花粉アレルギーの撃退法

スギ花粉とヒノキ花粉の違いを徹底解析! 花粉アレルギーの撃退法

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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くしゃみ・鼻水・目のかゆみや充血・鼻づまりなどの症状が長く続くほど、体力が奪われて生活に支障が出てしまいます。特に、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくなる花粉症は、とても辛(つら)いものでしょう。花粉症の原因となるのは、スギ花粉・ヒノキ花粉の代表的な花粉です。花粉が体内に入ることで、アレルギー症状が起きています。アレルギー症状をやわらげるためには、花粉の知識を把握しておかなければなりません。そこで、本記事では、スギ花粉とヒノキ花粉の基礎知識や違い・花粉アレルギー・治療法などについて詳しく説明します。

  1. スギ花粉とヒノキ花粉の基礎知識
  2. スギ花粉とヒノキ花粉の違い
  3. 花粉アレルギーについて
  4. スギ花粉アレルギーとヒノキ花粉アレルギーについて
  5. スギ花粉・ヒノキ花粉アレルギー性鼻炎の治療について
  6. スギ花粉・ヒノキ花粉にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、スギ花粉・ヒノキ花粉によるアレルギー症状をやわらげるために必要な情報を知ることができます。症状に悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.スギ花粉とヒノキ花粉の基礎知識

スギ花粉・ヒノキ花粉によるアレルギー症状を治すためには、それぞれの基礎知識を把握しておかなければなりません。そこで、2つの花粉の共通点や増えている理由・影響について説明します。

1-1.スギ花粉とヒノキ花粉の共通点

花粉症の中でも、特に多いのがスギ花粉とヒノキ花粉のアレルギー症状です。スギ花粉とヒノキ花粉による症状は、大きな違いがないのでよく間違えられます。専門家でも2つの症状を区別することは難しいといわれているほどです。スギ花粉とヒノキ花粉の共通点としては、症状が長期化・重症化することが挙げられます。そのため、症状が重症化する前に、適切な治療を受けなければなりません。

1-2.増えている理由

日本において、花粉症に悩まされている人は年々増え続けています。スギ花粉・ヒノキ花粉によるアレルギー症状が増えているのは、さまざまな理由があるのです。主な理由としては、食生活・ストレス社会が挙げられます。食生活の欧米化によって、肉などのたんぱく質の摂取が多くなり、異物への反応が過敏になるのです。ファストフードやコンビニ弁当・レトルト食品などの保存食も、原因といえます。また、現代はストレス社会です。ストレスによって、自律神経が乱れ、免疫機能が正常に働かなくなります。その結果、アレルギー反応が起きやすくなるというわけです。

1-3.影響について

春から花粉症シーズンに入りますが、シーズンに突入した瞬間、アレルギー症状に悩まされる人が増え始めます。つらい症状が長引くことで、集中力の低下・体調不良・不安定な精神など、日常生活にさまざまな悪影響をおよぼしがちです。スギ花粉・ヒノキ花粉におけるアレルギー症状は、身体だけでなく、精神的な影響も与えます。

2.スギ花粉とヒノキ花粉の違い

なかなか区別できないスギ花粉とヒノキ花粉ですが、違いはあります。飛散時期・飛散量・地域差など、2つの花粉の違いについて詳しくチェックしておきましょう。

2-1.大きさと形状

スギ花粉の大きさは、およそ20~40ミクロンです。一方、ヒノキ花粉の大きさは、およそ30~40ミクロンで、スギ花粉よりも少し大きめのサイズとなります。また、形状にも違いがあるので注目です。スギ花粉の形は花粉自体にイボのようなでっぱりがありますが、ヒノキ花粉は星のような形をしています。目で見てわかる大きさではないため、顕微鏡を使わなければ確認できません。

2-2.飛散時期

スギ花粉の飛散時期は2月~4月、ヒノキ花粉は3月~5月にピークを迎えます。2月ごろからアレルギー症状に悩まされる方は、ほとんどがスギ花粉による症状だと思っていいでしょう。およそ1か月遅れでヒノキ花粉が飛散時期に入ります。

2-3.飛散量

今のところ、飛散量はヒノキ花粉よりもスギ花粉のほうが多めです。しかし、飛散量にかんしては大差がありません。どちらも飛散時期になると、たくさんの花粉が飛び始めます。スギやヒノキは、高度経済成長期に植樹した人工林がほとんどです。森林面積のうち、およそ4割が人工林で、最も面積が広いのはスギ林になっています。高度経済成長期に植樹した人工林が育ち、花粉を盛んに放出する時期を迎えているため、花粉症患者が増えているのです。

