萎縮性鼻炎の症状

萎縮性鼻炎の症状や治療法とは? 悪臭を放つ萎縮性鼻炎の基礎知識

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

「鼻の中が乾燥しやすい」「鼻腔内にかさぶたができている」などの症状に当てはまる方は、萎縮性鼻炎の可能性があります。萎縮性鼻炎は、副鼻腔炎の1つで、鼻の粘膜に異常が起きる症状です。鼻の粘膜が機能しなくなるため、不衛生な環境となり、鼻の中から悪臭が発生します。症状が軽いうちに、適切な治療を受けなければなりません。そこで、本記事では、萎縮性鼻炎の基礎知識・そのほかの鼻炎との違い・治療方法などについて詳しく説明します。

  1. 萎縮性鼻炎の基礎知識
  2. 萎縮性鼻炎とそのほかの鼻炎について
  3. 萎縮性鼻炎の治療方法
  4. 萎縮性鼻炎にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、萎縮性鼻炎の症状をやわらげるために必要な情報と治療方法を知ることができます。症状で悩んでいる方や知りたい方は、ぜひチェックしてください。

1.萎縮性鼻炎の基礎知識

萎縮性鼻炎の症状をやわらげるためには、基礎知識を身につける必要があります。まずは、萎縮性鼻炎とはどのような症状か、鼻のメカニズム、原因、主な症状についてチェックしておきましょう。

1-1.萎縮性鼻炎とは

鼻の粘膜は、花粉やホコリを取りのぞく大切な役割を担っています。しかし、萎縮性鼻炎になると、鼻の粘膜が萎縮してしまい、乾燥するのです。鼻の粘膜の乾燥によってかさぶたができるのを、萎縮性鼻炎といいます。鼻の粘膜が正常に機能できなくなってしまう症状です。萎縮性鼻炎は、症状が現れない種類があります。そのため、気づかずに進行するケースもあるので注意が必要です。

1-2.鼻のメカニズム

鼻の中は粘膜の機能によって、適度に潤っている状態です。粘膜は粘液を分泌し、外部から吸いこまれる異物を排出する細胞があります。この細胞が鼻腔内を適度に潤しているのです。異物が入り込んだときは、細胞が働き、異物を外部へ排出しようとします。くしゃみや鼻水は、異物を体外へ排出する症状なのです。しかし、萎縮性鼻炎になると機能が低下し、異物を排出する働きが衰えてしまいます。その結果、かさぶたなどができてしまうというわけです。

1-3.原因

萎縮性鼻炎が起こる原因は、未(いま)だハッキリとしていません。考えられる原因としては、ホルモンの異常や過剰なストレスによる自律神経の障害が挙げられます。自律神経は、リラックス状態へと導く副交感神経と、緊張状態へ導く交感神経のバランスで成り立っているのです。しかし、過剰なストレスを感じることで、交感神経が発達してしまいます。常に、身体が緊張状態になり、鼻の粘膜の機能が低下しがちです。ほかにも、貧血やビタミンA・ビタミンDの欠如と中毒症状、細菌感染などが挙げられます。また、副鼻腔炎の手術で鼻の粘膜を切除した方にも、発症する可能性が高まっているようです。

1-4.主な症状

萎縮性鼻炎は、単純性萎縮性鼻炎と真性萎縮性鼻炎の2種類があります。それぞれの種類によって、症状が異なることを知っておかなければなりません。単純性萎縮性鼻炎の場合は、症状が現れないケースがほとんどです。一方、真性萎縮性鼻炎は、かさぶたができる・鼻づまりや頭痛が起きる・悪臭が発生するなどの症状が現れます。起きている症状によって、種類が判明できるでしょう。

2.萎縮性鼻炎とそのほかの鼻炎について

萎縮性鼻炎について詳しく知るために、そのほかの鼻炎との違いをきちんと把握しておきましょう。関連する症状や病気・なりやすい人・放置の危険などについて詳しく説明します。

2-1.ほかの鼻炎との違い

一般的な鼻炎は、ウイルス感染・アレルギーなどで起こる鼻粘膜の炎症です。鼻粘膜が炎症を起こすことで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが発症します。一方、萎縮性鼻炎は、鼻の粘膜が萎縮して薄くなり、鼻の中が極度に広くなる症状です。そのため、粘膜の分泌物が極端に減り、鼻腔内が乾燥します。ウイルスやアレルギー感染による炎症が原因ではなく、乾燥によって起こる症状です。

