ここでは過去に私が行った手術の治療成績を示します。患者さんが手術を考える場合に最も気になるのはその病院の手術成績だろうと思います。アメリカなどでは病院の評価方法として手術件数や成績を公開することは一般的になりつつあり、むしろ公開しない病院は評価対象にもされない傾向があります。ところが、日本ではまだまだ個人は勿論、病院単位でも症例数や手術成績が不明なところがほとんどで、病院を選ぼうにもベット数や診療科目、医療設備程度しか情報は得られず結局は家から近いとか近所の評判とかで判断しているのが現状でしょう。これからの情報化時代、病院を評価する方法として手術成績などはどんどん公開される傾向が出てくるでしょうが、ここでのもう一つの問題は執刀医が変わると病院としての成績も変わるということです。癌治療など執刀医の力量以外のチーム医療や治療設備などの総合力が治療成績を左右する疾患と異なり、鼻や耳などの病気はほとんど執刀医の知識や技術が成績に直結するといっても過言ではありません。したがって鼻・耳などの治療成績は病院の耳鼻科部長(医長)の専門が転勤などによって鼻からのどに変わると成績が急変することも珍しくありません。この事も病院がコンスタントに成績を公表できない理由の一つかもしれません。そういった意味からは個人の手術成績の方が信頼できると考え10年以上前から私自身の成績を検討し学会などで発表してきました。手術を行うからには手術数や成績を明らかにすることが信頼につながると考えておりますので過去に論文や学会で報告した信憑性の高いものをホームページ上で公開することにしました。今後も当クリニックで行った手術数や成績を公開していくつもりです。
早速、表1に当クリニック開設後の鼻の手術数を示しました。手術をはじめたのはほぼ今年からですので2005年上半期の集計とも言えます。ラジオ波凝固術+後鼻神経凍結術とはアレルギー性鼻炎や花粉症に行う外来手術です。季節性があって1月〜3月に集中しますがこの手術のみ行ったのが83名であり、それ以外の鼻の手術は53名でした。1人の方に数種類の術式を行うことがあり術式合計としては多くなっています。なお、内視鏡下鼻腔形態改善術とは鼻中隔矯術と粘膜下下甲介骨切除術をあわせて、あるいはどちらかを行ったものです。これら半年で136件(83+53)の手術件数は大学勤務時代よりも多く、短期入院手術の社会的ニーズをあらためて実感しています。
補足:日帰り手術、短期入院手術について
このホームページ内で何度か出てくる、日帰り手術・短期入院手術について少し説明します。日帰り手術とは外来で行いそのまま帰宅する手術でいわゆる外来手術(office surgery)と、当日午前10時から翌日午前10時までの24時間以内に退院する1泊2日のone day surgeryとに分かれます。一方2泊3日の入院で行う手術を短期入院手術(short stay surgery)と呼んでいます。全て私が執刀いたしますが外来手術は当クリニックで、1泊2日で行う手術はおくだクリニックで、2泊3日は岩野耳鼻咽喉科サージセンターで行います。これらの入院日数の選択は基本的には病気の重症度で決定します。すなわち、病気が軽ければ外来で行えますし、重症であれば手術で触る範囲が広がるので2泊3日が必要なことが多くなります。また、当クリニックで行う手術は局所麻酔となりますので全身麻酔がご希望の時はおくだクリニックで行います。(表2)
これらの日帰り手術・短期入院手術はアメリカで発展し、いまや全手術の8割が日帰り手術といわれています。アメリカでは評判の良いクリニックで手術を行い、提携する近くのホテルで宿泊して入院日数、入院費の削減をはかるといった形態が中心となっているようです。アメリカでは大病院より個人の有名なクリニックの方が人気があるようですが、その理由として個人のクリニックに行けば必ずその先生が手術をするということ、すなわち大病院では誰に当たるか分かりませんが治療成績の良いクリニックに行けばその先生が手術をするという安心感があります。更に大病院では執刀医と術後を診る医師が違ったり、執刀医がが転勤などで突然いなくなるという危険性もありますが、クリニックでは診断から執刀、術後、さらには症状が急変したときでもいつでも執刀した先生が診てくれるという安心感もあるようです。さすがに日本では術後にホテルで泊まるといったところまでは進んでいませんが、今後このような形態が日本でも増えてくると予想されます。