鼻中隔湾曲症が原因でいびきがひどくなる

鼻中隔湾曲症が原因でいびきがひどくなる? その対策方法は?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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鼻中隔湾曲症とは、鼻の穴を左右に分けている軟骨が日常生活に支障が出るほど曲がっている状態のことです。鼻中隔湾曲症になっていると、鼻づまりや鼻血が出やすいといった症状のほか、ひどいいびきが症状として現れることもあります。ひどい場合は、自分のいびきで夜中に目が覚める、というケースもあるのです。ひどいいびきを家族から指摘されて悩んでいるという人の中には、鼻中隔湾曲症の人もいるでしょう。

そこで今回は、鼻中隔湾曲症の症状や原因・対策方法などを解説します。

  1. 鼻中隔湾曲症の基礎知識
  2. ​鼻中隔湾曲症といびきの関係
  3. 鼻中隔湾曲症の治療方法
  4. 鼻中隔湾曲症といびきに関するよくある質問
  5. おわりに

この記事を読めば、鼻中隔湾曲症といびきの関係もよく分かるでしょう。いびきに悩んでいる人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.鼻中隔湾曲症の基礎知識

はじめに、鼻中隔湾曲症の症状や原因などを解説します。どのような症状が現れるのでしょうか?

1-1.鼻中隔湾曲症とは?

前述したように、鼻中隔湾曲症とは鼻の穴を左右に分けている軟骨が左右どちらかに大きく曲がっている状態のことです。人間は成長するにしたがって頭が大きくなるので、その重みで鼻中隔が曲がることは珍しくありません。しかし、曲がりが大きくなりすぎると片方の鼻の穴が異様に狭くなり、日常生活にも支障が出るために治療が必要です。

1-2.鼻中隔湾曲症の症状

鼻中隔湾曲症は、鼻中隔が曲がることで片方の鼻の穴が極端に狭くなっている状態です。そのため、片鼻だけの鼻づまりや、鼻血が出やすいといった症状が現れます。また、鼻の通りが悪いので、一度風邪等の感染症にかかると副鼻腔に細菌が感染しやすく、副鼻腔炎を発症しやすくなるでしょう。
鼻中隔湾曲症の正常な患者数は把握されていませんが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎に悩んでいる人の1割程度は鼻中隔湾曲症という説もあります。また、親や兄弟が鼻中隔湾曲症の人は、自分も同じ症状で悩みやすいでしょう。

1-3.鼻中隔湾曲症の危険性

鼻の穴が片方でも狭ければ、鼻呼吸が十分にできません。口呼吸になれば、ドライマウスや口臭などに悩まされることもあるでしょう。また、鼻づまりも起こりやすく、副鼻腔炎に移行すれば、問題のない鼻までつまりやすくなります。さらに、いびきは自分だけでなく、家族にまで迷惑がかかるでしょう。

2.鼻中隔湾曲症といびきの関係

この項では、鼻中隔湾曲症といびきの関係について解説します。どのようなかかわりがあるのでしょうか?

2-1.いびきのメカニズム

いびきとは、気道や鼻の穴を空気が通る際に起こる雑音です。いびきは、喉(気道)や鼻の穴が狭いほど大きくなります。窓を細く開けておくと、そこを風が通る際に音がでることがありますが、いびきもそれと同じ仕組みです。普段いびきをかかない人でも鼻がつまっているといびきをかきやすいのは、鼻づまりによって鼻の穴が狭まっているせいでしょう。

2-2.鼻中隔湾曲症の人がいびきをかきやすい理由

鼻中隔湾曲症も軟骨によって片鼻が常につまっている状態ですので、いびきをかきやすくなります。鼻中隔の湾曲が大きいほど、いびきも大きくなりがちです。鼻中隔湾曲症が原因のいびきの場合、湾曲を改善しない限り治りません。そのため、適切な治療が必要です。

2-3.いびきの危険性

いびきをかくということは、睡眠時に呼吸が十分にできていないということです。特に、家族の睡眠に影響が出るほどひどいいびきを毎晩かく場合は、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性があります。「たかがいびき」と放置せず、耳鼻科・耳鼻咽喉科で鼻や喉の状態を診てもらいましょう。

3.鼻中隔湾曲症の治療方法

この項では、鼻中隔湾曲症の治療方法について解説します。どのような治療方法があるのでしょうか?

