点鼻薬

点鼻薬の乱用で副作用が起こる? その症状や治療法を解説します。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

点鼻薬とは、鼻水や鼻づまりを改善する効果のある薬です。ドラッグストアでもたくさんの種類が販売されており、重宝しているという方も多いことでしょう。しかし、点鼻薬は鼻にシュッとスプレーするだけで鼻づまりが劇的に改善する反面、乱用すれば余計に鼻づまりが悪化する副作用が出ることもあります。

今回は、点鼻薬の乱用で発症する副作用や正しい点鼻薬の使い方などをご紹介しましょう。

  1. 点鼻薬に関する基礎知識
  2. 点鼻薬の副作用について
  3. 薬剤性鼻炎の疑いがある場合の対処方法
  4. 副作用を防ぐ点鼻薬の正しい使い方
  5. 点鼻薬やその副作用に関するよくある質問

この記事を読めば、点鼻薬を使う際の注意点や耳鼻咽喉科を受診する目安も分かります。鼻づまりを点鼻薬で解消することが多いという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.点鼻薬に関する基礎知識

はじめに、点鼻薬がどのような薬かということをご紹介しましょう。なぜ、鼻づまりが解消するのでしょうか。

1-1.点鼻薬の効果とは?

点鼻薬とは、鼻の粘膜に直接薬剤をスプレーすることにより、鼻粘膜の血管を収縮させてうっ血や炎症を抑える薬です。鼻粘膜の炎症が治まれば、鼻づまりが一時的に解消され、鼻の通りが良くなります。同じような効果がある飲み薬もありますが、点鼻薬の方が即効性があり眠気などの副作用がないことから、愛用している方も多いのです。耳鼻咽喉科や耳鼻科で処方される他、ドラッグストアでも販売されています。

1-2.点鼻薬の種類とは?

点鼻薬には、

  • 血管収れん薬の入った点鼻薬
  • 抗ヒスタミン薬が入った点鼻薬
  • ステロイドを主成分とした点鼻薬
  • 鼻洗浄を目的とした点鼻薬

などがあります。鼻洗浄を目的とした点鼻薬は薬効は期待できませんが、鼻の中を洗浄してアレルゲンを取り除き、くしゃみや鼻水を軽減させる効果があるのです。残りの3つは、鼻づまりや鼻水を改善させて鼻の通りを良くする効果は共通しています。この他、ステロイド剤は鼻粘膜の炎症を押さえる効果があり、抗ヒスタミン剤はアレルギー症状を抑える効果があるのです。血管収れん薬とは文字どおり血管を収れんさせる効果があり、使用すれば血管が拡張することで起こる鼻粘膜の腫れを治し、鼻づまりをに解消させることができます。

1-3.点鼻薬を使用する症状とは?

点鼻薬は、鼻炎や感染症・アレルギー症状で鼻づまりが起こったり鼻水が出たりした場合に使われます。耳鼻咽喉科や耳鼻科を受診すれば、症状にあった点鼻薬を処方してくれるでしょう。市販薬の場合は、自分で薬の説明書を読んで症状にあったものを選びます。病院で処方される薬の方が効果は強いですが、一般的な鼻づまりや鼻水の解消ならば、市販薬でも十分効果があるでしょう。

1-4.点鼻薬の注意点

点鼻薬は鼻づまりや鼻水を一時的に解消してくれますが、鼻水や鼻づまりの原因を治す効果はありません。ですから、薬の効果が切れれば、再び鼻水が出たり鼻づまりが起こったりします。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などを発症している場合は、耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けましょう。

2.点鼻薬の副作用について

この項では、点鼻薬の副作用についてご紹介します。どのような副作用があるのでしょうか?

2-1.点鼻薬で起こる可能性がある副作用とは?

点鼻薬のうち、血管収れん剤が入った点鼻薬を長期にわたって使い続けたり1日に何度も使ったりすると、鼻の粘膜内にある海面静脈叢(かいめんじょうみゃくそう)という組織が、硬く腫れて肥大していきます。こうなると、点鼻薬を使用しても以前のような効果が期待できなくなるでしょう。それどころか、症状がより重症化します。このように点鼻薬の使いすぎて鼻炎の症状が悪化した場合は、薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)と診断されるのです。薬剤性鼻炎は一度発症すると、治るまでに数か月以上の時間が必要になります。また、鼻の粘膜の肥大が激しい場合は、手術をして腫れた部分を切除する必要があるでしょう。

2-2.点鼻薬には依存性がある?

血管収れん剤が入っていない点鼻薬でも、使い続けるうちに効果が薄れてきます。点鼻薬は通常1日1~3回使用すれば、ほぼ1日鼻づまりを解消することができるでしょう。しかし、長期間使用している人ほど効果の持続時間が短くなるのです。人によっては、点鼻薬が1日中手放せなくなることもあるでしょう。このような状態から、薬を使用せずに鼻が通る状態に戻すまでは、時間がかかります。

また、ステロイド剤を使用した点鼻薬を長期にわたって服用した場合、いきなり使用をやめると症状がひどくなるリバウンドが起こることもあるでしょう。

2-3.子どもに点鼻薬は使えない?

