鼻炎の手術費用はどのくらい? 日帰りでできるって本当?

鼻炎の手術費用はどのくらい? 日帰りでできるって本当?

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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「鼻炎の症状がひどく、手術をすすめられたが費用が心配」「鼻炎の手術はどんな手術でも日帰りで行えるの?」など、鼻炎の手術に関する悩みを抱えている人は多いことでしょう。手術というと何日も入院し、体への負担も大きいというイメージがあります。しかし、鼻炎の手術は日帰りでできるものも多く、費用も数万円程度に収まるものも多いのです。

そこで今回は、鼻炎の手術の種類や費用について紹介します。

  1. 鼻炎の手術に関する基礎知識
  2. 鼻炎の手術の種類と費用について
  3. 鼻炎の手術費用について
  4. 鼻炎の手術や費用に関するよくある質問

この記事を読めば、手術を受ける目安などもよく分かるでしょう。鼻炎の手術をすすめられている人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.鼻炎の手術に関する基礎知識

はじめに、鼻炎の手術をすすめられる症状や手術のメリットなどを紹介します。

1-1.鼻炎とはどのような病気?

鼻炎とは、鼻粘膜や副鼻腔が炎症を起こして鼻づまりや鼻水といった症状が出る病気です。アレルギーが原因ならばアレルギー性鼻炎、副鼻腔が炎症を起こした場合は副鼻腔炎などの病名がつきます。アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎は鼻炎の中でも特に患者数が多く、重症化すると日常生活に支障が出るほど鼻水や鼻づまりがひどくなることも、珍しくありません。

1-2.重症な鼻炎には手術が効果的

鼻炎は、まず投薬や鼻洗浄などの治療が行われます。しかし、鼻炎が重症化すると投薬では鼻水・鼻づまりが全く改善しないこともあるでしょう。このような場合、手術療法で症状を軽減することをすすめられます。

1-3.投薬の効果が出ない場合は、手術がすすめられる

鼻炎の治療を受けている最中で、投薬治療を行っても症状の改善が見られない場合は、手術をすることで症状の軽減が期待できます。また、副作用の問題などで服用できる薬が限られている場合も、手術をすすめられることが多いでしょう。このほか、鼻中隔湾曲症といって、鼻を左右に分ける軟骨の曲がりがひどく、それが鼻づまりの原因になっている場合は、矯正手術がすすめられます。

2.鼻炎の手術の種類と費用について

この項では、主な鼻炎の手術とそれにかかる費用を紹介します。ここで紹介するのは、日帰り手術の保険点数による手術費(3割負担)のみです。それ以外に、術前の検査料・再診料・術後の薬剤料などが加わります。

2-1.鼻粘膜焼灼術

鼻粘膜焼灼術(びねんまくしょうしゃくじゅつ)とは、鼻腔内の下鼻甲介粘膜(かびこうかいねんまく)という部分を、レーザーなどで浅く焼く手術のことです。下鼻甲介粘膜にアレルゲンがつき、抗体が過剰に作られてアレルギー反応が出るがことにより、鼻水や鼻づまりといった症状が現れます。そのため、その粘膜を焼くことで症状の軽減が期待できるのです。重度のアレルギー性鼻炎の患者に行われる手術で、局部麻酔で行われます。日帰りが可能で、費用は片方で2,700円(3割負担)です。

2-2.鼻中隔矯正術

鼻中隔矯正術(びちゅうかくきょうせいじゅつ)は、鼻中隔湾曲症の治療として行われます。文字どおり鼻腔を分けている鼻中隔という軟骨の一部を削る手術です。局所麻酔で行われ、効果は半永久的に続きます。費用は、3割負担で20,580円です。

2-3.粘膜下下鼻甲介切除術

粘膜下下鼻甲介切除術(ねんまくかかびこうかいせつじょ)とは、鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の矯正手術として行われる、下鼻甲介の粘膜を取り除く手術です。鼻中隔矯正術と併せて行われ、局所麻酔で1時間ほどで終わります。費用は片側で8,880円(別途、鼻中隔矯正術が必要)です。

