副鼻腔炎で口臭が起こる原因とは? 病院での治療や自分でできる対策

慢性副鼻腔炎で口臭が起こる原因は? 病院での治療や自分でできる対策

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
ドクターズ・ファイル取材記事
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慢性副鼻腔炎は、別名を蓄膿症と呼びます。副鼻腔に膿(うみ)が溜まる病気で、悪臭を放つのが特徴です。頭や顔に痛みを感じる方もいます。慢性副鼻腔炎は口臭とも関連があり、自分で臭いを感じるころには病気が進行している可能性もあるのです。慢性副鼻腔炎による口臭の原因や対策などを覚えておき、不快な症状を解消するきっかけにしてください。

今回は、慢性副鼻腔炎と口臭の関連についてご紹介します。

  1. 慢性副鼻腔炎で口が臭い!
  2. 口臭チェック
  3. 慢性副鼻腔炎による口臭対策
  4. 慢性副鼻腔炎の治療について
  5. 慢性副鼻腔炎と口臭に関するよくある質問
  6. まとめ

この記事を読むことで、慢性副鼻腔炎と口臭の関連についてよく分かります。口臭は自分では気づきにくいものです。セルフチェックでご自身の状態を確認し、対策をとってください。

1.慢性副鼻腔炎で口が臭い!

慢性副鼻腔炎で口臭が起こる原因やメカニズムを見ていきましょう。

1-1.なぜ口臭がするのか?

慢性副鼻腔炎とは、鼻の奥にある副鼻腔という部位に膿が蓄積する病気です。膿は細菌が混じった粘液であるため、腐敗したような悪臭を放つとされています。つまり、口臭があるのは、細菌の繁殖によるものといえるでしょう。なぜなら、普段から鼻腔内には透明の粘液が存在しますが、細菌感染によって炎症が起こり、細菌が増殖して黄色く粘りのある粘液に変化するからです。

また、鼻と口はつながっています。すなわち、口臭が起こるのは、副鼻腔から粘液が喉に降りてくるためなのです。

1-2.口呼吸が悪化する原因

細菌に感染した膿が喉へと流れるため、口臭を招くことが分かりました。ほかには、口呼吸も原因で口臭を引き起こすことがあります。なぜなら、喉に膿が蓄積して閉塞感を抱き、鼻呼吸がしにくくなるため、自然と口呼吸になるからです。また、口呼吸になることで、口の中が乾燥した状態になります。つまり、唾液が減少することも引き金になっており、口腔(こうくう)内環境が悪化して口臭となって現れるのです。

2.口臭チェック

口臭の有無は、自分では気づきにくいものです。セルフチェックで確かめてみてください。

  • ブレスチェッカーで数値を確認する(数値が高ければ注意が必要)
  • 自分でも口や鼻から臭いを感じる
  • 鼻水が黄色く濁っている
  • 食べものの味を感じない
  • 鼻水や鼻詰まりがある
  • 人から口臭を指摘された

上記の項目にあてはまる場合、副鼻腔炎による口臭の危険性があります。耳鼻咽喉科を受診してください。

3.慢性副鼻腔炎による口臭対策

副鼻腔炎による口臭は、自分なりに対策を整えるだけでも改善することができます。

3-1.セルフケア

3-1-1.歯磨き

唾液の減少や口腔内環境の悪化も関連しているため、歯磨きをすることは口臭予防に最適でしょう。というのも、口腔内に細菌が繁殖すると悪臭を放つことになりますが、原因となる菌を洗浄することできれいな口腔内環境を維持できるのです。たとえば、食後に必ず歯磨きをするなど、衛生的な環境を維持する工夫が大切となります。難しいようなら、1日2回でも構いません。歯磨きをこまめにする習慣を持ちましょう。

3-1-2.水分補給

水分補給も、口臭予防に一定の効果があります。口呼吸になって口腔内が乾燥した状態になると、自然と口臭が気になるものです。しかし、水分を適切に摂取していれば、乾燥を予防し、口臭を抑えることができます。水分摂取時に注意したいのは、糖分を含まないものを取ることです。なぜなら、糖分は細菌のえさとなり、増殖を促します。そのため、糖分が多い飲料の摂取を控えたほうがいいのです。また、糖分に限らず、カフェインを含むものも避けるべきでしょう。

3-1-3.咀嚼(そしゃく)する習慣を持つ

嚙(か)むことは、唾液の分泌を促す役割を持っています。つまり、口腔内の乾燥を予防し、細菌の繁殖を抑える働きがあるのです。また、唾液は雑菌や食べかすを洗い流す作用があるため、よく嚙んで食事することを意識してください。

3-2.根本的な副鼻腔炎の治療をする

副鼻腔炎による口臭は、自分でも悪臭を感じやすいのが特徴です。口臭の原因を断ち切るためには、耳鼻咽喉科を受診し、根本的な副鼻腔炎の治療をしましょう。受診時は、口臭が気になることを伝えてください。というのも、細菌による鼻水や鼻詰まりなどの症状は風邪と非常によく似ているため、臭いなどを申告しなければ、風邪だと見逃してしまうことがあるからです。気になる点はきちんと伝え、診察を受けましょう。

4.慢性副鼻腔炎の治療について

口臭の原因にもなる慢性副鼻腔炎は、根本から治すことが大切です。治療方法や注意点などをご紹介します。

4-1.治療方法

4-1-1.薬

病院での治療は、細菌に対する抗菌作用がある抗生物質を用います。つまり、細菌の消滅を促し、慢性副鼻腔炎の改善を促すのです。しかし、抗生物質は一定期間服用することで完治に導くものであるため、医師の指示した期間は飲み続けなければなりません。