市販の点鼻薬の多くは、18歳以上から使用するように注意書きされています。子どもでも使える点鼻薬とうたっている商品でも、対象が7歳~15歳以上です。製品によって「何歳から使えます」と明記されているので、必ず確認してから使ってください。7歳未満は市販の点鼻薬は使用できません。子どもが鼻づまりになった場合、基本的には点鼻薬を使用せず、耳鼻咽喉科を受診してください。

3.薬剤性鼻炎の疑いがある場合の対処方法

この項では、薬剤性鼻炎の疑いがある場合の対処方法や治療方法をご紹介します。どのような治療方法があるのでしょうか?

3-1.耳鼻咽喉科・耳鼻科を受診した方がよい症状

  • 点鼻薬を1か月以上毎日使用している
  • 1日の用量を超えて点鼻薬を使用している
  • 最近、鼻づまりがひどくなってきた気がする
  • 点鼻薬が手放せなくなっている

このような場合は、薬剤性鼻炎の可能性があります。できるだけ早く耳鼻咽喉科・耳鼻科を受診し、鼻の粘膜を診てもらってください。症状が進行している場合、前述したように鼻の粘膜内にある海面静脈叢(かいめんじょうみゃくそう)が硬く腫れ、鼻腔をふさいでしまっていることもあるでしょう。

3-2.基本の治療は減薬

薬剤性鼻炎の基本的な治療方法は、減薬です。点鼻薬の使用を控えれば、当然鼻づまりや鼻水が起こります。そのため、病院で処方された飲み薬などを使用して、鼻水や鼻詰まりを抑えるのです。鼻粘膜が元に戻るまでに数か月かかることもあるので、根気強い治療が必要となるでしょう。

3-3.手術をすすめられる場合もある

減薬で症状が改善しない場合は、粘膜下下鼻甲介骨切除術(ねんまくかかびこうかいこつせつじょじゅつ)などを行い、肥大した鼻粘膜を切り取る必要があります。この場合、内視鏡を利用した手術を行うので傷跡は残りにくいのですが、病状によっては入院が必要になることもあるでしょう。医師とよく相談して手術を決めてください。

4.副作用を防ぐ点鼻薬の正しい使い方

  • 点鼻薬は用法と用量を正しく守り、1週間を目安に使用する(特に血管収れん剤入りの点鼻薬は乱用厳禁)
  • 1週間たっても点鼻薬を使用しないと鼻づまりが解消しない場合は、耳鼻咽喉科を受診する
  • 7歳未満の鼻水・鼻づまりは耳鼻咽喉科・耳鼻科で治療を受ける

市販の点鼻薬を利用する場合は、この3つを守りましょう。一口に鼻水・鼻づまりといってもその原因はさまざまです。花粉に代表されるアレルゲンが鼻粘膜の炎症を引き起こすアレルギー性鼻炎や、鼻の周りにある副鼻腔という空洞内が炎症を起こす副鼻腔炎は、耳鼻咽喉科で治療を行う必要があります。たかが鼻水・鼻づまりと軽く考えず、病院を受診しましょう。

耳鼻咽喉科や耳鼻科で点鼻薬が処方された場合も、用法と用量は守ってください。また、点鼻薬を使用して症状が改善しても、病気そのものが治ったわけではありません。医師から完治を告げられるまで、治療を受け続けましょう。

5.点鼻薬やその副作用に関するよくある質問

Q.血管収れん剤が入っていない点鼻薬ならば、安心して使えますか?
A どのような点鼻薬でも用法・用量を守り、1週間を目安に使いましょう。

Q.点鼻薬はいつ使用するのが効果的ですか?
A.鼻水・鼻づまりをどうしても解消したいときに使用してください。たとえば、鼻づまりがつらくて寝つきが悪い場合は、寝る前に使用します。

Q.洗浄点鼻薬は1日何度も使用してもよいのですか?
A.用法・用量内であれば大丈夫ですが、1日に何度も使用しても効果は薄いでしょう。

Q.医師が処方してくれた点鼻薬ならば、子どもでも使えますか?
A.子ども用に処方されたものならば大丈夫です。

Q.薬剤性鼻炎は自覚症状がありますか?
A.点鼻薬の使用前と比較して、⿐づまりや鼻水が以前よりひどくなってきたと感じたら、薬剤性鼻炎の可能性があるでしょう。また、1日中点鼻薬を手放せないようになっている場合も、薬剤性鼻炎の可能性があります。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、点鼻薬の効果や成分・副作用についてご紹介しました。点鼻薬を使えば苦しい鼻づまりをすぐに解消できます。しかし、前述したように点鼻薬はあくまでも一時的に鼻水・鼻づまりを解消する効果しかありません。長期間続く鼻水や鼻づまりは耳鼻咽喉科での治療が必要ですから、たかが鼻水・鼻づまりと考えず、病院を受診してください。早めに受診すれば、治療期間も短くてすみます。