川村耳鼻咽喉科クリニック-大阪府大阪市 | 名医と呼ばれる専門医のいる病院

日帰りや一泊で手術ができる理由

当院でよく受ける質問が、「以前は一週間入院が必要と言われたのに、どうして今は日帰りや一泊で手術ができるのですか、本当に同じ内容の手術ですか?
という質問です。
確かにこれまで一週間かかる手術がなぜ日帰りで行えるのか、手抜き手術ではないか、危険性が高くなるのではないかと、不安に感じられることは至極ごもっともと思います。
ただ、このような日帰り手術・短期入院手術はアメリカでは以前から一般的に行われており、いまや全手術の8割が日帰り手術といわれています。アメリカでは評判の良いクリニックで手術を行い、提携する近くのホテルで宿泊して入院日数、入院費の削減をはかるといった形態が中心となっているようです。
では、どうして鼻の手術が日帰りで行えるかというと、いくつかの理由があります。

1:本来全身の状態に問題がない

基本的に当院で行っているような鼻の手術は胸部手術や腹部手術と異なり全身状態の良好な方が対象となります。ただちに生命に関わるような疾患ではありませんので重い基礎疾患を持っていたり、全身状態が悪い時に無理して行う手術ではありません。したがって、鼻が詰まっていることを除けば、微熱程度はでますが、体自体は元気ですので何日もベッド上で安静にしている必要はありません。

2:手術内容が変化した

鼻の手術に内視鏡が導入されて20年以上になりますが、それ以前の手術は歯茎を切って、粘膜を全てはぎ取るような手術でした。当時の手術では出血も多く、顔も腫れ、痛みも強かったので普通に食事ができるようになるまで数日かかり、両側手術が必要な場合は退院までに1ヶ月ほどかかっていました。
それが内視鏡が導入されて、出血や疼痛も軽く、顔の腫れもほとんどなくなりました。したがって両側同時に行う事が標準となり、術後の回復も圧倒的に早くなりました。

3:手術に用いる器具、材料が進化した

以前の手術器具は肉眼で鼻の中をのぞきながら奥の暗い部分を操作する、危険性が高く原始的なものでしたが、近年では細いカメラを鼻の中に挿入して、術者はモニタ画面を見ながら操作します。また、切除と吸引を同時に行える器具や手術部位を洗浄して常に鮮明な画像が得られる器具など飛躍的に機械が進化しました。
さらに術後に鼻の中に入れる詰め物も止血効果が高く、柔らかい素材に変化しています。これらの進化により手術時間は短く、出血も少なく、術後の詰め物も翌日にも多くは抜くことができるようになりました。
しかし、これらのことだけで日帰り、一泊入院ができるわけではありません。

4: システムの見直し

入院にあたっては、看護計画や治療計画、手術説明、手術記録、退院要約書などが必要です。これらのことを1~2日で滞りなく行う場合、手術前に数日間入院する必要があります。
手術の説明や術後経過の説明、麻酔医の説明もあらかじめ別の日に済ませせることで、当日は来院してすぐ手術を行う事を可能としています。

5:知識、経験が必要

日帰りや一泊の短期で患者さんに帰宅してもらうためには、手術が滞りなく行われ、出血や痛みも少なく、かつ麻酔も十分覚めた状態でないといけません。
全身麻酔の場合もそうですが、局所麻酔で日帰り手術を行う時など、我々は常に出血を最小限にして、なおかつ痛みは少ないけれど呼吸状態は良好になるように麻酔薬を調整しながら全身状態にまで気を配っています。そのためには一人一人の患者さんの局所と全身のリスクをあらかじめ把握し、危険なサインをいち早く察知し迅速に対応する能力が求められます。この能力は一朝一夕に身につくものではなく、それなりの知識と経験が必要です。

私自身、20年ほど前に大学で勤務していたころからアメリカで出来る事は日本でもできるはずと考え試行錯誤しながら早期退院に取り組んできました。そうして、術後5日から4日、4日から3日と徐々に患者さんの利益になるように入院期間短縮を目指してきました。時には痛い思いをすることもありましたが、その時のノウハウが現在活きているのだと思います。

幸いなことに当院では開院以来15年間5000例以上で、患者さんのご希望による退院延期を除けば予定通りに退院できなかった方はおられません。もちろん、手術を勧めるのは必要と思われる方に対してのみですが、患者さんの治療の選択肢を増やすことは重要なことと考えます。

BACK

サイトマップ