副鼻腔炎で咳が止まらないことも? 改善には病院での治療が必要!

副鼻腔炎で咳が止まらないことも? 改善には病院での治療が必要!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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「風邪は治ったはずなのに咳(せき)が止まらない」「痰(たん)がからんだ咳が治らない」という場合、その原因は副鼻腔炎である可能性があるでしょう。副鼻腔炎といえば「鼻の疾患」ですが、症状の一つに「長引く咳」があるのです。なぜ副鼻腔炎で咳が出るのか、そのメカニズムや、咳が長引くときの対処法、病院での治療法などを詳しくご紹介しましょう。

  1. 副鼻腔炎と咳の関係
  2. 副鼻腔炎による咳の特徴は?
  3. 副鼻腔炎による咳の対処法
  4. 副鼻腔炎の咳はどう治療するのか?
  5. 副鼻腔炎の咳に関するよくある質問

この記事を読むことで、副鼻腔炎でなぜ咳が出るのか、咳が長引くときはどうすればよいのかが分かるはずです。ぜひ参考にして早めに対処してください。

1.副鼻腔炎と咳の関係

まずは、副鼻腔炎のメカニズムや、咳が出る原因などを解説します。

1-1.副鼻腔に炎症が起きている状態が「副鼻腔炎」

副鼻腔炎とは、副鼻腔に炎症が起きている状態をいいます。原因は主にウイルスや細菌感染です。鼻腔をとおって副鼻腔に侵入したウイルスや細菌が、副鼻腔の炎症を引き起こすというメカニズムになります。

1-2.鼻水が喉に流れ込み、咳が出る

副鼻腔炎で咳が出るのは、鼻水が喉のほうに流れ込むためです。炎症がすすむと、膿(うみ)がたまって粘り気のある鼻水が出るようになります。この鼻水が喉のほうへ流れることで、痰(たん)がからんだ咳につながるのです。喉に付着した鼻水を吐き出そうとする、体の防御反応の一つです。

1-3.放置すると慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になることも

副鼻腔炎を放置すると、慢性化します。鼻水やひどい鼻づまり、頭痛、痰(たん)のからんだ咳、嗅覚低下などの症状が長引くのが特徴です。長期間にわたる薬物治療や、ひどいときは手術が必要になることもあるため、注意しなければなりません。

2.副鼻腔炎による咳の特徴は?

副鼻腔炎は風邪の症状と似ているため、見分けるためにも咳の特徴を知っておく必要があるでしょう。咳以外にともなう症状についてもご紹介します。

2-1.就寝時や起床時に痰(たん)がらみの咳が多く出る

寝ている間に喉にたまった鼻水は、さらに粘り気を増します。就寝時や起床時には、この喉にたまった鼻水を吐き出すために痰(たん)のからんだ咳が出やすくなるのです。

2-2.咳止めの薬を飲んでも改善されない

市販の咳止め薬を飲んでも、症状は改善されません。根本の原因は副鼻腔炎にあるため、副鼻腔炎を治療する必要があるのです。「咳止めを飲んでもよくならない」という場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

2-3.鼻水や頭痛をともなう

咳のほかに、鼻水や頭痛をともなうケースが多くなっています。副鼻腔炎で頭痛が起こるのは、三叉(さんさ)神経を刺激してしまうためです。頭だけでなく顔面に痛みを感じることも多いでしょう。

副鼻腔炎にもいろいろな症状があるのですね。
必ずしもすべての症状が現れるわけではありませんが、「風邪は治ったはずなのに咳や鼻水がおさまらない」というときは、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。

3.副鼻腔炎による咳の対処法

副鼻腔炎による咳を止めるためには、耳鼻咽喉科での治療が必要です。少しでも早く症状を改善するために、自宅でもできるセルフケア方法や注意点についても知っておきましょう。

3-1.こまめに鼻をかむ

副鼻腔炎になるとたくさんの鼻水が出るため、こまめに鼻をかむようにしましょう。ただし、鼻のかみ方を間違えると、症状が長引いたり、中耳炎を併発したりすることもあります。強くかみすぎず、数秒かけてゆっくりとかむようにしてください。

3-2.睡眠中は十分に加湿する

鼻がつまって寝苦しいときは、加湿器を使って寝室の湿度を上げるなど、鼻のとおりがよくなるように工夫してください。鼻に蒸しタオルを当てて粘膜を柔らかくする方法もおすすめです。

