急性副鼻腔炎とは? 主な症状や原因・治療方法などまとめて解説!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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急性副鼻腔炎とは、鼻腔に隣接する空洞の副鼻腔が急性炎症を起こした状態のことを指しています。風邪を引いたときに発症することが多く、鼻づまり・粘り気のある鼻水・痰(たん)や咳(せき)などが主な症状です。急性副鼻腔炎を放置していると、症状が慢性化し、慢性副鼻腔炎になる恐れがあるので注意しなければなりません。本記事では、急性副鼻腔炎の症状や原因・検査と治療方法などについて解説します。

  1. 急性副鼻腔炎の基本を知ろう!
  2. 急性副鼻腔炎の原因は?
  3. 急性副鼻腔炎の症状は?
  4. 急性副鼻腔炎の検査・治療方法
  5. 急性副鼻腔炎に関してよくある質問

この記事を読むことで、急性副鼻腔炎の症状と原因・治療方法などが分かります。悩んでいる方や気になっている方はぜひチェックしてください。

1.急性副鼻腔炎の基本を知ろう!

まずは、急性副鼻腔炎がどのような状態を指しているのか、基本情報をチェックしていきましょう。

1-1.副鼻腔をおおっている粘膜が急性炎症を起こしている病気

急性副鼻腔炎は、顔の中にある副鼻腔の粘膜が急な炎症を起こしていることです。前触れもなく、突然発症する病気ですが、短期間で治ります。副鼻腔は鼻の周辺にあり、鼻腔と細い管がつながっている空洞のことです。上顎洞(じょうがくどう)・篩骨洞(しこつどう)・前頭洞(ぜんとうどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つの副鼻腔があり、それぞれ炎症が起こることがあります。

1-2.最も炎症が起こりやすいのは上顎洞

4つの副鼻腔の中でも、最も炎症が起こりやすいのは上顎洞です。上顎洞は、鼻の左右両側に位置する、4つの中で1番大きい副鼻腔となります。上顎洞の炎症をきっかけに、ほかの副鼻腔が炎症を起こすこともあるのです。また、副鼻腔の多くは複数の副鼻腔が同時に炎症を起こします。すぐに治療をすれば短期間で完治しますが、治療が遅くなると粘膜が炎症を起こしやすくなるので、症状が穏やかになってもくり返し発症するリスクが高まるのです。

1-3.眼窩(がんか)内合併症を起こしている可能性もある

激しい頭痛・目の痛み・まぶたの腫れといった症状が出ている場合は、眼窩内合併症を起こしている可能性があります。副鼻腔の炎症が眼窩(眼球が入っているくぼみ)に広がり、視器障害をきたす疾患のことです。副鼻腔は目とつながっているので、鼻だけでなく目にも悪影響をおよぼす可能性があります。目の痛みが伴う場合は、念のため、眼科も受診したほうがいいでしょう。

1-4.急性副鼻腔炎の放置は慢性化につながる

急性副鼻腔炎の症状を放置していると、慢性副鼻腔炎を引き起こすリスクが高まるので気をつけてください。慢性副鼻腔炎になれば3か月以上症状が続き、完治まで時間がかかってしまいます。治療期間が長くなると、その期間中、症状で苦しむことになるので心身共に大きな負担がかかってしまうのです。早めに治療を始めれば、慢性化を防ぐことができます。

2.急性副鼻腔炎の原因は?

では、急性副鼻腔炎の原因はいったいどのようなものが関係しているのでしょうか。

2-1.大半はウイルスの感染

急性副鼻腔炎の多くは、ウイルスによる感染が原因です。風邪を引き急性上気道炎が起きると、副鼻腔炎をおおっている粘膜が炎症を起こします。副鼻腔をおおっている粘膜は、喉や鼻の粘膜と同じ粘液を分泌し、線毛という構造を持っているのが特徴です。もし、細菌やウイルスが侵入したとしても、その線毛が異物を捉え体外へ排出してくれます。しかし、免疫力が低下し線毛の働きが悪くなったり、鼻と副鼻腔をつなぐ細い管がふさがれたりすると、うまく異物が排出できず炎症を起こしてしまうというわけです。

2-2.アレルギー性鼻炎による粘膜のむくみ

感染性以外の原因としては、アレルギー性鼻炎による粘膜のむくみがあります。アレルギー症状を引き起こす原因となる物質(アレルゲン)を吸入することで、抗原と抗体が鼻の粘膜で反応し、粘膜がむくんでしまうのです。主なアレルゲンとしては、ダニやノミ・ペットのフケ・カビ・ホコリ・花粉などがあります。

