いびき対策

いびきでお悩みの方必見! いびきの原因と7つの対策方法を解説

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

いびきに悩んでいる…というと「中高年男性のお悩み」というイメージが強いようです。けれども、実は若い女性から中高年の女性にも多いお悩みなのはご存じでしょうか?

家族や恋人、友人などに「いびきがうるさい」と忠告された経験を持つ人も少なくありません。自分のいびきを気にするために「泊まりの旅行に行けなくなった」「友人の家に泊まれなくなった」という人も多いようです。いびきはうるさいだけではなく周囲に迷惑をかけることもあります。

また、気になるのはそれだけではありません。さまざまな病気が原因でいびきをかくこともあるのです。そこで、ここではいびきのメカニズム・原因などとともに、いびきの治療などをご紹介しましょう。

  1. いびきとは?
  2. いびきの種類と原因
  3. いびきから考えられる病気
  4. いびきを自分で改善する方法
  5. いびきを改善する薬やサプリ
  6. いびきの治療
  7. いびき対策に関するよくある質問

このような記事を読むことにより、自分に合ったいびき対策がおわかりいただけると思います。ご自身や家族などのいびき改善にお役立てください。

1.いびきとは?

いびきは、眠っている間に上気道が狭くなり、そこを通る空気により上気道の粘膜がふるえて出る音です。簡単にいうと、口を大きく開けた状態で呼吸をしても音は立たないけれども唇をすぼめて息を吐くことで音(口笛)が立つのと同じイメージになります。

空気が、上気道の軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥)や口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)などがふるえて出た音が鼻でひびくとより大きな音になるのです。

※ 上気道…鼻から鼻腔・のど・喉頭(こうとう/気管の上の部分)までの部分。

ある製薬会社の調べによると…

  • 1986年に実施した調査よりも2001年に実施した調査のほうが、いびきをかく人が1.5~1.7倍ほど増えている。
  •  40~60代の中高年層男性の7~8割は「ほぼ毎日いびきをかく」と自覚している。
  • 「いびきをかく」と自覚している中高年男性の6割は会社役員や管理職などの仕事をしてる。
  • 「いびきに悩んでいる」という女性(20~40代)は7割。

どちらかというと、女性のほうがいびきを気にしているようです。

2.いびきをかきやすい人の特徴

いびきはだれでもかくものです。けれども、「かきやすい人」もいます。

2-1.肥満体型の人

肥満体型で首周りが太い人は、上気道の内部にもたっぷりと脂肪が付いていることが多く気道がふさがれやすくなります。また、肥満体型の人は呼吸する量も多いので、大きないびきをかきやすくなるのです。