3-3.市販薬だけで副鼻腔炎を治すのは難しい

副鼻腔炎に使用できる市販薬はありますが、市販薬だけで治そうとするのはおすすめできません。なぜなら、副鼻腔炎に市販薬がどの程度効果的であるか、十分に検討されていないためです。自覚症状から副鼻腔炎が疑われる場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診してください。重症度を診断してもらい、適切な治療を受けることが必要です。

症状が和らぐセルフケア方法もあるのですね!
鼻をこまめにかんだり加湿したりすることで、確かにつらい症状は緩和されます。しかし、あくまでも一時的なものです。副鼻腔炎そのものを治すためには、やはり耳鼻咽喉科での治療が必要になるでしょう。

4.副鼻腔炎の咳はどう治療するのか?

病院ではどのような治療が行われるのでしょうか。

4-1.副鼻腔炎を治療すれば咳はおさまる

前述したように、副鼻腔炎を治療すれば咳はおさまります。原因となっている病原体を除去することと、炎症によって起こる不快な症状を解消することが治療の目的です。

4-2.薬物療法

基本的には薬物療法が行われます。原因菌を殺すための抗生物質や、鼻水や鼻づまり・痰(たん)がらみの咳を和らげるための薬が処方されることになるでしょう。そのほかにも、炎症が強い場合は一時的にステロイドを使用することがあります。また、頭痛や顔面痛が強いときには鎮痛剤が処方されるなど、症状に合わせて処方されるのが一般的です。

4-3.鼻水吸引・鼻洗浄・ネブライザー療法

薬物療法と合わせて、鼻吸引や鼻洗浄・ネブライザー療法が行われる場合もあります。

  • 鼻水吸引:血管収縮薬などで副鼻腔の腫れを抑え、たまった鼻水を吸引して取り除く
  • 鼻洗浄:鼻粘膜に麻酔をかけて上顎洞に生理食塩水を注入し、洗浄する
  • ネブライザー療法:抗菌薬やステロイドを含んだ薬液を霧状にして鼻から吸いこみ、副鼻腔へ送り込む

4-4.手術療法

症状が重い場合は、手術が行われます。炎症を起こしている粘膜を取り除いたり、副鼻腔内に膿(うみ)がたまらないように広げたりすることが目的です。最近は内視鏡による手術が増えており、外科手術に比べて体の負担を軽く済ませることができます。

副鼻腔炎の治療には、薬物療法やネブライザー療法などの保存療法と、手術療法があります。どんな治療が必要になるか、きちんと診断してもらうことが大切です。
必要な治療法を見極めてもらうためにも、専門医にみてもらうのが一番なんですね!

5.副鼻腔炎の咳に関するよくある質問

「副鼻腔炎の咳について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.副鼻腔炎になりやすいのはどのような人ですか?
A.副鼻腔炎は繰り返しやいため、過去にかかったことがある人は特になりやすいでしょう。また、もともと花粉症やアレルギー性鼻炎を患っている人も、副鼻腔炎になりやすいため注意が必要です。

Q.副鼻腔炎を予防するにはどうしたらよいでしょうか?
A.普段からできるだけマスクを着用して外出するようにし、風邪を予防しましょう。また、加湿と栄養バランスのとれた食事を心がけてください。

Q.急性副鼻腔炎は放置すると必ず慢性化するのですか?
A.症状が軽いうちに、こまめに鼻をかむなど適切な対処をしていれば、自然治癒することもあります。症状が明らかに改善しないようであれば、慢性化する前に受診しましょう。

Q.副鼻腔炎の合併症にはどのようなものがありますか?
A.炎症が広がることで、中耳炎を引き起こすことが多いでしょう。また、髄膜炎など脳の合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

Q.子供も副鼻腔炎になるのでしょうか?
A.なります。子供の副鼻腔炎は治療が長引く可能性が高いため、早めの対処が必要です。

まとめ

いかがでしたか? 副鼻腔炎による咳について詳しくご紹介しました。痰(たん)がらみの咳が長引くとき、副鼻腔炎を疑う人は少ないと思います。しかし、長引く咳は副鼻腔炎の症状の一つです。早めに治療する必要がある場合も多いということを覚えておきましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績