2-3.ポリープ

ポリープによって副鼻腔がつまり、粘膜が炎症を起こすこともあります。鼻ポリープが大きくなるほど、副鼻腔と鼻腔がつながっている部分の通りが悪くなるのです。また、ポリープができる原因はさまざまで、複数の原因が重なってから発生するといわれています。ポリープによる炎症が起きている場合は、根本的な原因となっているポリープを排除しなければなりません。

2-4.鼻腔や副鼻腔周辺の腫瘍など

ごく稀に、鼻腔や副鼻腔周辺の腫瘍が原因で炎症を起こすことがあります。疲労や病気で体力が低下しているときに発祥のリスクが高まるため、免疫力をアップし腫瘍を取り除かなければなりません。また、潜水や飛行機に乗って、副鼻腔の気圧が急激に変化することで発症する気圧性副鼻腔炎を引き起こしている可能性もあります。このように、急性副鼻腔炎の原因は多種多様なので、耳鼻咽喉科を受診し原因を突き止めることが大切です。

3.急性副鼻腔炎の症状は?

急性副鼻腔炎の症状をチェックし、当てはまる方は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

3-1.止まらない・悪臭を伴う鼻水

急性副鼻腔炎の代表的な症状といえば、鼻水です。風邪をきっかけに発症することが多いため、鼻水がいつまでたっても垂れ流れます。風邪が治ったのに鼻水が止まらない・膿性の悪臭を伴う場合は、急性副鼻腔炎の可能性が高いといえるでしょう。今出ている鼻水がどのような状態になっているのか、今一度確かめてみてください。

3-2.炎症を起こす部位によって痛む部分が違う

鼻水だけでなく、痛みを伴うのが急性副鼻腔炎の特徴です。また、4つの副鼻腔炎によって、痛みを伴う場所が異なります。上顎洞の場合は頬部、篩骨洞の場合は目の内側、前頭洞の場合はおでこ、蝶形骨洞の場合は頭痛や頭重感が特徴です。痛みを感じる部位によって炎症を起こしている副鼻腔が分かります。稀に、副鼻腔の炎症が目や脳に進むと、激しい痛みを伴うこともあるでしょう。視力が低下したりまぶたが腫れたり、意識障害が起こる可能性もあります。

3-3.片側にだけ発症する

急性副鼻腔炎は、複数の副鼻腔が炎症を起こすと説明しましたが、両側ではなく片側にだけ発症するのが特徴です。副鼻腔の両側が1度で炎症を起こすことはほとんどないでしょう。また、発熱は軽微なので、風邪と勘違いしてしまうケースがよくあります。鼻水・鼻づまりのほかにも、顔面の痛み・圧迫感・嗅覚障害が出ている場合は、急性副鼻腔炎を疑ったほうがいいでしょう。

4.急性副鼻腔炎の検査・治療方法

もし急性副鼻腔炎を発症した場合、どのような検査と治療方法を行うのでしょうか。それでは早速、解説します。

4-1.主な検査方法は4つ

急性副鼻腔炎の主な検査方法は、画像・内視鏡・血液・培養検査の4つです。それぞれの特徴を以下にまとめたので、ぜひチェックしてください。

  • 画像検査:副鼻腔に液体成分がたまっているかチェックするための検査。レントゲン・CT・MRIなどの検査で副鼻腔の内部を撮影する
  • 内視鏡検査:鼻腔内を内視鏡で観察し、鼻腔の状態や膿の流出などを確認する検査
  • 血液検査:炎症の程度を確認するための検査。治療の効果を判断するために行われることが多い
  • 培養検査:内視鏡を使って副鼻腔にたまった分泌物を採取し、培養することで原因となる細菌を特定する検査

基本的に、内視鏡検査はほかの検査とあわせて行うケースが多いです。1つだけの検査を行うだけでなく、複数の検査を行うことで原因をハッキリとさせることができます。どのような検査で確かめるのか、事前にチェックしておくと安心して検査が受けられるでしょう。

4-2.主な治療法は投薬・ネブライザー療法などの保存的治療

前述したように、急性副鼻腔炎の原因はウイルス性がほとんどなので、投薬またはネブライザー療法などを行います。よく使われるのは、抗菌薬や鼻の炎症を抑えてくれる点鼻薬などです。症状が軽い場合は、手術をする必要はありません。また、抗菌薬による治療とあわせて、鼻水の吸引や生理食塩水による鼻腔洗浄を行います。鼻の粘膜についているウイルスを対体へ排出することが大切です。