2-2.あごが小さい人

あお向けで眠っているときは、舌がのどのほうに落ち気道がふさがれやすくなります。あごが小さい人は舌を支えている部分も小さいのでより気道がふさがれてしまうのです。

2-3.中高年の人

加齢により舌やのどの筋力は弱くなります。そして、気道を広く保つ力が弱まってくるためにいびきをかくようになるのです。

3.いびきの種類と原因

ひとくちに「いびき」といっても、一過性のいびきと習慣性のいびきがあります。どのように違うのでしょうか。

3-1.一過性のいびき

一過性のいびきが起こる原因は以下のようなものがあります。

3-1-1.たくさんお酒を飲み過ぎて眠ったとき

アルコールをたくさん飲んで眠ると舌やのどの筋肉がゆるみ、上気道が狭くなるためにいびきをかきやすくなります。

また、アルコールを飲むと血行がよくなるために鼻腔内の血管もふくらみはれた状態になるのです。そのために、鼻詰まりが起きていびきをかくようになります。

3-1-2.疲労がたまっているとき

いつもはほとんどいびきはかかない人でも、疲労がたまるといびきをかくようになります。疲れがたまると、人間の体はより多くの酸素を体内に取り込もうとするのです。

そうなると、鼻の呼吸だけでは足りなくなるので口を開けて呼吸を始めます。そうして、上気道のふるえが増し、いつもよりもいびきが大きくなるのです。

3-1-3.風邪や鼻炎など一時的な病気

風邪をひいたり、風邪が原因で鼻炎になったりしたときに鼻が詰まりいびきがひどくなることがあります。

飲酒や疲労・風邪など一時的なことが原因で起こる一過性のいびきはそれほど心配することはありません。原因が解決すればいびきも自然と治まります。

3-2.習慣性のいびき

一過性のいびきではなく、習慣性のいびきは注意が必要です。たかがいびきと放置すると、睡眠の質もおとろえてしまいます。また、寝不足のために疲労感が抜けない、日中眠くなる・集中力がおとろえる…など日常生活にも支障をきたすこともあるのです。どのようなものが習慣性のいびきとなるのでしょうか?

3-2-1.口呼吸が原因のいびき

口呼吸をすると、上気道の軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥)が気道のほうに落ち込みやすくなり気道を狭くします。また、舌の根っこの部分も落ち込みやすくなるのです。口呼吸が多い人は無意識に行っていることもあります。

朝起きたときに…

  • 唇がカサカサに乾いている
  • 口の中がネバネバしている
  • 口臭がきつい
  • のどが渇いてヒリヒリする

の場合は口呼吸をしている可能性が大です。

3-2-2.肥満が原因のいびき

「1-2.いびきをかきやすい人とは」でもご紹介しましたように肥満もいびきの原因になります。体だけではなく首の周辺やのどの内側にも脂肪が付いて気道が狭くなるのが原因です。

3-2-3.生活習慣病によるいびき

最近「中高年層のいびきは生活習慣病に関連している」といことがわかり注目されています。いびきを長年放置していると血中の酸素濃度が下がり、高血圧症や脳卒中、心筋梗塞などの原因にもなるのです。さらに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こすこともあります。いびきと病気の関係は次の項で詳しくご紹介しましょう。

4.いびきから考えられる病気

いびきと密接な関係にある病気をご紹介しましょう。

4-1.上気道抵抗症群

上気道抵抗症群とは、上気道が狭くなるためにいびきをかくようになる症状です。睡眠時無呼吸症候群のうち軽めの症状として位置づけられています。

眠っている間にいびきをかくため、睡眠の質が落ち日中に強烈な眠気を感じて困っている患者さんも多いのです。また、目覚めてからも疲労が抜けなかったりけんたい感を引きずったりする人も多く見られます。上気道抵抗症群は、あごが小さい人、肥満の人、首が太い人がなりやすい症状です。

4-2.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、眠っているときに呼吸が止まる症状のことです。英名のSleep Apnea Syndromeの頭文字をとり「SAS(サス)」とも呼ばれています。

SASの症状としては…

  1. 10秒以上、気道の空気が流れず無呼吸になってしまう状態。
  2. 1の無呼吸状態が睡眠時間(平均7時間)に30回以上ある状態。
  3. 1の無呼吸状態が1時間の間に5回以上ある場合。

ただし、寝ている間に起こるのでこのような症状を自覚しているの人は少ないものです。

睡眠時無呼吸症候群には2種類あります。

4-2-1.閉塞性睡眠時無呼吸タイプ

OSAとも呼ばれています。SAS患者の9割は、このOSAにあてはまっているのです。首やのどに脂肪がたくさん付いていること、扁とう腺の肥大、舌の付け根や軟口蓋が下がるなどで上気道が狭くなることが原因となります。

ただし、この症状は骨格にも関係するのです。骨格が大きい人なら太って脂肪が多くなっても上気道にはそれほど影響しません。しかしながら、もともと骨格が小さい人の場合は、上気道のスペースが狭くなりやすいのでOSAになる可能性は高くなるのです。

4-2-2.中枢性(ちゅうすいせい)睡眠時無呼吸タイプ

睡眠時無呼吸症候群の中で、数%は中枢性睡眠時無呼吸タイプとなります。SASとは異なり、気道は開いたままなのに脳から「呼吸をしろ」という指令が出なくなり無呼吸状態になってしまうのです。