2-4.後鼻神経凍結術

アレルギー性鼻炎を発症すると、鼻粘膜と脳を結ぶ神経が敏感になって、弱い刺激でも鼻水が出るようになります。そこで、後鼻神経という脳と鼻粘膜をつなぐ神経を凍結変性させることで、症状を軽減させる手術です。手術といっても、神経を凍結させるだけのもので危険は少ないので、鼻粘膜焼灼術と一緒に行われることが多いでしょう。日帰りで行うことができ、費用は片側で2,400円です。

2-5.後鼻神経切断術

後鼻神経切断術は、その名のとおり後鼻神経を切断する手術のことです。後鼻神経凍結術でも症状の改善ができない、重度のアレルギー性鼻炎の治療として行われます。鼻粘膜焼灼術を複数回行っても効果が出なかった、という人に行われることが多いでしょう。日帰りの手術でも行えますが、症状によっては入院をすすめられることもあります。費用は7,9590円です。入院の場合は、全身麻酔+入院費として3万円~の増額となるでしょう。

2-6.内視鏡下副鼻腔手術(ESS)

内視鏡下副鼻腔手術とは、内視鏡を用いて副鼻腔炎の病巣を取り除き、副鼻腔と鼻腔のとおりをよくする手術です。重症な慢性副鼻腔炎の患者に行われます。症状に応じて、日帰りで行うこともあれば、1泊2日以上の入院で行うこともあるので医師とよく相談して決めてください。費用は手術する部位によって片側で10,800~95,700円と幅があります。

3.鼻炎の手術費用について

この項では、鼻炎の手術費用の内訳や健康保険・高額医療費適応について解説します。

3-1.鼻炎の手術費用の内訳

鼻炎の手術費用の内訳は、手術代・検査料・再診料・薬代です。また、病院によってはサイト上で手術費用を公開しているところもありますが、これは片側の手術費用になります。両方の鼻腔を主従した場合、手術費用は2倍かかると考えておきましょう。

3-2.手術費用の違いはどこで決まる?

手術費用の違いは、手術の内容・麻酔の種類・入院日数によって違います。たとえば局部麻酔より全身麻酔の方が高価です。ですから、局所麻酔で日帰りで手術を行えば、費用は安めになります。

3-3.健康保険や高額療養費制度について

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎・鼻中隔湾曲症の治療のための手術は、健康保険が適用になります。また、複数の手術を同時に受け、費用が高額になった場合は高額療養費制度を利用することが可能です。これは、所得や年齢に応じて上限度を超えた医療費を支給してもらう制度で、後から申請すれば上限を超えた額が返ってきます。高額療養費制度を利用するための認定証については、加入している保険の窓口に問い合わせてください。

4.鼻炎の手術や費用に関するよくある質問

この項では、鼻炎の手術や費用に関するよくある質問について解説します。

Q.鼻炎の手術は、一度に複数行うことはできるでしょうか?
A.はい。たとえば、鼻粘膜焼灼術と後鼻神経凍結術を行うことなどはできます。

Q.鼻炎の手術は、何歳から行えるでしょうか?
A.局部麻酔の場合、暴れたりするとうまくいきません。全身麻酔の場合は、3~4歳から受けることができます。局部麻酔の手術は、7~8歳から行う病院が多いでしょう。

Q.鼻炎の手術は、どの耳鼻咽喉科でも行っていますか?
A.いいえ。手術設備がない病院もあるので事前に確認してください。

Q.鼻炎の手術は自由診療のものはありますか?
A.現在のところ、自由診療はありません。

Q.鼻炎の手術を行うと、傷が目立ちますか?
A.いいえ。鼻腔内の手術なので傷が残ることはありません。

まとめ

いかがでしたか?  今回は鼻炎の手術の種類や費用について解説しました。鼻炎の手術は健康保険が適用されるので、高くても10万円前後に収まります。高額療養費制度も使えるので、すすめられたら早めに受けましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績