花粉症 大阪の川村耳鼻科

鼻の病気

アレルギー性鼻炎

はじめに

現在、国民の15〜20%すなわち5人に一人はアレルギー性鼻炎にかかっており、患者数の増加と発症の低年齢化が社会的にも問題となっています。その治療の主体は薬局や病院で処方される薬物療法ですが、アレルギー性鼻炎は体質的な病気であり基本的にはお薬で治るものではありません。(自然に治る率は10%前後とされています)

鼻腔所見

鼻腔所見

固有鼻腔(いわゆる鼻の中)には左右それぞれ下鼻甲介、中鼻甲介と呼ばれる棚状の突起物が存在し、その表面は粘膜で覆われています。そのうちの下鼻甲介は鼻の入り口である鼻孔に最も近く、鼻から吸い込まれたホコリや花粉などの抗原は下鼻甲介粘膜に付着します。それによってアレルギー反応が起こると下鼻甲介は白く、ぶよぶよに腫れます。またある種の点鼻薬を使いすぎても下鼻甲介は腫れますがそのときは比較的赤く腫れ上がります。

どうして起こるの?

どうして起こるの?

人間には、体の外部から侵入してきたもの(異物)を体から排除しようとする働きがありますが、ほこりやスギ花粉などの抗原が下甲介などの鼻の粘膜に付着すると、それを異物として認識して、その抗原だけに反応するIgE抗体という物質が作られます。この状態を感作の成立と呼び、アレルギーが起こる準備ができた状態です。(図1の1)
このIgE抗体が肥満細胞などのアレルギーを起こす細胞の表面に結合し、つぎに抗原が侵入すると抗原抗体反応が起こり、ヒスタミン・ロイコトリエンといったケミカルメディエーターが放出されます。これがアレルギー反応です。(図1の2)
これらのケミカルメディエーターは直接血管に作用し、血管の拡張をもたらし、血管から水分が粘膜下に漏れることによってて鼻づまりを起こします。(図1の3)
ケミカルメディエーターの刺激は知覚神経へと伝わり(脳)を介して横隔神経、迷走神経を興奮させることによってくしゃみを引き起こします。(図1の4)また、ヴィディアン神経、後鼻神経などの分泌神経を興奮させることによって鼻の粘膜に存在する鼻腺に作用して鼻水を出します。(図1の5)
したがって、鼻づまりは粘膜局所での反応が主であり、くしゃみの全てと鼻水の多くは知覚神経と分泌神経を介した反応であると言えます。

診断

アレルギー性鼻炎の診断は特徴的な粘膜の所見、症状、採血によって行います。

1:症状
診断

発作性のくしゃみ・鼻水・鼻づまりの3症状がほこり・ダニなどの通年性アレルギーでの特徴的な症状です。

花粉症では、スギ、ヒノキであれば春に、イネ科であれば初夏に、ヨモギなどであれば秋に上記の3症状に加えて目、耳、のどのかゆみや、皮膚があれる、頭が重いといった症状があらわれることがあります。

かぜでは発熱、筋肉痛、関節痛などの症状を伴うことが鑑別になります。

2:検査
a:RAST、MAST

採血によって血液中の抗原に反応するIgE抗体の種類、量を調べます。一般的にはハウスダスト(ほこり)、とスギ、ヒノキ、カモガヤ(イネ科)、ヨモギなど花粉に対する抗体の量を調べます。さらにはご希望によってネコやイヌなどの動物上皮や食べ物に対する検査も可能です。

b:鼻粘膜誘発試験

ハウスダストやス等のアレルギーを起こす物質のエキスを紙切れに染み込ませて下鼻甲介表面に置いて局所の反応を観察します。くしゃみ、鼻汁、鼻閉のどの症状が現れるか、その程度を定量的に調べる事ができます。また、治療前後での効果判定にも有用です。

c:内視鏡検査

アレルギー性鼻炎の確定診断ではありませんが、鼻内所見の観察は診断に重要です。下鼻甲介の腫脹の程度や色調、鼻汁の量や正常は治療に必要な情報です。また、治療効果に影響する要素として鼻中隔弯曲症や副鼻腔炎の合併を調べる事も大切です。

保存的治療

A:薬物療法
B:免疫療法(舌下免疫療法)

スギ花粉症に対して根本的な治療が期待できる免疫療法として舌下免疫療法(SLIT)が2014年秋以降に一般の診療所でも行える見通しとなりました。
これは、スギ花粉エキス剤「シダトレンスギ花粉舌下液」(鳥居薬品)。を舌の下に滴下し2分間そのままの状態を維持した後に飲み込むという方法で、これを1日1回、2年間毎日服用します。
この治療法の特徴として

ただし

などの注意点もあります。
唯一の根治が期待できる治療法ではありますが、花粉時期以外も毎日服用の必要があり、月一度(最初の1年間は2週に1度)は受診する必要があるなど根気のいる治療でもあります。
また、この薬剤を処方するには医師免許の他に、学会指定の講習会を受けて処方資格を取得する必要がありますが、当院の医師はすでにこの資格を有しておりますので、当院でも実施を検討中です。
効果発現に時間のかかる治療法ですので、この治療の開始と同時期にレーザー手術・ラジオ波による鼻粘膜焼灼術を施行して、舌下免疫療法の効果が発現するまでの間の症状を抑制するのがいいのではないかと考えております。

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