胃腸風邪

胃腸風邪の原因・症状は? 治療方法や予防・セルフケアのポイント

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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つらい胃腸風邪の症状にお悩みではありませんか? 胃腸風邪は正式名を感染性胃腸炎といい、はき気・嘔吐・食欲不振・腹痛・下痢などの胃腸症状を伴うのが特徴です。「たかが風邪」と思っていると重篤な症状になることもあるため、早めに対策をとる必要があります

そこで今回は、胃腸風邪の症状対処法予防法などをご紹介しましょう。

  1. 胃腸風邪とはどんな病気?
  2. 胃腸風邪の原因
  3. 胃腸風邪の症状は?
  4. 胃腸風邪の検査・治療方法
  5. 胃腸風邪のセルフケア
  6. 胃腸風邪の予防方法
  7. 胃腸風邪に関するよくある質問

1.胃腸風邪とは?

胃腸風邪とはどんな病気

1-1.どんな病気?

胃腸風邪は感染性胃腸炎とも呼ばれ、ノロウィルスやロタウィルスなど、細菌やウィルスが原因で発症する風邪の一種です。下痢・嘔吐・腹痛など、胃腸に強く症状が現れます。38度を超える高熱が出るケースは少ないですが、その反面、嘔吐や下痢、胃腸の不快感に長い間悩まされることも少なくありません。

胃腸風邪そのもので生命が危険にさらされることはありませんが、嘔吐や下痢によって脱水症状が起こると幼児や高齢者の場合は重篤な状態になることがあります。

1-2.どのような経過をたどる?

胃腸風邪は胃腸の不快感から始まる場合と、突然の嘔吐や下痢から始まる場合があります。突然の嘔吐や下痢が始まった場合は、その後で一気に症状が悪化するケースも珍しくありません。

多くの場合、吐き気や下痢・胃腸の不快感は5日から1週間ほど続きます。その後は徐々に症状が納まりますが、胃腸にダメージが残ると食欲不振が長引くこともあるため注意が必要です。

1-3.適切な治療を行わないとどうなる?

胃腸風邪に劇的に効く薬はありません。だからといって適切な治療をしないと、感染が拡大する恐れがあります。胃腸風邪の原因となるウィルスは、嘔吐物や下痢に多量に含まれており、看病をする方が感染することも珍しくありません。

ウィルスが付着した手で調理をすると、食物に付着して感染が広がることもあります。また、市販の下痢止めや嘔吐止めを不用意に使うと症状が長引く恐れもあり危険です。水分を適切に取らないと脱水症状を起こす可能性も高まります。

1-4.胃腸風邪とよく似た病気

胃腸風邪とよく似た病気には、胃炎腸炎食中毒などがあります。胃炎や腸炎は胃腸風邪より症状が長引くことが多く、食中毒は重篤な症状になることもあるので素人判断は危険です。胃腸に不調を感じたら、まずは病院で診察を受けてください。

普通の風邪よりも大変そうですね。
嘔吐や下痢によって脱水症状が起こると重篤な状態になる危険もあるのです。

2.胃腸風邪の原因

胃腸風邪の原因は?

この項では、胃腸風邪の原因について解説します。どのような原因があるのでしょうか?

2-1.経口感染

経口感染とは、胃腸風邪の原因となるウィルスや細菌が口から入って感染することです。胃腸風邪の原因となるウィルスや細菌が食べ物や食器につき、感染することが多いでしょう。

感染するウィルスによって名前が付けられ、ノロウィルスに感染した場合は「ノロウィルス性胃腸炎」、ロタウィルスに感染した場合は「ロタウィルス性胃腸炎」と呼ばれるのが一般的です。そのほかにも、サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・大腸菌O-157などが原因ウィルスとしてあげられます。

どのウィルスに感染したかは、症状を見ただけではほぼ区別がつきません。原因ウィルスを特定するには、病院での検査が必要です。

2-2.接触感染

接触感染とは、手などについた細菌やウィルスが口元に触れることによって起こります。胃腸風邪の患者の体に触れることによって病原菌が手に移り、何らかの方法で体内に入るということもあるでしょう。胃腸風邪の患者の吐いたものや、患者とトイレやタオルなどを共有することによっても起こります。

2-3.免疫力の低下

胃腸風邪の細菌やウィルスが体内に入っても、必ず発症するとは限りません。抵抗力が弱い子どもや、免疫力が低下している高齢者はかかりやすいのですが、健康な20代~40代の人は無事だったという例もあります。しかし、睡眠不足や栄養不足で免疫力が低下すれば、本来は胃腸風邪にかかりにくい年代の人も、発症しやすくなるでしょう。

胃腸風邪の原因がわかりました。気をつけたいですね。
原因ウィルスを特定するには、病院での検査が必要です。

3.胃腸風邪の症状は?