2-2.関連する症状・病気

先ほど話したとおり、真性萎縮性鼻炎の場合は症状が現れます。特徴的なのが、異臭を放つことです。粘液を作り出す機能が弱まるため、汚いかさぶたやホコリ・ゴミなどの異物が蓄積されます。その結果、鼻の中が異臭につつまれるのです。異臭を放つ萎縮性鼻炎は、悪臭性萎縮性鼻炎ともいいます。大量の鼻血が出ることもあるため、注意しなければなりません。関連する病気としては、梅毒・ウェグナー肉芽腫症(にくげしゅしょう)・悪性リンパ腫が挙げられます。

2-3.なりやすい人・注意すべき人

萎縮性鼻炎は、日常生活に深く関係している症状です。睡眠不足や偏った食事など、不規則な生活を送っている人ほど、萎縮性鼻炎になりやすい傾向があります。また、副鼻腔炎の手術を受けた人も注意しておかなければなりません。萎縮性鼻炎の症状が現れた場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。毎日、過剰なストレスを感じている人もなりやすい傾向があるので要注意です。

2-4.放置するとどうなるか

萎縮性鼻炎を放置するほど、鼻の中の悪臭やかさぶたなどの症状が悪化します。常に、鼻の中に異物を感じるため、集中力が低下するでしょう。日常生活や仕事に悪影響を与えてしまいます。また、放置することで嗅覚障害・頭重感・脳の病気を起こす確率が高まるのです。症状が悪化する前に、対処しておかなければなりません。

3.萎縮性鼻炎の治療方法

病院へ行くべき症状や受診の流れ、注意点などについて詳しくチェックしておきましょう。

3-1.病院へ行くべき症状とは

鼻の中から悪臭がする・かさぶたがたくさんできている・頭痛や鼻づまりが起きやすくなるなどの症状に当てはまる方は、病院で検査してもらったほうがいいでしょう。萎縮性鼻炎は鼻の中が乾燥しているため、乾燥状態が長く続く場合も要注意です。乾燥状態がひどくなるほど、鼻の中にホコリなどの異物が混入しやすくなります。特に、大量の鼻血が出てきた場合は、急を要するときです。出血をくり返す症状も、早めの処置が必要となります。病院ですぐに説明ができるように、起きている症状をきちんと把握しておきましょう。

3-2.受診の流れ

病院に行くと、最初に検査を行います。検査から治療法・萎縮性鼻炎の薬・手術などについて詳しくチェックしてください。

3-2-1.検査法

萎縮性鼻炎の検査方法は、特別なものではありません。基本的に、診察するだけで診断できます。鼻の中がどのくらい乾燥しているのか、広がっているのかをチェックするのです。また、かさぶたが鼻の中に付着しているかどうかも確認します。異臭は腐った臭いが特徴となるため、どのような臭いがするのかも確認されるでしょう。自覚しにくい異臭だからこそ、耳鼻咽喉科の医師が診断します。

3-2-2.治療法

治療法は、萎縮性鼻炎の種類によって異なります。単純性萎縮性鼻炎は症状が現れないため、治療を施さないケースがほとんどです。きちんと規則正しい生活を送れば、自然治癒する可能性があります。病院で治療を行うのは、真性萎縮性鼻炎と悪臭性萎縮性鼻炎の場合です。真性萎縮性鼻炎の場合は、ネブライザー治療・鼻腔内洗浄となります。ネブライザー治療は、抗生物質や副腎皮質ホルモンなどを霧状にして体内に取り入れる方法です。鼻腔内洗浄は、鼻腔内をキレイに掃除します。ほかにも、ビタミン剤の点鼻薬や内服薬、抗生物質を含んだクリームを使うのも治療法の1つです。一方、悪臭性萎縮性鼻炎の場合は、保存療法と手術療法があります。保存療法は、かさぶたや悪臭を抑制することが目的です。手術療法にかんしては、後ほど【3-2-4.手術について】で説明します。

3-2-3.薬について

萎縮性鼻炎で使う薬は、抗生物質、ビタミンA・ビタミンD・鉄分などの内服薬、グリセリン点鼻薬などが挙げられます。人の体質や症状によって、適切な薬が異なるので注意が必要です。専門医療施設で診察を受けて処方された薬を使用しましょう。薬を使う際は、どんな効果があるのか、いつまで飲み続けるのか、副作用の有無など細かい点を確認してください。きちんと説明を受けて正しく服用しましょう。

