蓄膿症

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の膿の出し方でおすすめの3つの方法

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になると、鼻がつまり、呼吸もつらくなります。とはいえ、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、注意しなければ深刻な病気にもつながりかねない症状です。そのため、膿は早めに出して適切な処置をしなければなりません。それでは、蓄膿症の膿を出すにはどうすればよいのか、おすすめしたい3つの方法をご紹介します。

  1. 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)について
  2. 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の膿の出し方
  3. 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の注意点

1.慢性副鼻腔炎(蓄膿症)について

1-1.慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と診断

蓄膿症は正式には「副鼻腔(ふくびくう)炎」と呼びます。鼻腔(びくう)は、ウイルスや細菌が鼻から入らないための大切なフィルターとしての役目があるのです。そのため、鼻腔(びくう)が細菌などにより炎症をおこすと、鼻腔(びくう)の中の粘膜が腫れます。黄色や緑色の鼻水が出ている場合、鼻腔(びくう)内で炎症が起こっている可能性が高いです。

副鼻腔は、小さな穴で鼻腔とつながっています。鼻腔に炎症がおこるのが鼻炎で、副鼻腔のなかに炎症がおこるのが副鼻腔炎です。慢性の副鼻腔炎のことを俗に蓄膿症ともいいます。初期の症状は、単なる長引いた鼻風邪やアレルギーの症状だと判断しがちです。自己診断で対処するのはおすすめできません。耳鼻咽喉科でしっかりと相談してください。

1-2.急性と慢性の違いを知っておこう

副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に分けられ、それぞれ症状が異なります。まず、急性副鼻腔炎は、風邪などに伴っておこることが多く、鼻がつまり、色のついた粘り気のあるいわゆる「青っぱな」が出ます。顔の痛みや頭痛、発熱などがみられることもあります。これに対して、慢性副鼻腔炎では、通常、顔の痛みや熱はありません。鼻水は粘り気があり、濁っていますが、一般に急性副鼻腔炎ほど濃い色の鼻水ではありません。急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎ともに、後鼻漏がよくみられます。

慢性副鼻腔炎では、細菌の感染よりも鼻腔と副鼻腔との交通路が狭くなり、副鼻腔内の換気が悪くなっていることが主な原因とされています。

この慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)が蓄膿症であり、適切な処置をしなければ悪化します。

また、近年では細菌感染とは原因が異なり 白血球の一種である好酸球が鼻水に増えて起こる好酸球性副鼻腔炎も慢性副鼻腔炎の一種として注目されています。

1-3.自己判断は危険

急性副鼻腔(ふくびくう)炎と慢性副鼻腔(ふくびくう)炎の対処方法は異なります。ガイドラインでは発症してから数週から1ヶ月以内に症状が消失するものを急性副鼻腔炎といい、一方、明確な定義はありませんが3ヵ月以上副鼻腔炎の症状が続く場合を慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といいます。

急性か慢性かによって治療方法や対処方法も異なるため、正確な判断は自分ではできません。自己判断での放置や処置をするのは危険です。必ず原因をはっきりするためにも、耳鼻咽喉科で相談しましょう。

同じ副鼻腔炎でも急性と慢性があるんですね。
治療方法も対処方法も異なるため自己判断ではなく耳鼻咽喉科で診てもらうようにしましょう。

2.慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の膿の出し方

2-1.鼻うがいで対処する

鼻うがいで鼻腔(びくう)内を洗浄します。粘膜の状態を洗い、膿を流す効果があるため、鼻うがいは耳鼻咽喉科でも副鼻腔(ふくびくう)炎への処置のひとつです。とはいえ、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の根本治療としては用いられてはいません。あくまでも、対症療法です。そのため、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療には、症状の度合いに応じてさらなるステップが必要となります。

