医院名:川村耳鼻咽喉科クリニック 
住所:〒536-0001 大阪市城東区古市3丁目23-21 
電話番号:06-6939-8700

副鼻腔炎の手術(内視鏡下副鼻腔手術)

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従来の手術療法

保存的治療で改善しない場合や反復する場合には手術療法の適応となります。20年ほど前までの副鼻腔手術の考え方は、副鼻腔の粘膜を残さず摘出するのが良いとされており、結果的に骨の表面が広く露出し、傷つき、副鼻腔の生理的状態が損なわれたり、術後に粘液が貯まる嚢胞が再発することも少なくありませんでした。

近年の手術療法

近年の研究により副鼻腔炎の原因として固有鼻腔(いわゆる鼻の中)の炎症や形態に問題がある事が分かってきました。従って、固有鼻腔の病変が改善し、固有鼻腔と副鼻腔との間の換気と排泄機能が改善すればある程度粘膜を温存する方がより生理的状態に近い形で治ることが判明しました。すなわち、固有鼻腔と副鼻腔の交通を十分につけ、病的な粘膜のみを摘出すれば正常粘膜を温存する方が良いというのが現在の考え方です。そのために以前のように唇の裏で歯茎を切って骨の一部を摘出するのではではなく、固有鼻腔から全ての手術操作を行う方がより安全で合目的であると考えられています。ただ、そのためには肉眼で行うのは困難で危険性が高く、様々な角度の内視鏡を用いることにより、従来見えなかった部分も手術操作が可能となり、顔や唇に傷をつけることなく手術が行えるようになりました。また、マイクロ・デブリッダーと呼ばれる内視鏡用に粘膜を摘出する手術器具も開発されました。このような手術概念や医療機器の進歩に伴い普及してきたのがESSと呼ばれる内視鏡下副鼻腔手術です。

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の利点と当院での手術療法

従来の手術と比較して内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の大きな利点の一つに体に対するダメージが(手術侵襲)が少ない事が挙げられます。したがって、術後の出血や顔の腫れが少なく、従来法に多く見られた頬部のしびれ感はほぼありません。従って以前の手術ではが両側の副鼻腔手術で2〜3週間の入院が必要であったのに対し、ESSはほとんどの施設で1週間程度の入院で行われています。ただし、内視鏡を用いるから、あるいは手術侵襲が小さいからといってESSが簡単な手術であるというわけではありません。むしろカメラの映像をモニターに投影して行う手術であるために従来の方法以上に解剖の知識と高度なテクニックや経験が要求される術式とも言えます。当院では病変の程度に応じて日帰り手術で行っております。全身麻酔や他の手術も必要な方は提携する「おくだクリニック」にて当院医師が執刀し1泊2日の短期入院手術を行います。

鼻中隔は左右の固有鼻腔の境となる板状の骨です。また左右それぞれの固有鼻腔には下鼻甲介や中鼻甲介、上鼻甲介と呼ばれる棚状の構造物があります。これらの構造物は内部が軟骨や骨でありその周囲は粘膜でおおわれています。鼻中隔が高度に弯曲したり、発育時に中鼻甲介の内部に空洞が形成される中甲介蜂巣が存在すると固有鼻腔の形態が悪くなり鼻づまりや副鼻腔炎の原因となります。同様にアレルギー性鼻炎や点鼻薬の頻用で下甲介粘膜が腫れている場合や、下鼻甲介骨の形が悪い場合も鼻づまりの原因や副鼻腔炎の増悪因子となり得ます。このような時には固有鼻腔の形態を内視鏡下に改善する手術の適応となります。この手術単独であれば当院ではほぼ日帰り局所麻酔下に行います。重症の副鼻腔炎を合併している場合には一泊での全身痲酔下に行います。

詳しくは「鼻中隔矯正術・粘膜下下甲介骨切除術」をご覧ください。

ESSの種類

副鼻腔自然口開窓術

ESSのI型とよばれる手術法で、局所麻酔をした後に鼻茸(鼻ポリープ)を内視鏡を使って切除して、鼻の通りを確保する治療法です。手術に要する時間はおよそ10分と短時間で終了します。

副鼻腔単洞手術

ESSのⅡ型とよばれる手術法で、局所麻酔をした後に副鼻腔の1つを内視鏡で解放させて炎症がある粘膜部分を除去する治療法です。炎症の範囲や状態などによって手術時間は異なります。

選択的(複数洞)副鼻腔手術

ESSのⅢ型とよばれる手術法で、局所麻酔をした後に副鼻腔の2つ以上を内視鏡で解放させて、炎症がある部分の粘膜を除去する治療法です。炎症の範囲や状態などによって手術時間は異なります。

汎副鼻腔手術

ESSのⅣ型とよばれる手術法で、局所麻酔をした後に副鼻腔のすべてを内視鏡で解放させて、炎症がある部分の粘膜を除去する治療法です。手術に要する時間は、片側60分程度、両側120分程度となります。

手術成績について

院長が行った副鼻腔炎の手術に対する手術成績についてご紹介します。こちらのデータは術後1年以上経過し、CTにて術前後に評価し得た30例を対象としております。

A: 自覚症状の変化(図1・表1)

自覚症状の変化では症状がなくなったものを「消失」、すごく良くなったものを「著明」として両者を合わせたものを有効率としました。(まあまあ良くなったものを「改善」として3者を合わせた改善率で評価する方法もありますが厳しめの基準を採用しました。改善率、有効率の結果は表1を参照してください。)結果を症状別に見ると鼻閉(鼻づまり)が90%、頭痛が97%、嗅覚障害が81%と良好な成績でした。一方、鼻汁や後鼻漏はそれぞれ66%、76%とやや低めの有効率でした。その原因としては30例中の7例が喘息(アスピリン喘息含む)合併例、9例がアレルギー性鼻炎合併例であり5割以上に好酸球性炎症の関与が存在したことが一因と考えられます。

「特殊な副鼻腔炎」で説明したように好酸球性副鼻腔炎は難治性、易再発性ですが、それでも術後1年で66〜76%の有効率は決して悪い成績ではないと思います。この図で注目していただきたいのは生活支障度です。近年よくQOL(quality of life)と表現されますが患者さんの苦痛度が端的に反映される項目であり、これが90%と高率であったことは1〜2泊の短期入院手術でも十分に根治性の高い手術が行えることを示しています。以前に1週間の入院で行っていた頃の成績と比較しても遜色のない結果でした。

B:他覚所見の変化(図2・表2)

手術成績を客観的に評価するにはCT上の粘膜病変の変化を手術の前後で比較します。すなわち、手術前の各副鼻腔の病変を正常の「0」から高度病変の「3」まで4段階に分類し、術後に病変が消失したものを「消失」、2段階良くなったものを「著明」として両者を合わせたものを有効率としました。

(1段階良くなったものを「改善」として3者を合わせた改善率で評価する方法もありますが厳しめの基準を採用しました。改善率、有効率の結果は表2を参照して下さい。)

  • 図2

  • 表3

手術費用

3割負担
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型(副鼻腔自然口開窓術) 10,800円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型(副鼻腔単洞手術) 30,000円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 74,730円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術) 96,240円
  • すべての手術に健康保険が適用されます。
  • 副鼻腔炎(蓄膿症)に対する手術は病気の程度によって表のいずれかから選択します。
  • 鼻内上顎洞開窓術、鼻内篩骨洞手術、鼻内上顎洞篩骨洞根本術 は内視鏡加算1000点(¥3,000)が加算されます。
  • 手術費用以外に術前の検査料、再診料、術後の薬剤料が加わります。