2-4.地域差

スギ林は北海道から九州まで、全国各地にあります。一方、ヒノキ林は福島より南~九州・屋久島まで分布している常緑高木です。そのため、スギ花粉のアレルギーで悩んでいる方は全国に見られますが、ヒノキ花粉は分布地域以外では、発症率が低めとなっています。ただし、風向きなどによって花粉が分布地域外に飛ぶ可能性もあるのです。

3.花粉アレルギーについて

花粉アレルギーの症状を抑えるためにも、メカニズムや主な症状・患者数・なりやすい人・ヒノキやスギ以外の花粉についてチェックしておきましょう。

3-1.メカニズム

花粉などの異物(アレルゲン)が体内に侵入すると、身体の免疫細胞が受け入れるべきか考えます。排除するべきと判断した場合、身体は異物と反応する物質=IgE抗体をつくるのです。IgE抗体ができた状態で再び花粉が侵入すると、2つが結合します。結合によって、肥満細胞から化学物質が分泌され、花粉を体外に排出しようとするのです。そこで、現れるのがくしゃみや鼻水などの症状になります。

3-2.主な症状

花粉アレルギーの主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つです。これらは、花粉アレルギーの代表的な症状といわれています。ほかの症状としては、頭痛・睡眠障害・身体のだるさ・体調不良・疲労・イライラ感・記憶力や集中力の低下などです。どれか1つだけでなく、複数の症状が同時に起こることが多く見られます。

3-3.患者数

年々増え続けている花粉症患者の数は、正確なところはわかっていません。全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした鼻アレルギーの全国疫学調査(2008年)によると、花粉症全体の有病率はおよそ30%でした。そのうち、スギ花粉症の有病率はおよそ26.5%です。1998年に実施したデータと比較してみると、10年間でおよそ10%増加していました。今後も、花粉症の患者数は増え続けるといわれています。

3-4.なりやすい人

花粉症になりやすい人は、3つの要因が挙げられます。1つ目は、遺伝的な体質の違いです。アレルギー体質は遺伝の影響を受けると考えられており、近親者に症状が起きている場合は花粉症になりやすくなります。2つ目は、食生活です。栄養バランスが乱れた食生活をしている人ほど、花粉などの異物に過剰反応します。そして、3つ目は、花粉にさらされる量の違いです。人はそれぞれ、抗体の量が決まっています。一定の水準を超えてしまうと、花粉症の症状が表れるため、花粉に多くさらされている人ほど花粉症になりやすいのです。

3-5.ヒノキ・スギ以外の花粉について

ヒノキ・スギ以外にも、さまざまな花粉があります。ヒノキ花粉がほとんど飛ばない北海道では、シラカンバ花粉症が代表的です。シラカンバはカバノキ科の木で、4月中旬~6月初旬ごろまで飛散します。くしゃみ・目のかゆみ・口腔(こうくう)アレルギー症状を起こす花粉です。また、シラカンバ同様に口腔(こうくう)アレルギーを起こす花粉の種類には、オオバヤシャブシ、瀬戸内地方で見られるオリーブ、北陸地方に見られるハンノキがあります。

4.スギ花粉アレルギーとヒノキ花粉アレルギーについて

それでは、スギ花粉・ヒノキ花粉それぞれのアレルギーについて見ていきたいと思います。

4-1.スギ花粉・ヒノキ花粉どちらの患者数が多いか

どちらかというと、全国に分布しているスギ花粉の患者数が多く見られます。ヒノキは福島よりも北の地域に分布されていないため、患者数はスギ花粉よりも少ない傾向があるのです。

4-2.症状に違いはあるのか

症状に大きな違いはありませんが、それぞれに見られる特徴があります。スギ花粉の場合は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状がよく見られるのです。一方、ヒノキ花粉の場合は、かゆみ・目の充血・涙目など目の症状に集中しているところがあります。ただし、人の免疫反応によっても反応の強さが異なるため、必ずしもそのとおりの症状が現れるとは限りません。

4-3.見分け方

前項で説明したとおり、どのような症状が起きているかどうかで判断できます。鼻の症状が見られる場合はスギ花粉、目の症状が見られる場合はヒノキ花粉の可能性が高いのです。また、花粉の種類によって飛散時期が異なるため、いつから花粉の症状が現れるかによっても判断できます。

4-4.両方が発症する場合はあるのか

スギ花粉と同時に、ヒノキ花粉の症状に悩まされる人はいます。2つの花粉が同時に発症する可能性は十分にあり得るのです。特に、近年では、スギ花粉症のシーズン後に、ヒノキ花粉症を発症する人が増加しています。ただし、身体の免疫反応がスギ花粉・ヒノキ花粉どちらかだけに反応する場合は、両方の花粉を吸いこんだとしても片方だけの症状が出る仕組みです。よって、スギ・ヒノキ花粉どちらにも反応する場合は、両方の花粉の症状が出てしまいます。

