手術的治療 鼻粘膜焼灼術+鼻内後鼻神経凍結術
1:レーザー手術・ラジオ波による鼻粘膜焼灼術
- アレルギー性鼻炎は下甲介粘膜に抗原が付着することで発症します。炭酸ガスレーザーなどを用いてこの粘膜を浅く焼くと粘膜は3〜4週間で抗原が侵入しにくく、腫れにくい粘膜に生え替わります。また、粘膜下のアレルギーに関係する細胞も減少するためアレルギーの症状が軽くなると考えられています。
- この方法は私の出身大学である関西医科大学が世界ではじめて行った手術であり 約20年間に数千人の患者さんに行われており(私個人でも1500人ほどの経験があります)、ハウスダストに対する有効性(症状が手術前の半分以下になる率)は約80%に認められています。スギなどの花粉症に対してもステロイド点鼻などの薬物療法以上の効果が認められています(平成13年:スギ花粉症に対する季節前レーザー手術の治療成績)。
- 手術に伴う危険性や後遺症はなく、痛みや出血もほとんどないため、日帰りで安全に行える手術として近年広く普及しつつあります。ただ、レーザー手術の場合、1回では効果が不十分で数回照射が必要なこともあります。以前に「アレルギー性鼻炎に対するlaser surgeryの問題点 」というシンポジウムで検討した結果では1回照射の有効率は40%前後でした。かといって何回も照射すると患者さんの肉体的、時間的、時には経済的な負担も増えます。そのため、当院では近年開発されたラジオ波凝固装置を用いて粘膜を焼灼しております。
- ラジオ波手術の作用機序はレーザー手術とほぼ同等ですが、鼻の奥まで観察の可能な内視鏡を用いて下甲介粘膜全体をレーザーよりやや深く焼灼することにより1回の手術で効果があらわれるという大きな長所があります。
手術の実際
- 多くの場合、前述のラジオ波焼灼術と同時に行います。
- 後鼻神経が鼻腔内に侵入する部位に麻酔の注射を行います。
- 手術は局所麻酔で粘膜の上から後鼻神経を数分間冷却するだけですので両側でも5〜6分で終了し、出血や手術後の腫れもほ とんど無く安全に行うことができます。
- 痛みもほとんどありませんが、直後1時間ほどの間に神経に対する刺激痛が起こることがあります。この痛みも鎮痛剤で抑えられる程度であり、鎮痛剤をのまれる方は2〜3人に1人です。
- 手術による合併症や機能傷害も無く、匂いを感じる神経は後鼻神経とは別ですので嗅覚に対する影響もありません。
- 小児や恐怖心の強い方は日帰りの全身麻酔で行うこともできます。
- ただ、重症の場合、あるいは鼻腔形態が不良の場合はこれを矯正しなければ手術装置が後鼻神経に到達しないときがあります。このような場合には次に述べる粘膜下下甲介骨切除術と組み合わせて後鼻神経の粘膜下凍結術や切断術を行います。
術後の経過
- 手術を行った部分は軽いやけどのような状態になり術後しばらくはかさぶたが付着します。
- 特に最初の1週間はゼラチン状のかさぶたが付くために鼻閉が強くなりますが2週目からはかさぶたが薄くなり鼻の通りは良 くなってきて、4週目頃にはほぼ粘膜が再生します。
- 最初の1週間は粘っこい鼻汁が出ます。徐々に水性になってきて量も減少します。
- 術後の痛みは軽度で鎮痛剤を服用される方はほとんどなく翌日以後も痛みが続く様なことはありません。
- 出血も軽度で2〜3日鼻水に血がにじむ程度であり、特に血を止める処置も必要ありません。
- においや味がわからなくなることはありません。
手術成績をご覧ください
2:鼻内後鼻神経凍結術
- アレルギー性鼻炎への神経の関与(温度変化にも反応)
- 病気の説明の項でも述べましたが、粘膜表層でおこったアレルギー反応は知覚神経を介して下甲介から中枢(脳)へと伝えられてくしゃみ発作を引き起こすとともに、中枢から下甲介へ分布する分泌神経を介して鼻水の分泌を引き起こします。アレルギー性鼻炎ではこの神経反応が過敏になっているために弱い刺激に対しても過剰なくしゃみ、鼻水が起こることが知られています。また、アレルギーはなくても冷たい空気などの刺激でくしゃみ、鼻水が起こる方もいます。
- 以前の手術は涙が乾いていました。
- このことから、数十年前には鼻水を分泌する神経を切断して鼻水を止める試みがしばしば行われていました(ヴィディアン神経切断術:図のA)。しかし、当時の手術は内視鏡が無く、歯ぐきを切り顔の骨の一部を削って行われていたために体に対するダメージが大きく、涙を分泌する神経も同時に切断する結果、眼が乾くといった合併症が問題となっていました。
- 後鼻神経に対する手術
- これらの問題を解決する方法として考え出されたのが後鼻神経に対する手術です(図のB)。後鼻神経はくしゃみに関係する知覚枝と鼻汁を分泌する神経を含みますが涙の分泌神経は含ないためにこれをを選択的に変性させることにより鼻水、くしゃみに対する抑制効果が高く、体へのダメージが軽い、涙液分泌は保たれるといった特徴があります。後鼻神経は中甲介の後端部に一致して蝶口蓋孔という骨の穴から鼻腔内に侵入し、粘膜の裏を通って下甲介に分布します。したがって最も安全に後鼻神経の過敏な知覚および分泌を抑制するには粘膜表面から同部位を凍結変性させることが有効です。当院ではアレルギー性鼻炎や温度変化に敏感な鼻水などに対して前述の粘膜焼灼術と組み合わせて日帰りで行っております。(鼻粘膜焼灼術+鼻内後鼻神経凍結術)
手術の実際
- 多くの場合、前述のラジオ波焼灼術と同時に行います。
- 後鼻神経が鼻腔内に侵入する部位に麻酔の注射を行います。
- 手術は局所麻酔で粘膜の上から後鼻神経を数分間冷却するだけですので両側でも5〜6分で終了し、出血や手術後の腫れもほ とんど無く安全に行うことができます。
- 痛みもほとんどありませんが、直後1時間ほどの間に神経に対する刺激痛が起こることがあります。この痛みも鎮痛剤で抑えられる程度であり、鎮痛剤をのまれる方は2〜3人に1人です。
- 手術による合併症や機能傷害も無く、匂いを感じる神経は後鼻神経とは別ですので嗅覚に対する影響もありません。
- 小児や恐怖心の強い方は日帰りの全身麻酔で行うこともできます。
- ただ、重症の場合、あるいは鼻腔形態が不良の場合はこれを矯正しなければ手術装置が後鼻神経に到達しないときがあります。このような場合には次に述べる粘膜下下甲介骨切除術と組み合わせて後鼻神経の粘膜下凍結術や切断術を行います。
手術成績をご覧ください