通常は大脳と延髄(えんずい)にある呼吸中枢が呼吸をつかさどっています。ところが、睡眠中は大脳を休めるために延髄の呼吸中枢だけが働くのです。そのコントロールに支障をきたすと睡眠中に無呼吸状態になってしまいます。

原因は明確にはされていませんが、心臓や肺に疾患がある人が発生しやすくなるといわれているのです。

4-3.鼻の病気

起きているときでも鼻が詰まっていると息苦しくなります。ましてや、就寝時は横になると寝苦しく呼吸をするのもつらくなるでしょう。鼻だけで呼吸をすると苦しいので口を開けて口呼吸をするようになってしまいます。

「3-2-1.口呼吸が原因のいびき」でもご紹介したように、口で呼吸すると気道の軟口蓋が気道のほうに落ち込みやすくなるのです。そして、気道が狭くなりいびきをかきやすくなります。いびきと密接な関係にある鼻の病気をご紹介しましょう。

4-3-1.アレルギー性鼻炎

ハウスダストやダニが原因の通年性アレルギー鼻炎や、花粉などが原因の季節性アレルギー鼻炎があります。アレルギー性鼻炎は、クシャミ・鼻水・鼻詰まりを引き起こしいびきの原因となるのです。

4-3-2.慢性副鼻腔炎症

慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくえん)とは、蓄膿(ちくのう)症のことを指します。鼻腔とつながっている副鼻腔内に膿(うみ)がたまる病気です。

風邪などが原因で急性副鼻腔炎を起こした場合は1か月〜1か月半ほどで治ります。けれども、その間は鼻が詰まっているので眠っている間に口呼吸になりやすくいびきをかくようになることが多いのです。さらに、慢性副鼻腔炎になると症状は長期化してしまいます。

4-3-3.鼻茸

鼻の粘膜の一部がふくらんで鼻腔内に垂れ下がった状態を「鼻茸(はなたけ)」といいます。小さなものが複数できることもあれば、親指大の大きなものができることもあるのです。

鼻茸(はなたけ)はポリープの1種で、上顎洞(じょうがくどう)など鼻を中心とする空洞にできます。鼻茸(はなたけ)が大きくなったり数が増えたりすると鼻が詰まるのでいびきの原因になるのです。

4-3-4.へん桃腺炎

のどの奥にあるへん桃腺がはれるへん桃腺炎になると気道がふさがれてしまいます。のどがふさがれて空気のとおりが悪くなりのどが振動していびきをかくようになるのです。アデノイド(咽頭へん桃)という鼻とのどの間にあるリンパ組織が大きい場合も同様にいびきをかきやすくなります。

4-3-5.脳の病気

突然、家族が人間のものとは思えないほどの大きないびきをかき出したので救急車を呼んだら脳卒中だった…というケースは少なくありません。脳卒中とは、急性の脳血管障害を指し、くも膜下出血・脳出血・脳梗塞(のうこうそく)などがあります。

脳の血管が詰まったり破れたりすると発作が起こり、のどや舌が緊張して気道に落ち込むので大きないびきをかくようになるのです。いびきの原因(飲酒や鼻詰まり、肥満ほか)が特になく、普段いびきをかかない人が突然驚くほど大きないびきをかいたときは注意が必要でしょう。

5.いびきを自分で改善する方法

いびきの原因はさまざまですが、日常生活の中で自分で改善することもできます。どのような方法があるのかをご紹介しましょう。

5-1.寝るときの姿勢でいびきを改善

あお向けで寝ると、舌の根元がのどの奥に落ち込み空気の通り道である上気道が狭くなります。上気道が狭くなることでいびきをかきやすくなるのです。

そこで、寝るときの姿勢をあお向けから「横向け」に変えてください。横向けになれば、舌も左右どちらかによるので気道に落ち込みづらくなり、いびきが改善されるのです。

5-2.枕を変えていびきを改善

あお向けに寝るくせが長くなかなか横向けで寝られないという人は枕に工夫してみましょう。枕の左右どちらかの下に、畳んだタオルを置いて枕を斜めにするのです。自然と横向きの寝方になるでしょう。

