのです。副鼻腔(ふくびくう)炎は鼻だけではなく、顔中に痛みが広がることもあり、抗生物質による治療を行わなければなりません。

4.鼻粘膜の腫れに関するセルフチェック

鼻水や鼻づまりは、風邪から鼻粘膜全体の炎症に発展するケースもあります。セルフチェックでご自身の症状と比べてみてください。

4-1.鼻粘膜が腫れているかチェックしよう!

  • 鼻づまりがなかなか解消しない
  • 息苦しさを伴う
  • 鼻の奥が臭う
  • どろどろした鼻水がのどに流れる
  • 鼻の奥が痛い
  • 目やにが出る
  • よく眠れない
  • 頭痛がある
  • 味がわかりにくくなった

上記は、鼻の粘膜が腫れて起こる症状です。風邪で治療している方も、根本から治療しなければ悪い病気へ発展する恐れもあります。

4-2.注意すべき症状を知っておこう!

鼻水の色に着目してみてください。黄緑色に変色している場合、細菌やウイルスによる感染症を起こしています。副鼻腔(ふくびくう)炎になっており、風邪と同じ治療法では治りません。熟睡できず、集中力の低下も起こるでしょう。顔が痛み、頭痛が激しくなることもあります。

5.鼻粘膜の腫れに関するセルフケアや予防法

鼻粘膜の腫れは、耳鼻咽喉科できちんと治療することが前提となる一方、普段からセルフケアで腫れにくくする工夫も必要です。ポイントをご紹介します。

5-1.鼻づまり解消方法

自分で鼻づまりを解消する場合の注意点やポイントをまとめました。

5-1-1.市販薬で鼻づまりを解消する場合

市販薬でもアレルギー性鼻炎や副鼻腔(ふくびくう)炎の治療薬はあります。しかし、自分でどの病気に該当するか、適切な判断を下すことは難しいです。合わない市販薬を飲んだとしても、すっきり治ることはないでしょう。市販の点鼻薬も同様です。長く使う場合、血管収縮剤といった成分が含まれていることが多いため、自己管理や改善状況を把握しにくく、副作用のリスクもあります。市販薬を使う場合、短期間の服用に抑え、なかなか改善がないようなら、耳鼻咽喉科できちんと治療を受けてください。

5-1-2.鼻水はこまめに少しずつかむ

また、鼻水は一気にかまないことがコツです。鼻を急激にかんでしまうと、耳を痛める恐れがあります。片側ずつゆっくりかむようにしましょう。
鼻水をそのままにしてしまい、副鼻腔(ふくびくう)に膿(うみ)となって溜(た)まる危険性があります。高熱が出ることもありますから、鼻をかむのと同時に、鼻水の色にも注意してください。

5-1-3.鼻づまりはツボ刺激で解消

小鼻の両側にある迎香(げいこう)というツボと、目頭にある睛明(せいめい)というツボを刺激してみましょう。指でさするように軽く押し、なるべく温めるのがコツです。鼻水が柔らかくなって排出もしやすくなり、鼻呼吸が楽になります。

5-2.鼻粘膜の腫れ予防法

冬は、気温と湿度が大変低いです。鼻粘膜に炎症が起こりやすく、長引く傾向にあります。乾燥を防ぐため、加湿器や吸入器を使って、鼻やのどを潤す工夫をしてみてください。湿度50〜60%が理想です。エアコンを使う室内では、特に乾燥が起こります。就寝中も、温度と湿度管理には十分注意しましょう。

5-3.生活習慣で予防する

日常生活の過ごし方を少し工夫してみませんか? 生活習慣を変えるだけでも、鼻づまりを解消するきっかけになります。

5-3-1.喫煙とアルコール摂取を控える

喫煙やアルコール摂取が原因となり、鼻づまりを発症するとの説があります。タバコに含まれるニコチンは、鼻粘膜を強く刺激するのに加え、煙そのものに有害物質が含まれているため、アレルゲンとなり得るのです。
アルコール摂取で血行が促進され、一見体に悪い影響がないように感じます。しかし、鼻の粘膜が広がり、狭窄(きょうさく)が起こるのです。そのため、鼻づまりの症状を感じやすくなります。

5-3-2.サプリや漢方を取り入れる

体の免疫力向上のため、サプリや漢方を取り入れる方法もおすすめです。すでに鼻づまりを発症している場合は、耳鼻咽喉科での治療をベースに、補助的に用いるようにしてください。

予防として取り入れるなら、小青竜頭(しょうせいりゅうとう)がおすすめです。小青竜頭(しょうせいりゅうとう)には、麻黄(まおう)・桂皮(けいひ)・細辛(さいしん)・乾姜(かんきょう)・散寒(さんかん)が含まれています。血管拡張による鼻づまり解消効果が期待できる漢方です。

