喉に痰が絡む

喉に痰が絡む原因は? 考えられる病気や正しい痰の出し方、対処方法

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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喉の奥に痰が喉に絡む、痰がらみの咳が続くなど、不快な症状にお悩みではありませんか? 痰は体の中の悪いものを外に出すための大切な役割を果たしていますが、あまり症状がひどい場合は「早く何とかしたい」と思うものです。また、長期間に渡って痰が喉に絡むような場合、何か病気が関係している恐れもあるため、早めに原因を特定して正しく対処する必要があります。

そこで、「痰が絡む原因が知りたい」「痰がらみの咳が続いていて喉の痛みがひどい」「何か悪い病気なのではないかと心配」という方のために、痰の原因や対処法、出し方などを紹介します。

  1. 喉に痰が絡む原因は?
  2. 痰の原因となる主な病気
  3. 痰が絡むときの対処方法は?
  4. 痰の予防方法

1.喉に痰が絡む原因は?

なぜ痰が出るの?

そもそも痰とは何なのか、具体的にどのような役割を果たしているのか、普段あまり考えることはありませんよね。しかし、しつこい痰の絡みに悩まされるようになると「なぜ痰が出るのか」「何の意味があるのか」知りたくなる人も多いのではないでしょうか?

痰は肺や気管支から分泌される粘液でタンパク質・免疫グロブリン・脂質などが主成分です。普段は無色透明で量も少ないため、無意識のうちにつばと一緒に飲み込んでしまっています。つまり、健康な状態でも痰は出ているのです。

風邪を引いたりして気管が炎症を起こすと痰の分泌量が増え、粘性の強い痰が出るため喉に絡みやすくなります。特に細菌性の風邪に感染したときは、細菌と戦って残った白血球の残骸が痰の中に混じるため、ドロドロした黄色い痰として現れることになるのです。また、気管支や喉の粘膜についたチリや細菌・ウィルスなども混じっています。

2.痰の原因となる主な病気

痰が出る原因の中で最も多いのが風邪

痰の原因になっている病気を見極めるのは簡単なことではありません。しかし症状から原因がわかる場合もありますので、まずは自分の痰の症状をよく観察してみましょう。

2-1.風邪

痰が出る原因の中でも、最も多いのが風邪によるものです。風邪で喉が炎症を起こすことで痰の量が増えるため、痰が喉に絡み、いつまでもスッキリしない状態が続きます。

症状の現れ方には個人差がありますが、細菌感染による痰は色が黄色や黄緑色に近く、粘性が強くドロッとしているのが特徴です。

風邪の対策方法は以下の記事をご覧ください。
風邪のひき始めにとるべき対策方法は? 症状例と共に詳しく解説

2-2.急性気気管支炎

急性気管支炎は、文字どおり気管支が炎症を起こす病気です。風邪から移行することが多く、炎症が重症化すると気道上皮の壊死や脱落が起こることもあります。

症状としては咳・発熱・全身倦怠感・痰などが一般的です。痰は、膿のようなどろりとしたものが出ます。症状が軽くても放っておくと急性肺炎に移行することため注意が必要です。

気管支炎の対策方法は以下の記事をご覧ください。
気管支炎の症状や原因・対処法を知りたい! 風邪や肺炎との違いは?

2-3.慢性気管支炎

慢性気管支炎は、前述した急性気管支炎の症状が数週間~数か月続いた場合に診断されます。熱はなくてもしつこい咳や痰の症状があれば診断されるでしょう。痰は膿状のものが出やすくなっています

2-4.びまん性汎細気管支炎

びまん性汎細気管支炎とは、呼吸細気管支と呼ばれる細い気管支を中心に慢性炎症が起こり、咳や痰(膿状のもの)・血痰が出る病気です

1969年に日本で初めて提唱された病気で、患者は東アジアに偏っており、欧米人の患者はほとんどいません。慢性副鼻腔炎の合併症状として現れることが多い病気です。

2-5.急性肺炎

肺炎は、肺の中の肺胞という部分が炎症を起こす病気です。原因はウィルスで、風や気管支炎から移行することがあります。症状は気管支炎や風邪とよく似ており、咳・発熱・全身倦怠感・痰などです。