3-2-4.手術について

萎縮性鼻炎の手術は、粘膜や骨を移植する方法となります。移植することで、広がってしまった鼻腔を狭くさせることができるのです。萎縮性鼻炎は鼻腔が広がっている状態なため、もとの広さに戻す必要があります。鼻腔を狭くすれば、鼻の中をとおる空気の量が減り、乾燥の抑制が可能です。また、かさぶたもできにくくなるため、症状が自然とおだやかになります。しかし、鼻の形や状態によっては、手術が逆に鼻閉を強めてしまうこともあるので要注意です。鼻閉を強めてしまうと、いびきや睡眠時無呼吸症候群を起こす鼻閉症(びへいしょう)を発症させる恐れがあります。手術をする前に、きちんと鼻の状態や形を確認しなければなりません。

3-2-5.そのほか

症状や状態によっては、副腎皮質ホルモンと同時にビタミン剤を内服することがあります。同時に治療を行うことで、鼻腔内の粘膜が正常な粘度を取り戻せるようになるのです。ただし、症状や萎縮性鼻炎の種類によって異なるので、事前にきちんと検査を受けましょう。

3-3.注意点

乾燥がひどくなる冬場は、病院で行う治療のほかにセルフケアも入念に行わなければなりません。せっかく治療を受けていても、乾燥しやすい環境で生活していては効果が半減します。乾燥する冬場は点鼻薬をさす・部屋の湿度を保ち続ける・外出時はマスクをするなど、鼻腔内が乾燥しないように気をつけてください。

4.萎縮性鼻炎にかんしてよくある質問

萎縮性鼻炎にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。症状に悩んでいる方や気になっている方は、ぜひチェックしてください。

4-1.生活で気をつけるべきこととは?

長引く鼻水や鼻づまりに注意が必要です。風邪による鼻水・鼻づまりは、時間の経過とともにやわらいでいきます。しかし、萎縮性鼻炎は長引くのが特徴なため、1週間以上続く場合はすぐに病院へ行ってください。また、萎縮性鼻炎の疑いがある方は、鼻のかみ方に気を配りましょう。乾燥状態になっている中、強くかみすぎてしまうと粘膜に強い刺激を与えてしまいます。鼻をかむときはやさしく、強い力を加えないようにしてください。

4-2.子どもの場合はどうすべきか?

子どもが萎縮性鼻炎を発症させる場合は、低酸素症・脳の発達障害を起こす恐れがあります。大人と違い、鼻づまり型が多いので子どもが口呼吸をしていないか、鼻に違和感があるかどうか、大人がしっかりチェックしましょう。幼い子どもは自分で伝えることができないため、親である大人がきちんと様子をうかがっておかなければなりません。

4-3.点鼻薬を使用する際の注意点とは?

点鼻薬の乱用には注意が必要です。点鼻薬を乱用するほど、薬剤性鼻炎に陥る可能性が高くなります。薬剤性鼻炎は、点鼻薬の使いすぎによって起こる鼻炎のことです。薬剤性鼻炎を防ぐためにも、点鼻薬の使用頻度や使い方をきちんと把握してください。点鼻薬を1か月以上、1日3~4回以上使っている場合は、使いすぎといえます。

4-4.病院の選び方が知りたい

どの病院・クリニックに行けばいいのか悩んでいる方は多いでしょう。そんなときは、丁寧な説明をしてくれるのか、鼻の病気にかんする治療や手術の経験が豊富かどうかに注目してください。きちんと診察をして原因や症状・治療法をわかりやすく説明する病院・クリニックは信用できます。「川村耳鼻咽喉科クリニック」は、患者様が安心できる丁寧な説明を心がけているので、ぜひ1度ご相談ください。

4-5.乾燥状態になるNG行為とは?

体内の水分がなくなっているときは、鼻の粘膜の乾燥もひどくなります。鼻炎の薬や風邪薬などの副作用によって、鼻が乾くケースもあるのです。そのため、冬場でも水分補給をきちんと行ってください。現在、鼻炎の薬などを服用している方は、あらかじめ副作用を確認しておきましょう。鼻が乾燥しやすくなったと感じるのなら、服用をやめてください。

まとめ

いかがでしたか? 萎縮性鼻炎は、鼻の粘膜が薄く、鼻腔内が広くなることで乾燥しやすくなる症状です。乾燥状態になることで、粘液の分泌が少なくなり、かさぶたができやすくなってしまいます。かさぶたのほかにも、悪臭の発生や頭痛なども併発する恐れがあるのです。萎縮性鼻炎は軽症のうちに治療を始めなければ、治療期間が延びてしまいます。症状も悪化するため、異変を感じた場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。事前に、萎縮性鼻炎の症状や特徴・治療法を把握しておけば、スムーズに症状をやわらげることができます。