また、市販でもさまざまな「いびき防止枕」が販売されています。高さが変化しているものや、横向きをサポートしてくれる抱き枕などさまざまなデザインがそろっているので好みのタイプを探してみましょう。

5-3.ダイエットをしていびきを改善

肥満体型の人、首が太い人などはのどにも脂肪がたくさん付いています。そのために、気道が狭くなりいびきをかきやすくなることは「2-1-2.肥満が原因のいびき」でご説明したとおりです。

そこで、ダイエットをすることもいびきの改善につながります。ただし、いきなり「食べないダイエット」を行うと体の水分は減って体重は減りますが脂肪は落とせません。地道に食事のコントロールと運動で脂肪を落とし、筋肉を付けるダイエットをしてください。

5-4.舌のストレッチでいびきを改善

舌は筋肉でできています。肥満や加齢などで舌の筋肉がおとろえ気道に落ち込むのを舌のストレッチで改善しましょう。

5-4-1.舌出しストレッチ

舌を思いっきり力を込めて前に出し10秒間キープしましょう。舌の根元にギュッと力を込めて行ってください。舌の根元の筋肉が鍛えられます。

5-4-2.舌を上あごに付ける

軽く口を開け、舌を上あご全体にくっつけるようにしてから、そのまま口を閉じて10秒間キープします。

5-4-3.あご押し体操

口を真一文字にギュッと力を込めて閉じてください。そのままの状態をキープして、両方の手を握りこぶしにして口の下(あごの部分)を押します。顔の筋肉を鍛え、舌の位置を安定できるのです。

※上記3種類のストレッチや運動を1セットとして、5セット繰り返しましょう。1日に5セットを3回行ってください。

5-5.いびき防止テープやマスクなどでいびきを改善

市販のいびき防止グッズはリーズナブルでさまざまな種類があります。

  • 口呼吸をしてしまう人用の口を閉じるテープ
  • 鼻の上に貼ることで鼻腔を広げ鼻呼吸をスムーズにするテープ。
  • 鼻の中に入れることで内側から鼻腔を広げ呼吸をサポートするシリコンパール。
  • あごや顔の筋肉をサポートする、かぶり式サポーターベルト。
  • 奥歯に装着することで口呼吸から鼻呼吸に導くマウスピースやマスク。

ほか、いろいろあるので自分にあったものを試してみましょう。

5-6.生活習慣でいびきを改善

  • 夜遅い時間の飲酒は控えめにする。
  • ストレスをためない。
  • 入浴など寝る前に体をリラックスして疲れをとる。
  • 快適な睡眠がとれるように寝具やパジャマに気を配る。

などの努力も大切です。

この4の項目でご紹介した方法を行ってもまったくいびきが改善されない場合もあるでしょう。その場合は市販薬を使う、専門家に診察してもらうなどの方法も検討してください。

6.いびきを改善する薬やサプリ

いびきを改善する薬やサプリを取り入れる方法もあります。どのような製品があるのでしょうか。

6-1.いびきを改善する市販薬

いびきを抑える効果があるとして、日本で最初に発売されたのがエスエス製薬のアンスノールという点鼻薬です。鼻にスプレーするタイプの薬で、鼻粘膜の乾燥を防ぎいびきを改善します。また、鼻のとおりをよくすることで口呼吸になることを防止もするのです。

6-2.いびきを改善するサプリや漢方

6-2-1.サプリ

いびきを改善するサプリとして有名なのは、スウェーデン生まれの「イビキスト」(栄養機能食品)でしょう。オリーブ油・ひまわり油・ペパーミント油の3種類の天然オイルとビタミンEが口の奥をコーティングします。しっとりとうるおいが保たれ呼吸がスムーズになるのです。口の奥にスプレーして使用します。