5.スギ花粉・ヒノキ花粉アレルギー性鼻炎の治療について

それでは、スギ花粉・ヒノキ花粉アレルギー性鼻炎の検査・治療法、それぞれの治療の違い、手術などについて詳しく説明します。

5-1.検査方法

アレルギー性鼻炎の花粉症は、基本的に耳鼻咽喉科で検査を行います。主な検査方法は、皮膚反応テストやレントゲン・鼻汁の細胞検査・血液検査です。皮膚反応テストでは、皮膚内や表面にアレルゲンのエキスを触れさせ、反応が出るかどうかを検査します。血液検査では、血液中のIgE抗体を調べ、何が原因なのかを調べるのです。

5-2.主な治療法

検査によって原因がわかれば、適切な治療を行うことができます。花粉症の主な治療法は、薬物療法です。抗ヒスタミン薬・遊離抑制薬などの飲み薬や、鼻に直接噴射する点鼻薬があります。鼻づまりがひどい場合は、点鼻用のα交感神経刺激薬、症状が比較的軽いときは遊離抑制薬など、症状によって服用する薬が異なるので注意しなければなりません。また、症状があまりにもひどい場合は、手術が選択肢に含まれます。

5-3.治療法の違い

基本的な治療法は異なりますが、スギ花粉で起こる症状は鼻に関係しています。そのため、病院などでは、鼻づまりや鼻水に対する薬などを処方されるでしょう。一方、ヒノキ花粉は、目の症状がよく見られるため、目のかゆみや充血を抑える目薬などがあります。花粉による違いではなく、症状による治療法の違いが深く関係しているのです。

5-4.手術について

薬物療法で改善できない場合は、手術を受けることになります。アレルギー性鼻炎に対する手術は、レーザー(ラジオ波)手術や超音波凝固装置による後鼻神経切断術などです。後鼻神経を切断することで、アレルギー性鼻炎の症状を抑えることができます。手術内容は、症状や鼻の形によって異なるため、しっかり検査を受けることが大切です。

5-5.注意点

花粉症の症状をやわらげるためには、日々の生活にも気をつけておかなければなりません。睡眠をしっかり取り、栄養バランスのいい食生活を心がけてください。規則正しい生活を送ることで、自律神経が安定し、花粉への過剰反応を抑えることができます。

6.スギ花粉・ヒノキ花粉にかんしてよくある質問

スギ花粉・ヒノキ花粉にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。

6-1.花粉アレルギーが起きやすい年代とは?

花粉症になりやすい年代は、20代~30代です。一定量の抗体ができることで、花粉アレルギー症状が起きやすくなります。長い期間をかけて抗体が蓄積されるため、20代~30代がちょうどピークを迎えるというわけです。

6-2.スギ花粉か、それともヒノキ花粉なのか、自分で判断すべきか?

スギ花粉・ヒノキ花粉どちらに反応するのか把握しておけば、飛散時期に合わせた対策もしやすくなります。しかし、なかなか自分で判断できないため、耳鼻咽喉科で診察したほうが適切です。「川村耳鼻咽喉科クリニック」では、ホームページのフォームから問い合わせできるので、ぜひ相談してみてください。

6-3.スギ・ヒノキ花粉症を予防する秘策とは?

少しでも花粉を体内に取り入れないことが、スギ・ヒノキ花粉症の予防につながります。外出時はマスクやメガネをつける・飛散量が多い時期は外出しない・帰宅したらうがい手洗いを徹底するなど、さまざまな予防策を徹底していきましょう。

6-4.病院を選ぶ際の注意点とは?

症状が一向に緩和されない場合は、病院で手術を受ける必要があります。手術が成功できるかどうかは、病院・クリニックの選び方に関係しているのです。丁寧な説明をしてくれるか、親身になって相談にのってくれるか、アレルギー性鼻炎の治療・手術の経験や実績があるかなど、細かいところをチェックしてください。

6-5.処方薬に副作用はあるのか?

用法・用量をきちんと守らなければ、症状が悪化する可能性があります。たくさん飲んだほうが効果が現れると思うのは大間違いです。きちんと病院・クリニックの説明を受けてから、薬を正しく服用しましょう。

まとめ

いかがでしたか? スギ花粉とヒノキ花粉の症状は似ているため、専門家でも見分けるのが難しいといわれています。しかし、詳しく見ていくと、大きさや形・症状にも違いがあるのです。自分が、どちらの花粉に反応しているのか、知識を身につけておけば見極めることができます。ただし、安心して正しい治療を受けるためには、病院・クリニックで検査を受ける必要があるでしょう。きちんと検査を受けて、適切な治療を受けてください。事前に、知識を身につけておけば、症状をやわらげることができます。