嗅覚障害の原因と治療法は? 根気よく続けることが大切!

嗅覚障害の原因と治療法は? 根気よく続けることが大切!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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鼻が詰まっているわけでもないのに匂いを感じない。
最近はこのような症状に悩む方が増えています。
その一方で匂いはあまり意識して嗅ぐ機会が少ないせいかなかなか気が付かない方もいます。
そこで今回は匂いが突然わからなくなる嗅覚障害についてご紹介しましょう。
嗅覚障害は早めの治療が大切です。
「匂いくらい」と思っていると取り返しのつかないことになるかもしれません。
最近匂いがよく分からなくなった、という方はぜひ読んでみてくださいね。

  1. 嗅覚障害の症状と原因は?
  2. 嗅覚障害の治療法は?
  3. ストレスが原因の嗅覚障害も
  4. 耳鼻科医の選び方

1.嗅覚障害の症状と原因は?

この項では、嗅覚障害の症状と原因をご紹介します。
嗅覚障害は誰もが発症する可能性のある病気なのです。

1-1.嗅覚障害の症状は?

嗅覚障害とは、ある日突然匂いを感じなくなる症状のことを指します。
匂いはあまり意識して嗅ぐ、ということが少ないですから、強い匂いがするものを嗅いで初めて気が付いたという人もいます。
また、匂いが分からないと料理の味付けが濃くなりがちですから、家族に指摘されて気が付くという人もいます。
しかし、「匂いくらい」と軽く考えてそのまま放っておくと、そのまま一生嗅覚が戻らない可能性もあります。
匂いが分からないという場合は、すぐに耳鼻科に行き、医師の診察を受けましょう。

1-2.嗅覚障害の原因は?

嗅覚障害の原因は以下のような3つのものがあります。

呼吸性のもの

鼻炎や風邪などで鼻詰まりがおこると匂い物質が匂いを感じる鼻粘膜まで届かずに、匂いが分からなくなります。
慢性的に起こるものではアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの慢性炎症、また鼻中隔弯曲症などの鼻腔の形に問題があるものも原因になります。
もっとも起こりやすい嗅覚障害で、鼻詰まりが治れば嗅覚も復活する場合が多いでしょう。
しかし、中には鼻が通ったのに匂いがわからないという場合もあります。

嗅粘膜性のもの

ウィルスや細菌の影響で匂いを感じる嗅粘膜が損傷し、匂いを感じなくなる嗅覚障害です。
インフルエンザの後遺症で発症する人も多いです。
また、呼吸性のものと混合して起こることもあり、「風邪が治ったのに匂いが分からない」という場合は嗅粘膜性の嗅覚障害を起こしている可能性もあるでしょう。

中枢系のもの

事故などで頭を強く打ち、中枢神経が傷ついた場合も嗅覚障害になる場合があります。
この場合は匂いを脳に伝える神経が傷ついているので現在では有効な治療法はありません。

2.嗅覚障害の治療法は?

この項では、嗅覚障害の治療法についてご紹介します。
「匂いがわからないくらいで、病気なの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、嗅覚障害はれっきとした病気です。
匂いがわからないと、ものが腐敗した匂いや焦げた匂いもわかりません。
また、ガス漏れや火事なども気づきにくくなります。
できるだけ早く病院にいくことが大切です。

2-1.病院に行ったほうがいい?

嗅覚障害の治療は早ければ早いほどよいです。
3か月以内に治療を行えば、嗅覚障害の半分以上はよくなるといわれています。
ですから、匂いがわからないと気が付いた時点でできるだけ早く病院に行きましょう。
病院では、嗅覚検査をする場合が多いです。これは試薬の匂いを嗅いで匂いを感じるか感じないかを確かめるテストです。
これで嗅覚障害だと診断されれば治療がスタートします。

2-3.薬物治療や時には手術も

嗅覚障害の治療は点鼻薬を中心に行われます。
また、呼吸性の嗅覚障害の場合は、その原因であるアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などの治療が必要です。時には手術で臭いの道を広くしたり、臭いの神経周囲の炎症を取り除く必要があります。
どんな名医にかかろうと、すぐに嗅覚障害がなおることはありません。
ただし、副鼻腔炎などの原因が見過ごされていて、他の治療をしているといつまでたってもよくならないこともあります。
また、手かざしやヒーリングなど民間療法で治ることもごく稀ですから、必ず病院に行きましょう。

3.ストレスが原因の嗅覚障害も

最近はストレスが原因で嗅覚障害になる人が増えています。
「ストレスで嗅覚に異常が出ることもあるの?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、同じ嗅覚に異常を感じる病気に「異臭症」というものがあります。
これはつねに異臭を感じる症状のことで、中には「自分が悪臭を放っているのではないか」と思いこむ人もいます。
異臭賞の原因も様々ですが、悪臭恐怖などのストレスが原因になっている場合も多いのです。
ですから、ストレスが原因で嗅覚障害になる人がいてもおかしくはありません。
仕事や育児、人間関係などで心を悩ませているのなら、できるだけ休息をとる、誰かに相談するなど対処をしましょう。
ストレスが溜まっていると匂いを感じないことに気が付かないこともあります。

4.耳鼻科医の選び方

嗅覚障害は治療に時間がかかる病気です。
また、匂いを感じなくなると不便なことが多いので、不安になる方も多いでしょう。
嗅覚障害の治療は大抵の耳鼻科医で行っていまが、その専門性には結構差があります。特に嗅覚障害がおこりやすいと言われている好酸球性副鼻腔炎の初期などはCTではじめて診断できることもありますし、原因によっては手術が必要な場合もあります。
病院を選ぶ際には

  • 症状の説明をしっかりとしてくれる
  • 医師内視鏡やCTでしっかり診断してくれる医師
  • 副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症など嗅覚障害の原因に詳しい医師
  • 自分の話を聞いてくれる医師

のいるところを選ぶといいでしょう。
しかし、医師はカウンセラーではありませんから、患者ひとりの話をながながと聞くわけにもいきません。
医師に質問したいことがあったらあらかじめメモに書いておくなど、簡潔に質問することができるでしょう。
また、病院の中には嗅覚異常の治療に力を入れているところもあるので、そのような病院を受診してみても良いですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は嗅覚異常の原因や治療法についてご紹介しました。
まとめると

  • 嗅覚異常はいろいろな原因で起こる
  • 中枢性以外の嗅覚障害は治療時期が早いほど治りやすい
  • 嗅覚異常を放っておくと一生匂いを感じられなくなる可能性もある

ということです。
嗅覚異常は「そのうち治るだろう」と思っている方も多いです。
しかし、鼻が詰まっていないのに嗅覚が戻らない場合や、ある日突然匂いが感じられなくなった場合は、放っておいても治らない可能性がとても高いです。
たかが匂いくらい、と思わずにできるだけ早めに治療に行きましょう。
また、処方された薬はしっかりと使い切ってください。
効果がないからと勝手にやめてしまってはダメです。
さらに、サプリメントや漢方薬を併用するにしても、医師からの処方薬は必ず一緒に飲みましょう。
効くまでに時間がかかりますが、だからこそ毎日続けることが大切です。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績