4-3.稀に手術が必要になるケースも

稀に、手術が必要になるケースがあります。たとえば、副鼻腔内にポリープが出来ているケースです。ポリープを切除することで、根本的な原因が除去できます。また、保存的治療では改善できないほど炎症がひどいケースも手術が必要です。この場合は、内視鏡を使って副鼻腔内の異常が起きている粘膜を除去する方法となります。一般的に、各副鼻腔の隔壁を開放する手術「内視鏡下鼻副鼻腔手術」を行うことになるでしょう。

4-4.異常を感じたら耳鼻咽喉科へ

急性副鼻腔炎は早期治療を行うことで、症状が軽いうちに改善できます。慢性化を未然に防ぐこともできるので、異常を感じたら迷わずに耳鼻咽喉科を受診してください。症状が風邪と似ているのでそのままにしたり、市販薬で対処したりしがちですが、なかなか治らない場合は急性副鼻腔炎の可能性があります。きちんと検査を受けて適切な治療をしたほうが、心身ともに楽になるのでおすすめです。

5.急性副鼻腔炎に関してよくある質問

急性副鼻腔炎に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.ウイルス感染と細菌感染の違いは?
A.簡単に説明すると、抗生剤が効くか効かないかの違いです。ウイルスには抗生剤が効きませんが、細菌の場合は抗生剤が有効に働きます。なぜなら、抗生剤は一部の細菌に対して破壊できるからです。しかし、ウイルスは細菌とは異なるため、抗生剤が効きません。つまり、急性副鼻腔炎の原因はウイルスがほとんどなので、抗生剤による治療は細菌が原因で、かつ重症のときです。

Q.後鼻漏(こうびろう)とは?
A.鼻水が喉におりる状態のことです。急性副鼻腔炎の症状には、鼻水・鼻づまりのほかにも後鼻漏があります。鼻の中にある鼻水が喉におりてきてしまうので、どうしても違和感が拭えません。常に、喉に異物が入っているかのような感覚を覚えることになります。食道が狭くなっている高齢者が後鼻漏になると呼吸困難になったり、睡眠中に息ができなくなったりする恐れがあるため、早めに治療を始めることが大切です。

Q.急性と慢性の違いは?
A.急性副鼻腔炎はウイルスの感染によって数日間症状が続きます。鼻水・鼻づまり・後鼻漏・頭痛・咳(せき)・顔面痛などの症状が急に現れるのです。一方、慢性副鼻腔炎はこれらの症状が3か月以上続き、線毛の働きを失います。長期化すると細菌感染の影響が少なくなり、蓄膿症に至るリスクが高まるので注意が必要です。蓄膿症は慢性副鼻腔炎の別名ですが、炎症症状が12週間以上消失しない状態のことを指しています。

Q.急性副鼻腔炎はどのくらいで治るのか?
A.早くて1週間~10日程度の治療で症状が治るでしょう。大半は1か月で自然治癒できますが、急性副鼻腔炎が重篤な病気へ発展するリスクもあるため、早めの治療をおすすめします。ただし、症状の重さや体質によっては、治療期間が長くかかる可能性もあるでしょう。治療期間が気になる方や完治までの流れが知りたい方は、耳鼻咽喉科で確かめてください。特に、顔面に激しい痛みを伴うケースは要注意です。

Q.耳鼻咽喉科の選び方は?
A.なるべく、急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎の治療にたけている耳鼻咽喉科を選びましょう。手術が必要になる場合、内視鏡を巧みに扱うことができる医師が必要です。鼻の中にある管は細いので、ほかの部位を傷つけない技術が重要になるでしょう。「川村耳鼻咽喉科」は、年250件の手術実績を持っている耳鼻咽喉科です。日帰り手術も可能なので、ぜひ1度ご相談ください。

まとめ

急性副鼻腔炎は、空洞になっている副鼻腔が炎症を起こしている状態のことです。炎症が起きると、粘り気の鼻水やくしゃみ・咳・痰などが症状として現れます。症状を放置してしまえば慢性状態になるため、早めに治療を始めてください。主な原因は風邪などのウイルスになるので、治療方法として抗菌薬を投与することになるでしょう。早めに正しい処置をすれば、軽い症状のうちに解消できます。慢性副鼻腔炎になると治療期間が長く完治するまで時間がかかるので気をつけてくださいね。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績