副鼻腔真菌症の症状

真菌(カビ)が原因で発症? 副鼻腔真菌症の症状・原因・治療方法は?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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副鼻腔とは、鼻の周辺にある空洞のことです。ここに鼻水に含まれる雑菌が入りこみ炎症を起こすと、副鼻腔炎という病気になります。副鼻腔炎は決して珍しい病気ではありません。黄色がかった粘度の高い鼻水が大量に出るのが特徴で、性別にかかわらずすべての年代に発症します。しかし、カビ菌が原因で炎症が発生する副鼻腔真菌症になると、最悪の場合は骨が溶けたり破壊されたりするのです。

今回は、副鼻腔真菌症の症状や原因・治療方法などをご紹介しましょう。

  1. 副鼻腔真菌症の基礎知識
  2. 副鼻腔真菌症の治療方法
  3. 副鼻腔真菌症に関するよくある質問

この記事を読めば、副鼻腔真菌症の怖さや症状が分かりますので、早めに対処もできます。副鼻腔炎にかかったことのある方や良く鼻がつまる方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.副鼻腔真菌症の基礎知識

はじめに、副鼻腔真菌症の原因や症状などの基礎知識をご紹介します。どのような症状が現れるのでしょうか?

1-1.副鼻腔真菌症とは?

副鼻腔真菌症は、アスペルギルス・カンジダ・ムコールといった真菌(カビ菌)が副鼻腔内に入りこんで炎症を起こす病気です。炎症を起こすという点では普通の副鼻腔炎と変わりません。しかし、真菌はその他の細菌やウィルスよりもしぶとく、投薬ではなかなか退治しきれないのです。また、アスペルギルスの一部やムコールは、副鼻腔の周りの骨を破壊したり溶かしたりすることもあります。そのうえ、症状が進むと真菌は眼球や脳にまで達することがあるのです。そうなると視力の低下を引き起こしたり、髄膜炎が発症したりすることもあるでしょう。ごくまれですが、命にかかわる状態になることもあります。

1-2.副鼻腔真菌症の原因

副鼻腔真菌症の原因である真菌は、どこにでも存在しています。通常ならば体内に真菌が侵入しても、白血球などによって退治されてしまうでしょう。しかし、何らかの原因で抵抗力や免疫力が低下していると真菌が副鼻腔内で繁殖し、副鼻腔真菌症を発症します。
重度の糖尿病の方やステロイド剤の投与を続けている方、病気の治療のために免疫抑制剤を投与している方などに、副鼻腔炎真菌症は発症しやすいでしょう。ただし、何の自覚症状もなく免疫力・抵抗力が低下している方もいるので、持病がない方でも発症することもあります。

1-3.副鼻腔真菌症の症状

副鼻腔真菌症を発症すると、

  • 片方の鼻だけが鼻づまりをする
  • 片方の目の周りや頬に痛みを感じる
  • 鼻の奥から異臭がする

といった症状が現れます。通常の副鼻腔炎の場合は両側の鼻がつまる方が多いのです。ですから、片側の鼻だけがつまり、長い間症状が改善しない場合は、一刻も早く病院を受診しましょう。

1-4.副鼻腔真菌症を放置する危険性

鼻づまりは、ごくありふれた体の不調です。「たかが鼻水・鼻づまり」と放置している方もいるでしょう。しかし、副鼻腔真菌症を放置すれば、治療はどんどん難しくなります。最悪の場合は手術をして病巣を取り除かなくてはならなくなるでしょう。ごく普通の風邪ならば、どんなに重症でも2週間程度すれば鼻づまりは治ります。また、顔面痛もありません。
鼻づまりが2週間以上続き、全く改善の兆しが見られない場合はできるだけ早く病院を受診しましょう。

2.副鼻腔真菌症の治療方法

この項では、副鼻腔真菌症の治療方法をご紹介します。どのような治療が行われるのでしょうか?

2-1.受診する科と検査方法

副鼻腔真菌症が疑われる場合は、耳鼻科・耳鼻咽喉科を受診します。かかりつけ医がある場合はまずそこに行きましょう。病院では、レントゲン検査で副鼻腔の状態を確認し、CT検査やMRI検査で病気の進行具合を確認します。

2-2.治療方法

副鼻腔真菌症の場合は、投薬ではあまり症状が改善されません。そのため、手術をすすめられることが一般的です。病巣がまだ小さい場合は、内視鏡を用いた手術を行います。これを内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS)といい、手術跡も小さく済むでしょう。病巣が大きい場合は顔の骨を露出させ、直接上顎洞に穴をあけて病巣を取り除く手術が行われます。

内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS)の場合は日帰りや短期入院で行われる場合も少なくありませんが、顔の骨を露出させる副鼻腔真菌症の手術をした場合は、入院期間が1泊~1週間ほどになります。顔面の骨を露出させる手術の方が大がかりになるため、入院期間も長くなるでしょう。

2-3.耳鼻咽喉科の選び方

内視鏡下鼻内副鼻腔手術は行っている個人院が限られています。かかりつけ医がいない場合は、内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行っている病院を受診するとよいでしょう。今は、サイトを開設している病院が多いのでインターネットを検索すればすぐに病院は見つかります。
顔面の骨を露出させるような大がかりな手術の場合は、総合病院で行われることが多いでしょう。かかりつけ医が手術を行っていない場合は、手術を行っている病院を紹介してくれます。
なお、手術が無事に終わっても通院の必要がありますので、可能な限り通いやすい病院を選びましょう。

3.副鼻腔真菌症に関するよくある質問

Q.副鼻腔炎と副鼻腔真菌症は見分けがつきますか?
A.病院を受診しないと見分けはつきにくいでしょう。どちらもがんこな鼻水・鼻づまりが代表的な症状です。一般的な副鼻腔炎も耳鼻科・耳鼻咽喉科での治療が必要ですので、鼻づまりが2週間以上続くようでしたら病院に行きましょう。

Q.副鼻腔真菌症は投薬での治療は不可能なのですか?
A.絶対に不可能というわけではありません。しかし、効果が出にくいので手術を行うケースがほとんどです。まれに、ごく初期に発覚した場合は、鼻の中からノズルを入れて生理食塩水で患部を洗う治療が取られることもあります。

Q.副鼻腔真菌症はどの年代に発症しやすいのでしょうか?
A どの年代でも発症しますが、抵抗力が低くなってくる高齢者に多く発症する傾向にあります。

Q.副鼻腔真菌症で手術をした場合、手術跡は残るのでしょうか?
A.内視鏡を使った手術は鼻の中からアプローチをしますので、外側からは全く手術跡は分かりません。

Q.副鼻腔真菌症の予防方法はありますか?
A.特に持病がない方は、抵抗力を高めることが大切です。仕事などが忙しいときでも睡眠と食事はしっかりと取りましょう。また、ストレスをためないことも大切です。

おわりに

いかがでしたか? 今回は、副鼻腔真菌症の症状や原因・治療方法をご紹介しました。副鼻腔真菌症は通常の副鼻腔炎とは異なり、治療方法がほぼ手術しかない厄介な病気です。また、放置をしておくほど手術も大変になります。片方の鼻だけがつまったり顔面痛が起きたりした場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績