
耳の奥が痛い原因は? 考えられる病気や対処・改善のポイント
「耳の奥が痛い」「耳の後ろが痛い」など、耳の痛みに悩まされていませんか? 耳は相手や自分の声を聞き、コミュニケーションをとるために必要不可欠な部位です。くり返し痛みが起こる場合、何かしらの病気が潜んでいる恐れがあります。放置してしまうと、さらに症状が悪化することがあるため、できるだけ早めに正しい処置をしなければなりません。
そこで本記事では、耳の奥が痛くなる原因や考えられる病気・改善方法などを詳しく説明します。
この記事を読むことで、耳の奥が痛くなる原因がわかり、正しい対処できるようになります。耳の奥が痛いという方は、ぜひ参考にしてください。
1.耳の奥が痛くなる原因は?
はじめに、耳の奥が痛くなる原因について解説します。一体、どのような原因があるのでしょうか?
1-1.ストレス
体に過度なストレスがかかると、「耳の奥の痛み」が症状として現れることがあります。ストレスがかかりすぎると交感神経が活発化し、体が過度に緊張しやすくなるでしょう。すると、血行が悪くなって筋肉が収縮し、耳の奥に痛みが出ることがあります。ストレスが原因で耳の奥が痛くなる場合は、頭痛・肩こり・首のこりなどが同時に現れることが多いでしょう。
1-2.耳掃除のやりすぎ
耳掃除をやりすぎると、外耳(耳の入り口から鼓膜まで)を傷つけるリスクが高まります。耳掃除は、1か月に1度すれば十分です。1週間に3~4回以上耳掃除を行った結果耳が痛くなったという場合は、耳掃除をやりすぎている可能性があります。また、みみかきや綿棒に血がついた場合は、外耳が傷ついている証拠です。雑菌が入ると化膿する恐れがあるので、傷が治るまで耳掃除はやめましょう。
1-3.気圧変化
飛行機の離発着時や、トンネルの中に入ったときなど気圧が激しく変化する際、耳の奥が痛くなることもあります。この場合、気圧が元に戻れば耳の痛みも消えるでしょう。また、人によっては台風など激しい低気圧が近づいてきても耳が痛くなることがあります。あまりに頻繁な場合は、一度耳鼻咽喉科・耳鼻科を受診してください。
1-4.リンパ節の腫れ
耳の奥にズキズキとした痛みがある場合は、首のリンパ節が腫れている可能性が高いです。首と耳は密接につながっているため、首のリンパ節が腫れると耳にまで悪影響をおよぼします。また、首のリンパ節が腫れる原因もさまざまです。最も多いのが肩こりになります。肩こりによって、リンパ節の中を流れているリンパ液が一か所にたまってしまうのです。リンパ液が一か所にたまると、リンパ節が腫れて痛みが起こります。
1-5.のどの炎症による神経痛
のどの炎症による神経痛も耳の奥が痛む原因の一つです。のどに炎症が起こると、耳の奥にある舌咽(ぜついん)神経と呼ばれる部分が圧迫されます。その結果、耳の奥に痛みを感じるようになるのです。
1-6.イヤホンの長時間使用
外出時、耳にイヤホンをつけて音楽を聴いている方は多いでしょう。しかし、長時間のイヤホン使用は耳の中の湿度を高くする要因となり、その結果、細菌が繁殖しやすくなるのです。耳の中で細菌が繁殖してしまうと、耳の奥に痛みを感じることになります。
1-7.耳の中に水が入った
耳の中に水が入ったまま放置していると外耳炎などの病気になりやすいです。必死に水を綿棒でとろうとして傷つける恐れもあります。
1-8.耳の病気
耳の病気によって痛みが現れていることもあります。考えられる病気をいくつか紹介します。
1-8-1.外耳炎
外耳炎は、外耳部が炎症を起こす病気です。耳に傷があると雑菌が入って発症することがあります。外耳が赤く腫れ、触れただけでも激しい痛みが起こるのが特徴です。ひどくなると口を開くだけで痛みが走ります。
外耳炎の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
外耳炎とはどのような病気? 症状や原因・治療方法をチェック
1-8-2.中耳炎
中耳炎(ちゅうじえん)は鼓膜の内側である中耳が炎症を起こす病気です。子どもが発症することが多いが、大人も発症することがあります。急性、滲出性などの種類があり、激しい痛みを伴うことも多い病気です。風邪から移行することも多く、風邪をひいているときに激しい耳の痛みが現れた場合は中耳炎を疑いましょう。
中耳炎の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
中耳炎の症状は? こんな症状が出たら早めに耳鼻科へ
1-8-3.副鼻腔炎
副鼻腔炎(ふくびくうえん)は細菌感染・ウイルス感染が原因となって起こす炎症です。副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる鼻腔(びくう)に隣接した空洞が炎症を起こしています。急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)は1か月以内で治りますが、慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)は完治に時間が必要です。
鼻水や鼻づまりといった症状が出てきます。耳の奥の痛み以外にも頭痛・鼻づまり・鼻水・顔面痛があれば副鼻腔炎(ふくびくうえん)の可能性が高いです。
副鼻腔炎の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
つらい副鼻腔炎の治し方を知りたい! 治療法と予防法を解説
1-8-4.咽頭炎
咽頭炎(いんとうえん)はのどの炎症です。のどが痛い・違和感がある・咳(せき)が出るなどの症状があれば、咽頭炎(いんとうえん)の疑いがあります。すぐにできる対処法としては、のどの痛み止めです。軽い症状であれば、市販薬で症状は緩和します。ひどい場合は病院を受診してください。
咽頭炎の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
その喉の痛み、もしかしたら咽頭炎かも? 咽頭炎の症状・原因は?