胃腸風邪の症状とは?

この項では、胃腸風邪の代表的な症状をご紹介します。普通の風邪と胃腸風邪では症状にどのような違いがあるのでしょうか?

3-1.嘔吐

嘔吐

胃腸風邪の代表的な症状といえば、嘔吐です。ものを食べていなくても胃液や水分を吐き続けることもあるでしょう。胃が空っぽなのに嘔吐感が止まらないということもあります。脱水症状が起こると危険なので、ぬるま湯を少しずつ飲むなどしましょう

3-2.下痢

下痢

胃腸風邪を代表するもう一つの症状が下痢です。症状がひどくなると、トイレから出てこれないこともあるでしょう。これも、体内の水分がどんどん出て行くので、脱水症状が起こる可能性があります。苦しくても水分だけは取るように心がけてください

3-3.胃腸の痛みや不快感

胃腸の痛み

胃腸の痛みや不快感は、胃腸風邪に感染したほとんどの方が訴える症状です。素人では胃と腸の痛みの区別がつきにくいので、「お腹が痛い」「お腹が気持ち悪い」と訴えることもあります。人によっては吐き気を伴い、ひどい場合は胃が空になっても吐き気がおさまらないケースもあり厄介です。

3-4.発熱・関節痛・悪寒

発熱

胃腸風邪の症状の一つに発熱があります。熱が38度を超えると、悪寒や関節痛も同時に発症することもあるでしょう。

3-5.体のだるさ

体のだるさ

下痢や嘔吐が続くと、体力が消耗して体がだるくなります。幼児や高齢者の場合、症状が急変することもあるので気をつけましょう

3-6.食欲不振

食欲不振

ごく軽い胃腸風邪にかかった場合や、症状の重い胃腸風邪から回復しかけているときに出がちな症状です。「食欲がない」「たくさん食べられない」「食事がおいしく感じられない」「食べた後胃腸が重く感じる」などの症状を訴える方が多く、この症状が長引くと栄養が不足して抵抗力が落ちてしまいます

3-7.併発する症状

胃腸風邪は胃腸に症状が強く出るので、食事が食べられずに抵抗力が落ちます。そのため、感染症にかかりやすくなり、胃腸風邪が治ったら普通の風邪をひいたというケースも珍しくありません。嘔吐が頻繁になると胃酸によって食道や喉の粘膜にダメージを受けることもあります。赤ちゃんの場合は下痢によるオムツかぶれにも注意が必要です。

嘔吐や下痢など、やっぱりつらそうですね。
脱水症状を起こさないように水分を補給することが大切です。

4.胃腸風邪の検査・治療方法

胃腸風邪の治療方法

この項では、胃腸風邪の治療方法をご紹介します。どのような治療が行われるのでしょうか?

4-1.病院を受診する目安

嘔吐や下痢・腹部の痛みが1日たっても治らないという場合は、病院を受診しましょう

しかし、赤ちゃんの場合は短時間で脱水症状がでることもあるため、半日様子を見て病院を受診するようにしてください。夜間診療でもかまいません。

食物を扱う仕事についている方は、胃腸の不快感が長引いた時点で病院を受診すると感染拡大を防げます。

4-2.胃腸風邪は何科?

胃腸風邪かなと思った場合は、基本的に内科を受診します。最近は内科ではなく消化器科を掲げる病院も多いので、こちらでも構いません。子どもの場合は小児科で大丈夫です。

初めての病院を受診する場合は、症状を問診票にできるだけ詳しく書いておきましょう。また、胃腸風邪と普通の風邪を併発しているケースも珍しくありません。特に、子どもの鼻が詰まっている場合は注意が必要です。

中耳炎を発症していることも多いので、鼻が詰まっていたり耳の痛みを訴えていたりする場合は、耳鼻咽喉科も同時に受診しましょう。その他に気になることがある場合は、医師に相談してください。