3-1.対症療法

鼻中隔湾曲症の症状が軽く、時折鼻がつまるだけという場合や、高校生未満の場合は対症療法が取られます。鼻づまりが起きたときだけ、投薬や点鼻薬で症状を改善するので体に負担はかかりにくいでしょう。その反面、対症療法では鼻中隔湾曲症を根本的に治すことはできません。ですから、鼻づまりが頻繁だったりいびきがうるさかったりするようであれば、手術を勧められます。

3-2.手術

鼻中隔湾曲症は、軟骨の曲がりが原因です。ですから、余計な軟骨を削る手術を行えば、鼻づまりやいびきが改善する可能性があります。鼻中隔湾曲症の手術は、日帰りで行えることが多いのですが、場合によっては入院をすすめられることがあるので、医師とよく相談をしましょう。なお、この手術は鼻の形が完成していないと受けられないので、原則として高校生以上の人だけに行われます。また、アレルギー性鼻炎鼻や肥厚性鼻炎で下鼻甲介の粘膜が厚くなっている場合は、粘膜下下甲介骨切除術を一緒に行い、鼻を広くすることもあるでしょう。

手術を行えば、鼻づまりやいびきが改善する可能性があります。ただし、確実に解消するということはなく、日帰り手術とはいえ体に負担がかかるでしょう。また、前述のように鼻の形が完成していない子どもには行えません。持病がある高齢者も医師から手術を止められることもあります。なお、手術をしてからしばらくは粘膜が一時的に腫れ、鼻づまりがひどくなったように感じることもあるでしょう。

3-3.手術までの流れ

鼻中隔湾曲症の手術をのぞむ場合は、それを行っている耳鼻科・耳鼻咽喉科を受診しましょう。レントゲンや内視鏡・CT検査などで鼻の中の状態をよく確認し、手術の方法や日帰りか、入院かを決めます。日帰りの場合は局所麻酔ですが、入院の場合は全身麻酔が使われることもあるでしょう。手術自体は簡単で、1時間〜1時間半程度で終わります。日帰りの場合は手術後に1時間ほど休み、問題がなければ帰宅可能です。鼻の内部を削る手術なので、鼻の形に変化はありません。ただし、軟骨が薄くなっている分、鼻は骨折しやすくなっていますから、鼻に強い衝撃を受けるのは避けましょう。

3-4.病院の選び方

鼻中隔湾曲症の手術を行っている病院は、インターネットを使って探すと便利です。手術件数が多い病院ほど信頼できるので、経験豊富な病院を探しましょう。また、すでにかかりつけ医があり、その病院で手術を行っていない場合は紹介状を書いてもらうことができます。

4.鼻中隔湾曲症といびきに関するよくある質問

Q.鼻中隔湾曲症の手術を受けることができれば、いびきは改善しますか?
A.はい。鼻中隔湾曲症が原因の場合は、改善するでしょう。ただし、いびきの原因は複数ありますので、ひどいいびきの場合は一度耳鼻咽喉科を受診し、原因を突き止めることがおすすめです。

Q.対症療法でいびきは改善しますか?
A.鼻づまりの改善ができれば若干はよくなることが期待できますが、いびきの原因が鼻中隔湾曲症と分かっている場合は、手術の方が確実に改善できるでしょう。

Q.鼻の粘膜は、なぜ削り取る必要があるのですか?
A.肥厚性鼻炎やアレルギー性鼻炎をくり返すと、鼻の粘膜が肥大して鼻の穴を圧迫します。そのため、削り取りが必要になることもあるでしょう。

Q.鼻中隔湾曲症は、ある日突然発症することはありますか?
A.ある日突然発症することはありませんが、成長するにしたがって片鼻だけつまりやすくなったという場合は、要注意です。

Q.鼻中隔湾曲症の予防方法はありますか?
A.基本的にはありません。ですが、手術を受ければ症状は改善します。約7〜8割の人が湾曲しているというデータもあるため、日常生活に支障が出なければ、不安になる必要はないでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は鼻中隔湾曲症といびきについて解説しました。いびきは比較的多くの人が悩んでいる体の不調ですが、ひどすぎるいびきは睡眠時無呼吸症候群などの病気の可能性もあります。いびきがひどいと家族に指摘された場合は、一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績