痰はさらさらしたものが出ますが、重症化すると膿のようなものがでることもあります。高齢者が肺炎になると症状が出にくく、知らぬ間に重症化することも少なくありません。

2-6.COPD(慢性閉そく性肺疾患)

タバコ煙をはじめとする有害物質を長期に吸引したことによって起こる肺の炎症疾患です。かつては慢性気管支炎や肺気腫とも呼ばれていました。肺の中の気管支に炎症が起こり、気管支が細くなる・肺胞が破れるなどの症状が出ることもあります。

症状は咳や痰が主なものですが、痰は膿のようになり、血が混じることもあるでしょう。一度COPDを発症すると、完治にはとても時間がかかります。

2-7.気管支ぜんそく

気管支ぜんそくは、慢性の炎症により気管支が狭くなったり過敏症状を引き起こしたりして、咳や痰・発作性の呼吸困難が起こる病気です。痰はさらさらとしており、発作時には多く出ることもあるでしょう。アレルギーが原因で発症することもあります。

2-8.肺がん

肺がんは、気管支や肺の細胞ががん化する病気です。初期症状はほとんどありませんが、症状が進むと咳や血痰・発熱・呼吸困難・胸部の痛みなどが起こります。特に、血痰が出た場合は肺がんの可能性が高く、精密検査が勧められるでしょう

2-9.気管支拡張症

気管支拡張症は、気管支が何らかの原因で広がってしまう病気です。先天的な原因の場合もありますが、小児期に重い肺炎を発症したり、感染症をくり返したりすると気管支の一部が壊れたまま広がってしまうこともあります。咳やサラサラした痰・肺炎を起こしやすいなどの症状があり、人によっては喀血することもあるでしょう

2-10.副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻と目の中間にある副鼻腔という空洞が炎症を起こす病気です。風邪をひいて鼻水をすすり上げたりすると、副鼻腔が細菌やウィルスで炎症を起こし、副鼻腔炎を発症することも珍しくありません。症状が出て3週間までを急性副鼻腔炎、それ以後も症状が治まらなければ慢性副鼻腔炎となります。膿のような鼻水や痰がでることが主な症状で、慢性化すると頭痛や顔面痛が起こることもあるでしょう

2-11.肺結核

肺結核は、結核菌に感染することで発症する病気です。かつては国民病としても恐れられ、人から人へと感染します。咳・血痰・だるさ・発熱・体重減少などが主な症状として現れるでしょう。自然治癒することはほとんどないため、発症した場合は適切な治療が必要です。

2-12.肺梗塞

肺梗塞とは、肺の血管に血栓がつまる病気です。肺の血流が低下し呼吸困難やチアノーゼが起こります。急性の場合は、無症状からチアノーゼや呼吸困難が急に発症し、慢性の場合は、気管支喘息によく似た症状(咳・さらさらした痰・呼吸困難)が出ることもあるでしょう

2-13.肺真菌症

肺真菌症は、吸い込んだ真菌が肺の中で繁殖することによって起こります。ステロイド剤や免疫抑制剤を服用していて抵抗力が落ちている人に発症しやすいでしょう。咳・さらさらした痰・血痰・発熱などの症状が出ます

2-14.肺水腫

肺水腫は、肺の血管から血液成分のうち、水分が肺胞内ににじみ出てしまう病気です。肺胞内に液体成分が溜まるので呼吸困難に陥り、重症化すると呼吸不全になります。主な症状は呼吸困難ですが、まれに痰が出ることもあるでしょう

こんなにいろいろな原因があるんですね。
どの病気による痰なのかは、痰の色や状態、その他の症状である程度判断できます。ただし、中には放置しておくと重症化してしまう病気もあります。症状がつらい場合は、素人判断で決めつけず、病院で診てもらいましょう。

3.痰が絡むときの対処方法は?

痰が絡むときの対処方法は?

痰が絡むと、喉にへばりついている感じが大変不快ですよね。どのようにすれば痰の絡みを解消できるのでしょうか?