6-2-2.漢方

いびき防止に効果があるといわれている漢方もあります。漢方の場合は、体全体の体質を向上することによっていびきを改善していく…という考え方です。

たとえば…

  • 補中益気湯(ほっちゅうえっきとう)…のど周辺の筋力の低下を回復し気道が狭くなることを改善。
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)…副鼻腔くう炎や慢性鼻炎による鼻の詰まりなどを改善。
  • 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)…鼻水の多い鼻詰まりを改善。
  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…脂肪を分解する働きがあるので肥満体の人におすすめ。
  • 温胆湯(うんたんとう)…寝付きがよくなる、睡眠障害の改善。

などがあります。

漢方を服用する際は、漢方薬局などで自分のいびきの症状を相談してから購入するのがおすすめです。

7.いびきの治療

7-1.いびき対策~病院にいったほうがいい場合~

かぜをひいた、お酒を大量に飲んだ、1日働きっぱなしで疲れた…など、原因がはっきりしている場合は一過性のいびきと考えていいでしょう。

けれども、いびきが慢性化している場合は体に何かしらの異常をきたしている可能性もあります。気道抵抗症群や睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあるので早めに専門医の診察を受けましょう。

また、「3-5.脳の病気」でもご説明したように、普段はまったくいびきをかかない人が急に人間とは思えないような大きないびきをかき出した場合は注意してください。特に、突然倒れたまま意識不明になり大きないびきをかきはじめた場合は、強くゆさぶったりしないで救急車を呼びましょう。

7-2.いびきの治療~いびき外来と検査方法~

いびきの原因はさまざまです。しかしながら…

  • 家族に「いびきが毎晩ひどいよ」と注意されるほどうるさい。
  • 電車や会社でうっかり眠ってしまったときにもいびきをかく。

などの場合は、専門医の診察を受けましょう。

いびき治療は、内科や耳鼻咽喉科、呼吸器科などで行っています。また、最近ではいびき外来も増えているのです。いびき外来では、問診や視診だけではなく視診ができない部分は内視鏡やレントゲン、CTなどで検査します。

さらに、睡眠時無呼吸症候群であるかどうかを調べるために「終夜睡眠ポリグラフィー検査」なども行う場合もあるのです。そうして、患者さんのいびきの原因をつきとめ症状にあった治療を行います。

※終夜睡眠ポリグラフィー検査…体に電極を装着して、夜間睡眠時における睡眠障害や呼吸障害を測定する検査。(自宅で行える簡易型の検査もある)

7-3.いびきの治療~いびき治療の流れや薬~

いびきの症状により治療は異なります。

  • 薬物療法(抗アレルギー薬・ステロイド点鼻薬ほか)
  • 免疫療法
  • 鼻や扁とう・アデノイド手術
  • 歯科用マウスピース
  • CPAP装置(睡眠時にマスクを装着し空気を送り込む装置)

などがあります。

7-4.いびきの治療に用いられる手術は?

いびきの原因や症状によっては手術が必要なこともあります。代表的な手術をご紹介しましょう。

7-4-1.鼻の形状を治す手術

鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)やアレルギー性鼻炎などに行う鼻腔内の形を広くして改善する手術です。鼻中隔矯正術(びちゅうかくきょうせいじゅつ)・粘膜下下甲介骨切除術(ねんまくかかびこうかいこつせつじょじゅつ)などがあります。

※鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)…鼻中隔がゆがみ左右どちらかに突出し鼻腔が狭くなる病気。

7-4-2.へん桃摘出術・アデノイド切除術

大きいへん桃やアデノイドは気道をふさぎいびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になるので摘出や切除を行います。

  • LAUP…「のどちんこ」とその周辺粘膜を広げる手術で、レーザーなどを用います。睡眠時無呼吸症候群にはあまり効果はなく通常のいびきに用いられることが多い手術です。
  • UPPP…睡眠時無呼吸症候群に用いられる手術でへん桃を摘出するなど「のどの空間を広げる手術」になります。

手術費用や日数は、その患者さんによっても異なります。また、健康保険が適応される病院と、自由診療で行っている病院があるので料金も大きく異なるのです。手術を考えている場合は、健康保険適用の病院かどうかを確認しておいたほうがいいでしょう。