1-8-5.突発性難聴
突然耳が聞こえなくなる・耳鳴りがひどいなどの症状が起きたとき、突発性難聴の可能性があります。突発性難聴は突然耳が聞こえなくなる病気の1つです。年間におよそ3~4万人が発症するといわれています。いつもどおり音が聞こえるか聞こえないかが大きなポイントです。対処法としては、病院で処方される薬や注射になります。耳まわりの血流をうながす薬やステロイド剤が主流です。耳が聞こえない状態を放置せずに、すぐ病院へ行ってください。放置すればさらに悪化して、手術せざるを得なくなります。
突発性難聴の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
急性難聴と突発性難聴の違いは? それぞれの症状・治療方法を解説
1-8-6.おたふくかぜ
耳の下にある唾液腺の耳下腺(じかせん)が腫れるとおたふくかぜになります。両側の耳が腫れるとおたふくのようになることから、この名前がつけられました。耳の奥が痛くなるのもおたふくかぜの症状です。耳下腺(じかせん)が腫れるほど、痛みもひどくなります。おたふくかぜは耳の痛みと同時に、熱が出てくるのが特徴的です。対処法としては、耳を冷やす方法があります。耳を冷やすことで炎症を抑え、痛みが引くのです。タオルなど布をまいた保冷剤で冷やしてみてください。
1-8-7.顎関節症
顎関節症は、顎の関節がズレることで起こる病気です。耳鳴り・耳の詰まった感じ・頭痛・歯痛などの症状が併発する場合は顎関節症の疑いがあります。「顎のかみ合わせが悪いな」と感じたら歯医者で検査してもらいましょう。すぐに対処しなければ、顎や耳まわりの痛みがさらにひどくなります。痛みが我慢できないときは、市販の鎮痛剤を服用してください。また、固い食べものは控えましょう。
顎関節症の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
噛むと耳が痛い症状、実は病気かも? 顎関節症の治療方法
1-8-8.耳管狭窄症
耳の奥が痛いとき、耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)という病気も考えられます。耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)とは、耳管がとじることで傷みが起きる病気です。耳の奥が痛くなると同時に、耳鳴りや違和感も起こります。耳管は開閉することで中耳(ちゅうじ)と外耳(がいじ)の気圧を調整している部位です。しかし、気圧変化や鼻・のどの炎症が起きると耳管がとじたままになってしまいます。さらに、耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)は長時間不快な症状が続くのが特徴的です。そのため、当てはまる症状があればすぐに病院へ行ってください。
耳管狭窄症の詳しい症状については、以下の記事をご覧ください。
耳管狭窄症とはどんな病気? 症状・原因や治療方法を解説
2.耳の奥の痛みを改善・緩和する方法
耳の奥の痛みを改善する方法をいくつかご紹介します。ただし、あくまでも一時的な対処法ですので、痛みが長引く場合には、耳鼻科などの専門医を受診してください。
2-1.冷やす
中耳炎や外耳炎の場合は、冷やすと痛みが和らぎます。保冷材などをタオルにまいて耳の外からあててみてください。夜間急に耳が痛みだしたときなどの応急処置に利用しましょう。なお、中耳炎や外耳炎の場合は温めると痛みがひどくなるので気をつけてください。
2-2.鎮痛剤
すでに痛みの原因が分かり治療を受けている最中や、今すぐに病院にいけず、痛みが強い場合は市販の鎮痛剤を利用しましょう。頭痛薬や生理痛を緩和する薬が効果的です。ただし、原因が分からないまま痛みだけを薬で抑えても、病気は良くなりません。できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
3.こんなときは病院へ
耳の奥の痛み以外にも、頭痛やめまい・吐き気・肩こり・難聴・耳だれなどの症状があれば、すぐに病院へ行ってください。
病気は早期発見が何よりも大切です。早めに診察を受けることで、早期治療はもちろん、治療方法の選択肢が増えます。「まだ軽い症状だから大丈夫!」と思ってはいけません。違和感を覚えたり、症状が2~3日続いたり、ひどい痛みが出たりしたときはすぐに受診してください。
まとめ
いかがでしたか? 耳の奥の痛みはストレスや耳掃除のやりすぎ・気圧変化・リンパ節の腫れなどさまざまな原因があります。自分の痛みは何が原因になっているのか、突き止めることが大切です。そして、症状に合った改善策・治療法を見つけていきましょう。
一時的な対策としては鎮痛剤の服用や冷やす方法があります。しかし、根本的な原因を改善するには耳鼻咽喉科を受診するのが1番です。親身になって話を聞いてくれるか、丁寧に説明してくれるか慎重に見極めていきましょう。
症状を放置すると、中耳炎・外耳炎などの病気に進展する恐れもあるため、できるだけ早めに受診してくださいね。
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