4-3.検査方法

胃腸風邪の検査は、検便が一般的です。胃腸風邪の原因であるウィルスは便に含まれて外へ排出されるので、それを検査することで感染しているウィルスの種類が分かります。

明らかに胃腸風邪と分かる場合は検査を行わないこともあり、必ず検査が行われるわけではありません。

4-4.治療方法

発症してしまった場合は症状を和らげる対症療法が一般的です。嘔吐や下痢で弱った体力を回復させ、ウィルスが外へと排出されるのを待ちます

症状によっては、ウィルスを殺す抗生物質が処方されることもあるでしょう。脱水症状が起こらないように点滴などが行われることもあります。

4-5.注意点

症状によっては、長時間病院の待合室で待っていることがつらいこともあります。この場合は、インターネット予約を導入している病院がよいでしょう。

待っている間に嘔吐や下痢が抑えられなくなる場合もあるので、ビニール袋を用意したり替えのオムツを多めに持っていったりしておくと安心です。

胃腸風邪も内科で診てもらえばいいんですね。
病院の待ち時間に耐えられない場合もあるでしょう。インターネット予約を導入している病院での受診をおすすめします。

5.胃腸風邪のセルフケア

胃腸風邪のセルフケア

胃腸風邪になると食事が満足に取れなくなるケースも珍しくありません。食欲がない場合は無理に食べなくても大丈夫です。その代り、水分補給を忘れずに行いましょう。糖分が入った水分なら、栄養補給にもなります。水分は常温がおすすめです。冷たすぎるものは胃腸に負担がかかります。

食欲が出てきたら、おかゆ柔らかく煮たうどんなどを食べれる分だけ食べましょう。ただし、風邪が治っても暴飲暴食は当分控えてください。症状が納まるまでは腹部を温めながら体を休めることが大切です。

やっぱり水分補給が大切なんですね。
常温の水分を摂るなど、胃腸に刺激を与えないようにしましょう。

6.胃腸風邪の予防方法

この項では、胃腸風邪の予防方法を解説しましょう。

6-1.感染者に近づかない

感染者に近づかない

胃腸風邪の感染者が出た場合、感染者を隔離状態にすることで感染を防ぐことができます。たとえば、家族に感染者が出たときには、看護する人しか同じ部屋に入らないといった措置も大切です。

6-2.うがいと手洗いをする

うがいと手洗い

ウィルスは目には見えません。外から帰ってきたら石けんで手を洗い、うがいをしましょう

6-3.消毒を徹底する

消毒を徹底する

ノロウィルスやロタウィルスは感染力が強いウィルスです。ですから、感染した人がトイレを使ったら、70~80%のアルコールで消毒しましょう。嘔吐物を片づけた後は、塩素系の漂白剤やアルコールを撒き、手もアルコールで消毒します。ぞうきんなどは水洗いだけで済ませてはいけません。

6-4.感染者に調理はさせない

調理はしない

胃腸風邪に感染したら、症状が軽くても調理をしてはいけません。経口感染する可能性があります。

6-5.食材を加熱処理する

胃腸風邪の原因となる細菌やウィルスは熱に弱いので、食べ物はよく加熱しましょう。また、鍋物など食卓で調理する料理の場合は、食材を取り分けるときの箸やトングと、食べるときの箸は別にしてください。特に、生肉や生魚をつかんだ箸で食べないように注意しましょう。

6-6.赤ちゃんには予防接種が有効な場合も

胃腸風邪の原因菌であるロタウィルスには、ワクチンが有効です。大人は受けることができませんが、生後6週間後から受けることができます。早い時期から保育園に預けるというような場合は、接種した方がいいでしょう。任意接種で、1回につき15,000円程度の費用がかかります。自治体によっては補助金の利用も可能です。

予防方法が色々とわかって助かりました。
これらの予防を徹底することで胃腸風邪を防ぐことができるはずです。

7.胃腸風邪に関するよくある質問

胃腸風邪のよくある質問

Q.胃腸風邪の予防するにはどうしたらいいですか?
A.胃腸風邪を防ぐには、うがい手洗いが第一です。流水だけでなく石けんも使いましょう。家族が胃腸風邪にかかったら、嘔吐物などの始末は介護用の手袋をつけて行ってください。

Q.胃腸風邪が完治したという目安は?
A.嘔吐や下痢と言った症状がなくなり、食欲が回復したら完治と考えてよいでしょう。学校や職場によっては医師の完治証明書がないと投稿や出勤を認めない場ところもありますので、そのような場合は病院で判断してもらってください。

Q.胃腸風邪の時に食べない方がよいものはありますか?
A.揚げ物などの胃腸に負担がかかるものや刺激物は避けた方がよいでしょう。また、食べ過ぎにも注意してください。

Q.水分を摂取してもすぐに吐いてしまう場合はどうしたらいいでしょうか?
A.その状態が半日以上続くようでしたら、すぐに病院を受診してください。夜間救急でもかまいません。

気になっていたことがわかったので安心です。
ぜひ参考にして適切な対処を行うようにしてくださいね。

まとめ

胃腸風邪のまとめ

いかがでしたか? 今回は、胃腸風邪の原因や症状・対処法などを紹介しました。たかが風邪と思っていると、脱水症状などで重篤な症状になることもあります。無理をして出勤や登校をすると、いたずらに感染者を増やすことになるので気をつけましょう。「風邪のときは栄養をつけないと」と無理して食べる必要はありません。しっかりと水分を摂取して回復を待つことが大切です。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績