2-2.吸引による治療

鼻腔(びくう)内の粘膜を洗浄するために、吸引器を使用するケースもあります。吸引は、耳鼻咽喉科で医師の判断により適用する処置です。鼻うがいは方法を間違うと中耳炎になるケースもあるため、吸引による鼻腔(びくう)の洗浄をし、膿を取り除くのは安全性が高いといえます。鼻粘膜の状態を正常に保つ効果があるため、慢性的な鼻腔(びくう)粘膜の不具合を解消する効果があるわけです。耳鼻咽喉科では吸引を行いながら、少量のステロイドを用いて治療することもよくあります。手術しない「保存的治療」として有効な方法です。また、抗生物質を直接吸引する「ネプライザー療法」も効果的な方法としてよく用いられています。

2-3.薬による治療

急性副鼻腔炎の場合は、細菌感染が主体なので、まず、殺菌力の強い抗生剤を使うことが一般的です。抗生剤の種類としては、ペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系などを使います。これに対して、慢性副鼻腔炎の場合は、抗生剤の中でもある種の、マクロライド系の抗生剤を少量で数ヵ月程度続ける治療(マクロライド療法)という方法も行われます。これは抗生剤の殺菌作用を期待しているのでなく、抗炎症作用、免疫系への作用、細菌のバイオフォルム形成や付着抑制作用などを期待して投与されます

2-4.手術が必要な場合

保存的治療を試して、大きい効果がない場合には、手術も効果的な判断です。手術と聞くと、不安になる気持ちはわかります。しかし、最近は日帰りで行うことのできる副鼻腔(ふくびくう)炎の手術もあるため、過度に不安に思う必要はありません。内視鏡を用いた手術もあり、体への負担が少ないのも安心です。相当な重症ではない限り、局所麻酔で行う手術で十分でしょう。いずれにしても、重症になる前に、早い段階で耳鼻咽喉科に相談するのがおすすめです。

手術が必要になってしまうこともあるんですか。
日帰りでできる手術もあるのでそこまで不安にならなくても大丈夫ですよ。

3.慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の注意点

3-1.鼻うがいは方法を間違うと危険

鼻うがいは自分で行うこともできますが、慎重に行わなければいけません。鼻うがいは、耳鼻咽喉科の医師が詳しく方法を説明し、自宅で行うようにすすめる場合もあります。その場合、医師の指示に正確に従って鼻うがいをしてください。鼻うがいは生理食塩水を使用するのが基本です。決して水道水を使ってはいけません。鼻粘膜に水道水が入り、違う問題を引き起こします。可能であれば、耳鼻咽喉科で洗浄をするのがベストです。

3-2.放置は深刻な問題になる

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は放置すると深刻な病気になりかねません。鼻は脳や目といったほかの重要な器官に近く、また密接な関係があります。副鼻腔(ふくびくう)が炎症して、膿がたまるなら、細菌感染が広がる危険もあるのです。脳に細菌感染が広がるのは極めて危険です。また、蓄膿症では、本来フィルターの役目をする鼻腔(びくう)がしっかり機能しないため、風邪やインフルエンザのウイルスから体を守ることができません。風邪をひきやすくなり体も弱ります。ですから、早い段階で治療を始めるべきなのです。

3-3.耳鼻咽喉科で相談しよう

副鼻腔(ふくびくう)炎が急性なのか慢性なのかを自分で見きわめるのは難しいものです。また、適切な少量のステロイド処置なども、医師による処方がなければ対処できません。洗浄や吸引といった処置も、機器が整っている耳鼻咽喉科で行うのが安全でしょう。このように、耳鼻咽喉科でしっかり相談するのが、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を改善するための最善の方法なのです。

鼻うがいは水道水でやってはいけないんですね。
耳鼻咽喉科で洗浄するのがベストですが、自分で行う場合は医師に指示に従って正しく行わないと悪化してしまう恐れがあります。十分に注意するようにしてください。

まとめ

いかがでしたか? 副鼻腔炎(蓄膿症)の疑いがある場合には、急性か慢性かの判断が大切です。副鼻腔(ふくびくう)炎の原因により対処方法は異なります。膿を出すには、洗浄や吸引が効果的ですが、長引く慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は手術が必要です。対処が遅れるほどに、手術の規模は大きくなり、ほかの深刻な症状が生じる危険も増します。そのため、早い段階で耳鼻咽喉科へ行き相談するのがおすすめです。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績