ESS(内視鏡下副鼻腔手術) 大阪の川村耳鼻咽喉科クリニック

鼻の病気

副鼻腔炎(蓄膿症)

鼻腔炎の手術的治療

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
 

従来の手術療法
前述の保存的治療で改善しない場合や反復する場合には手術療法の適応となります。20年ほど前までの副鼻腔手術の考え方は、副鼻腔の粘膜を残さず摘出するのが良いとされており、結果的に骨の表面が広く露出し、傷つき、副鼻腔の生理的状態が損なわれたり、術後に粘液が貯まる嚢胞が再発することも少なくありませんでした。

近年の手術療法
近年の研究により副鼻腔炎の原因として固有鼻腔(いわゆる鼻の中)の炎症や形態に問題がある事が分かってきました。従って、固有鼻腔の病変が改善し、固有鼻腔と副鼻腔との間の換気と排泄機能が改善すればある程度粘膜を温存する方がより生理的状態に近い形で治ることが判明しました。すなわち、固有鼻腔と副鼻腔の交通を十分につけ、病的な粘膜のみを摘出すれば正常粘膜を温存する方が良いというのが現在の考え方です。そのために以前のように唇の裏で歯茎を切って骨の一部を摘出するのではではなく、固有鼻腔から全ての手術操作を行う方がより安全で合目的であると考えられています。ただ、そのためには肉眼で行うのは困難で危険性が高く、様々な角度の内視鏡を用いることにより、従来見えなかった部分も手術操作が可能となり、顔や唇に傷をつけることなく手術が行えるようになりました。また、マイクロ・デブリッダーと呼ばれる内視鏡用に粘膜を摘出する手術器具も開発されました。このような手術概念や医療機器の進歩に伴い普及してきたのがESSと呼ばれる内視鏡下副鼻腔手術です。

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の利点と当院での手術療法
従来の手術と比較して内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の大きな利点の一つに体に対するダメージが(手術侵襲)が少ない事が挙げられます。したがって、術後の出血や顔の腫れが少なく、従来法に多く見られた頬部のしびれ感はほぼありません。従って以前の手術ではが両側の副鼻腔手術で2〜3週間の入院が必要であったのに対し、ESSはほとんどの施設で1週間程度の入院で行われています。ただし、内視鏡を用いるから、あるいは手術侵襲が小さいからといってESSが簡単な手術であるというわけではありません。むしろカメラの映像をモニターに投影して行う手術であるために従来の方法以上に解剖の知識と高度なテクニックや経験が要求される術式とも言えます。当院では病変の程度に応じて日帰り手術で行っております。全身麻酔や他の手術も必要な方は提携する「おくだクリニック」にて当院医師が執刀し1泊2日の短期入院手術を行います。その効果については手術成績をご覧下さい。

鼻中隔は左右の固有鼻腔の境となる板状の骨です。また左右それぞれの固有鼻腔には下鼻甲介や中鼻甲介、上鼻甲介と呼ばれる棚状の構造物があります。これらの構造物は内部が軟骨や骨でありその周囲は粘膜でおおわれています。鼻中隔が高度に弯曲したり、発育時に中鼻甲介の内部に空洞が形成される中甲介蜂巣が存在すると固有鼻腔の形態が悪くなり鼻づまりや副鼻腔炎の原因となります。同様にアレルギー性鼻炎や点鼻薬の頻用で下甲介粘膜が腫れている場合や、下鼻甲介骨の形が悪い場合も鼻づまりの原因や副鼻腔炎の増悪因子となり得ます。このような時には固有鼻腔の形態を内視鏡下に改善する手術の適応となります。この手術単独であれば当院ではほぼ日帰り局所麻酔下に行います。重症の副鼻腔炎を合併している場合には一泊での全身痲酔下に行います。
詳しくは「鼻中隔矯正術・粘膜下下甲介骨切除術」をご覧ください。

  症状の変化と安全性の検討 短期手術成績 BACK