7-5.いびきの手術のメリット

  • いびきが改善できる。
  • 薬やグッズを使用しても改善できないいびきに効果がある。
  • 手術内容によっては入院せず日帰りもできる。
  • 睡眠時無呼吸症候群は、高血圧・冠動脈疾患(かんどうみゃくしっかん)・脳血管疾患などのリスクが高まるので手術により回避できる。
  • 子どもの場合、睡眠時無呼吸症候群は集中力や学力低下、成長ホルモン低下による発育障害などのリスクを手術により回避できる。

たかがいびき…と放置しておくと、日常生活に支障をきたすだけではなく命を縮める病気にかかるリスクも高まります。いびきの状態によっては、信頼のおける病院での手術も考えたほうがよいでしょう。

8.いびき対策に関するよくある質問

いびき対策に関して、よくある質問をご紹介しましょう。

Q.睡眠時無呼吸症候群の診断をされました。けれども、どうしても手術が怖いので受けたくないのですが、改善する方法はありますか?
A.手術を希望しない患者さんには、CPAP装置がおすすめです。睡眠時に鼻にマスクを装着する装置になります。自動的に空気を送り込み、のどの空間を広げて呼吸をスムーズにするのです。ただし、継続的に使用する必要があります。また、CPAP装置は病院から借りるのですがレンタル料がかかるのです。健康保険適応の病院を選びましょう。

Q.家族が寝ているときのいびきがすごく、時々数分感呼吸が止まっているようなのですが、病院に連れて行ったほうがいいでしょうか?
A.睡眠時無呼吸症候群であることが疑われます。まずは、いびき外来やいびき治療を得意とする耳鼻咽喉科で診察を受けてください。手術になるケースもあるので手術の症例数がある病院を選んだほうがいいでしょう。

Q.睡眠時無呼吸症候群が悪化するものはあるのでしょうか?
A.患者さんの状態にもよりますが、肥満の進行、過度の飲酒、睡眠薬の服用などは睡眠時無呼吸症候群が悪化する原因になります。

Q.睡眠時無呼吸症候群の予防はできるのでしょうか?
A.適性体重以上に太らない、過度の飲酒を控える、ストレスや疲労をためない、あお向けではなく横向けに寝る習慣を付けるなどがあります。

しかしながら、生まれつきの気道の形状やあご周辺の骨格なども睡眠時無呼吸症候群の原因となるので、上記のようなことだけで完全に予防するのは難しいでしょう。いびきが気になるな…と感じた段階で専門医の診察を受けることをおすすめします。

Q.一過性のいびきなのか睡眠時無呼吸症候群などの健康リスクのあるいびきなのかよくわからないのですが・・・。
A.自分でできるチェックリストをご紹介しましょう。

  • 毎晩、大きないびきをかいている。(または、家族にいびきがうるさいといわれる)
  • 「いびきの間に呼吸が止まっていたよ」といわれたことがある。
  • 運転中、電車に乗っているとき、会議中など日中に眠気を感じで居眠りをしたことがある。
  • 朝起きたときに、疲れが残っている、体がだるい、頭痛がするなどの症状があり、スッキリとした気分で起きられない。
  • 数年前と比べると体重が増えた。
  • メタボリックシンドロームだと医師に指摘されたことがある。

いくつかあてはまる人は、専門医の診察を受けてみましょう。

まとめ

いかがでしたか? いびきの原因や種類、改善策などがおわかりいただけたかと思います。「たかがいびきでしょう」と軽く考えられがちですが健康をそこねるいびきもあるのです。

飲酒などが原因のいびきはすぐに治りますが、慢性的に継続するいびきは放置しては危険なこともあります。大きないびきは家族や友人などの安眠妨害にもなるだけではなく、今の健康状態を悪化してしまう恐れもあるのです。

なかなか改善できない場合は、いびきの専門医の診察を受けましょう。いびきを治療して睡眠の質をあげ、体も気分もスッキリとした朝を迎えるようにしてください。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績