5-3-3.生活習慣でやってはいけないこと

前述のとおり、喫煙とアルコール摂取は程々にしておきましょう。何事も適度な量に抑えることが、鼻づまりを改善するコツです。また、睡眠不足は体の免疫力が著しく低下する原因で、疲労やストレスを溜(た)めず、体をゆっくり休めるようにしてください。治療している方も、生活習慣の見直しで症状が楽になるでしょう。

6.鼻粘膜の腫れを治療する方法

長引く場合や、風邪では感じない症状がある場合、耳鼻咽喉科で治療を受ける方がいいでしょう。診断技術もしっかりしており、症状に合う正しい治療を受けることができます。

6-1.受診すべき症状

風邪と診断され、薬を使って2週間以内に治るものであるなら、さほど心配はいりません。2週間を目安に、症状の軽快がないようなら、再受診して治療を受けてください。

鼻水の色が黄緑色の場合も、副鼻腔(ふくびくう)炎といった感染症の疑いが濃厚となります。自分で治すのは難しいでしょう。全身にだるさや発熱の症状がある場合も、速やかに医療機関を受診してください。ほかの病気との合併症が懸念されます。

6-2.鼻粘膜の腫れに関する検査や診断方法

鼻づまりに関する病気を発見するためには、いくつかの検査を行います。問診のほかに、レントゲン・CT・血液検査・鼻喉ファイバースコープ検査です。血液検査では、アレルギーかどうかを判断できます。鼻喉ファイバースコープ検査は、鼻粘膜の状態を視認することができ、ほかの検査と組み合わせてさまざまな病気の発見に役立ちます。

6-3.鼻粘膜の腫れに関する主な治療法

鼻づまり解消には、薬と点鼻薬が軸になります。耳鼻咽喉科でのネブライザーもとても効果的です。吸引器具を使い、鼻水を直接吸い出してもらうのもいいでしょう。定期的に受診し、鼻の中をきれいにしてもらう方法がおすすめです。

6-4.鼻粘膜の腫れを治療するときの注意点

通常の診察では、問診・鼻喉ファイバースコープ検査・吸引といった流れで行われます。薬を飲み始めても改善がないようなら、必ず再受診して申し出てください。

必要に応じ、血液検査・レントゲン・CTと検査が加わります。一般的な診察より費用はかかるものの、原因を特定するために重要な検査です。医師の指示とおりに検査を受けましょう。

7.鼻粘膜の腫れに関するよくある質問

鼻づまりは単なる風邪だと思い、そのまま過ごしていることが多いですよね。しかし、治りにくくなる場合もあります。質問集を生かし、鼻づまり改善に役立ててください。

Q.新生児や赤ちゃんの鼻づまりは風邪?
A.新生児や赤ちゃんは風邪ではなくても、鼻づまりが起こるものです。成長するにつれ、徐々によくなっていきます。自宅でもこまめに吸引し、鼻水を溜(た)め込まないようにしてください。鼻水が耳に流れ、中耳炎になる可能性もあります。

Q.鼻の手術は入院を要する?
A.基本は入院手術の施設がほとんどですが、日帰り手術を行う施設もあります。症状がひどく、術後の経過が思わしくない場合は、数日の入院を必要とする場合もあるでしょう。

Q.鼻づまりをそのままにしておくのはなぜ悪い?
A.本来、鼻は空気清浄器のような機能を備え、きれいな空気だけを体内に取り込んでいます。ところが、鼻づまりがあることで口呼吸となり、ごみやほこりがダイレクトに体内に侵入してしまうのです。そのため、さまざまな病気を発症するリスクが高まります。

Q.市販の点鼻薬には何が含まれている?
A.市販の点鼻薬には、血管収縮剤が含まれています。そのため、鼻づまりが解消したように感じるでしょう。しかし、実際は、鼻粘膜の腫れが進行する場合もあるため、耳鼻咽喉科で処方された薬を使う方が改善が早いです。

Q.睡眠時に鼻づまりを感じやすい
A.睡眠時は、鼻水がのどの方へ流れて蓄積し、鼻閉感を抱きやすいです。頭痛や頭重といった感覚もあるでしょう。鼻水を少しずつかみ、排出するよう促してください。

8.まとめ

いかがでしたか? 鼻粘膜の腫れは、風邪ではない場合もあります。鼻づまりや黄緑色の鼻水が出たなどの症状があるなら、耳鼻咽喉科できちんと治療し、副鼻腔(ふくびくう)炎などにならないようにしましょう。長引いて治りにくくなる可能性もあります。睡眠時に熟睡できない、集中力の低下、頭痛といった不快感も起こるため、放置しないようにしてください。日常生活においても、喫煙やアルコール摂取など生活習慣の改善でも予防できます。鼻粘膜を刺激することは避け、鼻づまり解消に役立ててください。鼻づまりは大変つらい症状です。不快感から解放されるよう、早めの受診を心がけましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績