3-1.正しい痰の出し方をマスターする

痰が喉に絡んだとき、あなたはどうやって吐き出そうとしますか? たいていの人は咳をして痰を出そうとしますが、いくら咳をしても痰が出てこない場合もあるでしょう。無理やり吐き出そうとして力強く咳をして、喉を傷めてしまった経験がある人も多いはずです。

軽く咳をしても痰を吐き出せない場合、まずは咳ではなく息を吐き出すようにして痰を移動させるようにしてみてください。息を吐き出すことで喉の奥にある痰を移動させてしまえば、軽く咳をすることで一気に吐き出せるでしょう。上手な痰の吐き出し方をマスターすれば、喉を傷めることなく痰を解消できます。

3-2.水分を取る

痰は粘液の固まりなので、喉が乾燥すればするほど喉にはりつきやすくなります。まず、痰を喉からはがれやすい状態にしてあげなければ、簡単に吐き出すことはできませません。痰のべたつきを抑えて喉からはがれやすくするために、水分で潤してあげましょう。痰を柔らかくするために、温かいお湯やお茶を飲んで水分を取ることがおすすめです。

3-3.部屋を加湿する

空気が乾燥していると痰が喉にはりつきやすくなってしまいます。乾燥して吐き出しにくくなる前に部屋を加湿しましょう。加湿器などを使って部屋を加湿するのもおすすめです。

また、マスクを着用して喉が乾燥しないように心がけましょう。マスクをして喉を潤しておけば、風邪のウイルスが体内に侵入しても繁殖しにくくなります。

3-4.病院で治療を受ける

痰や咳が1週間以上続いて改善の兆しが見えない場合は、耳鼻咽喉科や呼吸器科を受診しましょう。特に、血痰が出ている場合は早めに受診してください。

喉に潤いを与えて、乾燥させないようにすることが大切なんですね。
加湿器を使って湿度を保ったり、普段からマスクを使ったりして対策をとってください。喉に絡んだ痰を吐き出すとき、無理に咳をすると喉を痛める原因になるので注意しましょう。

4.痰の予防方法

うがいをして痰の予防

痰の絡みを予防するためには日ごろからどんなことに気をつければいいのでしょうか? 痰や咳の予防方法をいくつかご紹介します。

4-1.こまめにうがいをする

痰の原因となる細菌やウイルスが体に侵入するのを防ぐことが一番の予防法です。病原菌やほこりなどの異物とともに粘液を取り除くためには、うがいが最も効果的でしょう。

うがいには喉を洗浄し刺激を与え、潤す効果がありますので、こまめにうがいをすることで痰の絡みを予防することが十分可能です。朝起きてすぐや人ごみから帰ったあとは、必ずうがいをするようにしましょう。

4-2.刺激物を避け喉に良いものをとる

喉から水分を奪ったり粘膜をキズつけてしまうと、痰が絡んだときに上手く吐き出せなくなります。アルコールや辛いもの、熱すぎるものは喉に刺激を与えてしまうので、できるだけ避けるようにしてください。

そして、「喉の調子が悪いな」と思ったときこそ、はちみつやレンコン・大根・しょうがなどの喉をいたわる食べ物を積極的に取るようにしましょう。普段から喉の調子を整えておくことで、痰がからみにくくなります。

4-3.禁煙する

喫煙は、軌道に炎症を起こし、咳や痰の原因になります。喫煙は慢性の呼吸器疾患を引き起こす原因になるといわれていますので、喉が弱い人はできるだけ禁煙するように心がけましょう。人が吸っているタバコの煙に反応してしまうこともありますので、なるべくタバコを吸っている人に近づかないようにすることも大切です。

まとめ

痰の原因のまとめ

痰の原因についてまとめてみましたが、いかがでしたか? 今回は以下の項目について紹介しました。痰は体の正常な反応です。しかし、痰を出すときは、無理にから咳をしてはいけません。症状がさらに悪化する危険もあります。痰が長引く場合は、気管支や肺に深刻な問題がある可能性もあります。そのような場合は、信頼できる耳鼻咽喉科クリニックに相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

ドクターズ・ファイル取材記事

論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績