4-1-2.溜(た)まった膿を洗い流す治療

薬を使った治療と並行してなされることが多いのは、溜まった膿を洗い流す治療です。要するに、副鼻腔を洗浄する処置で、臭いや細菌も排出することができます。ただし、抗生物質などの薬はきちんと指示どおりに服用してください。

4-1-3.手術

慢性副鼻腔炎が悪化し、保存療法では限界がある場合に選択されるのが手術療法です。何度も繰り返す場合などに行われるもので、薬でも一定の効果を示さなかった症例にも適用されます。内視鏡を使った手術が行われます。局所麻酔を行うのが一般的です。閉塞した部分を切除し、鼻詰まりなどの改善を促すことができます。閉塞部分が開通し、細菌の感染層も除去できるのがメリットです。

4-1-4.そのほかの治療方法を紹介

上記でご紹介した治療方法以外では、市販の点鼻薬を用いた治療もあります。つまり、ドラッグストアなどで購入し、定期的に点鼻薬を塗布する方法です。市販の点鼻薬には血管収縮作用があり、一時的に鼻詰まりなどが解消したように感じます。一方で、副鼻腔炎の原因となる細菌へのアプローチができないため、再発を繰り返すというデメリットがあるのです。そのため、点鼻薬を用いる場合でも、耳鼻咽喉科での治療がベストな手段となります。

4-2.注意点

慢性副鼻腔炎の薬物治療は、抗生物質を2〜3か月服用する必要があります。細菌の消滅まで、徹底した治療を要するためです。すなわち、途中で服用を止めてしまった場合、細菌が再強化され、症状が悪化する可能性が高まります。というのは、細菌は抗生物質への耐性菌を生み出しやすく、服用を止めてしまった場合はさらに強い菌となり、症状を強める働きがあるからです。そのため、一定期間の服用をすることが大切になります。

4-3.再発について

慢性副鼻腔炎の特徴は、再発の可能性があることです。重症化しない限り、70%の患者が回復する病気ですが、30%の患者は再発するリスクを負っています。再発する場合、手術で完治を促す治療が行われるでしょう。また、鼻腔内にポリープなどができている場合も、切除して閉塞した部位を開通する手術をすることで、慢性副鼻腔炎の回復が期待できます。

5.慢性副鼻腔炎と口臭に関するよくある質問

慢性副鼻腔炎と口臭に関するよくある質問をまとめました。これを読んで疑問を解決してください。

Q.慢性副鼻腔炎になったら、鼻呼吸でも臭いはするもの?
A.慢性副鼻腔炎になると、副鼻腔の中には膿が溜まっています。膿そのものに悪臭があるため、鼻呼吸でも臭いがするのです。

Q.マウスウォッシュの使用で慢性副鼻腔炎の口臭は防ぐことができるのか?
A.はい、一時的な緩和になります。しかし、喉に膿が降りてきて口呼吸になることが多いため、歯磨きでしっかり口腔ケアをすることが大切です。同時に、慢性副鼻腔炎の治療を行ってください。

Q.鼻うがいも副鼻腔炎の治療には効果があるのか?
A.副鼻腔に溜まった膿を出すセルフケアとして、鼻うがいもおすすめです。病院での治療と合わせ、鼻うがいをしましょう。鼻詰まりが解消し、すっきりした感覚を抱くことができます。

Q.慢性副鼻腔炎になると、頭痛や発熱も起こるというのは本当ですか?
A.はい、本当です。口臭は他人から指摘されるだけではなく、自分でも気づきやすいものであるため、口臭ばかりに注目されることが多くなっています。しかし、本来、細菌への感染が原因となっているため、発熱や膿の蓄積による頭痛などの症状も併発するのです。そのため、適切な治療をし、完治に導くことが、再発を防ぐためにも大切になります。

まとめ

いかがでしたか? 慢性副鼻腔炎と口臭は、関連があることが分かりました。原因は、細菌感染した膿が喉に降りてくることです。鼻と口は密接な関係があるため、口臭などの影響を受けやすくなります。また、副鼻腔炎の特徴は、臭いを自覚しやすいことでしょう。耳鼻咽喉科を受診するときは、口臭が気になることを伝え、原因を特定した治療を受けることが大切です。歯磨きなど口臭を予防する対策も重要ですが、根本から慢性副鼻腔炎を治すように、病院で診察を受けてください。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

監修者

川村 繁樹
医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック 院長
医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医

耳鼻咽喉科専門医として10年間にわたり大学付属病院の部長を経験し、平成16年に川村耳鼻咽喉科クリニックを開業。親切で丁寧な診察・手術に定評があり、毎月300名以上の新患が来院。

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎に対する凝固手術(局所麻酔下・日帰り):約1~2ヶ月
  • 鼻中隔弯曲症と中等以下副鼻腔炎に対する手術(局所麻酔下・日帰り):約10ヶ月
  • 鼻閉に対する鼻中隔弯曲症と下甲介の手術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術(局所麻酔下・日帰り):約半年
  • 重症副鼻腔炎に対する手術(全身麻酔・一泊):約5ヶ月

の手術待ち状況となっている。

アレルギー性鼻炎に対する最も効果の高い手術として認識されている『超音波凝固装置による後鼻神経切断術』や、副鼻腔炎に対する新しい術式である『前方からのアプローチによる内視鏡下鼻内手術』を考案し、平成23年の日本鼻科学会『好酸球性副鼻腔炎の診断と評価作成基準の試み』では全国から選ばれた5人の内、唯一開業医として参加。現在も毎年250件以上の手術を行っており、継続的にその成績を学会や論文で報告している。

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論文・著書、シンポジウム・講演・海外発表の実績