花粉症対策や治療法

春に起こるアレルギー疾患とは? 花粉症対策や治療法などをご紹介!

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

スギやヒノキによる花粉症は、春に起こる代表的なアレルギー疾患です。「くしゃみが止まらない」「鼻水や目のかゆみで仕事にならない」など、春のアレルギー疾患で悩みを抱えている方は多いことでしょう。アレルギー症状がひどくなるほど、日常生活におよぼす悪影響も大きくなります。ツラい生活から抜け出すためには、春に起こるアレルギーの基礎知識を身につけておかなければなりません。

そこで、本記事では、春のアレルギーの基礎知識やセルフチェック・花粉症のメカニズム・対策・治療方法などについて詳しく説明します。

  1. 春のアレルギーにはどんなものがある?
  2. 春のアレルギーセルフチェック
  3. 春の花粉症について
  4. 春のアレルギー対策方法
  5. 春のアレルギー予防法
  6. アレルギーの治療について
  7. 春のアレルギーに関するよくある質問

この記事を読むことで、春に起こるアレルギー症状から身を守るための情報を得ることができます。アレルギー症状で悩んでいる方や治療したい方はぜひチェックしてください。

1.春のアレルギーにはどんなものがある?

症状を緩和したい方や治療を始めたい方は、最初に春のアレルギーについて詳しく把握しておかなければなりません。春のアレルギーとは一体どのようなものなのか詳しく説明します。

1-1.アレルギー・季節性アレルギーとは?

アレルギーとは、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に反応することです。体を守るための免疫反応が何らかの影響で刺激され、体の中にあるものを外へ追い出そうとする症状を指しています。アレルギーにもさまざまな種類がありますが、花粉症など特定の時期にだけ出現するアレルギーものが季節性アレルギーです。

1-2.どんなアレルギーがあるか

現在、日本人のおよそ2割以上の方が何かしらのアレルギーを持っているといわれています。春のアレルギーは以下の種類が代表的です。

  • 花粉症:スギやヒノキの花粉が原因でくしゃみ・鼻水・目のかゆみなどが起きるアレルギー性鼻炎
  • 黄砂:中国内陸部にある砂漠の砂が偏西風に乗って日本に飛来し、のどの痛みや咳(せき)などが起きる
  • 寒暖差アレルギー:温かい場所から寒い場所へ移動したときなどに起こるくしゃみ・鼻水・鼻づまり

1-3.春にアレルギーが多い理由は?

アレルギー症状が春に多くなる原因は、花粉の飛散量が増えるからです。春先から5月にかけて、スギやヒノキの花粉が飛び始めます。花粉症患者のおよそ7割がスギ花粉が原因といわれているため、春になると悩まされる人が増えるのです。

1-4.主な症状

春のアレルギーで見られる症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみがほとんどです。特に、くしゃみ・鼻水・鼻づまりに悩む方が多いのではないでしょうか。症状が悪化すると、頭痛やめまいが起こる可能性もあります。

1-5.ほかの季節との違い

春のアレルギーと呼ばれるものには共通する症状があります。それは、くしゃみと鼻水です。ほかの季節でも花粉症は飛んでいますが、飛散量が違います。春の花粉飛散量はほかの季節よりも最も多く、風に乗ってさまざまな場所へ飛来するのです。ブタクサやヨモギなど秋に飛散する花粉もありますが、春の花粉飛散量よりも少なく、範囲も狭い特徴があります。そのため、秋よりも春にアレルギー症状を起こす方が多いのです。

1-6.どんな人がなりやすい?

アレルギー体質の人は抗原(アレルゲン)が体内に入ると、IgE(アイジーイー)という抗体をつくります。抗体が一定の水準に達してしまうとくしゃみや鼻水などのアレルギー症状が出るというわけです。つまり、小さいころから花粉を吸う機会が多い人は春のアレルギーになりやすいといえます。また、家族がアレルギー疾患を持っている人は、持っていない人に比べてなりやすいと考えられているのです。さらに、食生活や不規則な生活習慣も関係しています。不規則な生活を送っている人ほど自律神経が乱れやすく、アレルギー症状が起こりやすいのです。

1-7.子どもの場合

子どもの場合、自分で症状を訴えにくいという特徴があります。症状が悪化していても、本人はケロッとしていることが多いのです。そのため、大人がきちんと様子を見て、春アレルギーの対策を立てていかなければなりません。放置しておくと、症状がどんどんすすんでしまいます。

2.春のアレルギーセルフチェック

「アレルギー症状なのかな?」とわからないときは、症状を確認しながら自分で判断してみましょう。春のアレルギーのセルフチェックについて説明します。

2-1.見わけ方

まず、自分にどんな症状が出ているのか確認してみてください。そして、以下の項目にいくつ当てはまるのかチェックしてみましょう。

  • 鼻水やくしゃみが止まらない
  • 一定の状況下で症状が悪化するときがある
  • アトピー性皮膚炎を持っている
  • 涙が出たり、目が充血したりする
  • 咳(せき)が出てくるとなかなか止まらない
  • 春になると鼻水が出る
  • 発熱はない
  • 鼻水が無色透明

以上の項目に当てはまる数が多いほど、春のアレルギーになっている可能性が高いです。

2-2.病院でのアレルギー検査について

本当にアレルギー症状かどうか確実にしたい方は病院で検査してもらいましょう。病院でのアレルギー検査では、血液検査が一般的です。採血することで何が原因でアレルギー反応が起きているのか調べることができます。MASTⅢと呼ばれる検査では、33項目のアレルギーを一度でチェックできるのです。

3.春の花粉症について

春のアレルギーの中でも有名なのが花粉症です。花粉症のメカニズムや原因となるアレルゲンについて詳しく説明します。

3-1.アレルゲンとは

アレルギー症状を起こす原因であり、アレルギー疾患を持つ人の体内にある抗体と特異的に反応する抗原のことをアレルゲンといいます。アレルギー物質とも呼ばれており、ハウスダスト・ダニ・ノミ・ペットのフケ・カビなど種類はさまざまです。花粉症におけるアレルゲンは、スギ・キク科・イネ科などの花粉になります。

3-2.メカニズム

スギなどの花粉、いわゆるアレルゲンが体内に侵入すると、体は受け入れるかどうかを考えます。そして、排除すべきものだと判断した場合、アレルゲンと反応する物質(IgE抗体)をつくるのです。抗体ができた後、再び体内に花粉が入ると鼻や目の粘膜にある抗体と結合し、ヒスタミンなどの化学物質が生まれます。その結果、花粉を体外へ排出しようとする働きが活性化するというわけです。その働きがくしゃみや鼻水・涙になります。

4.春のアレルギー対策方法

日ごろの生活と春のアレルギーは密接に関係していることをご存じでしょうか。不規則な生活習慣が症状を悪化させる要因になるため、気をつけて生活することが大切な対策のポイントです。

4-1.運動・入浴

春のアレルギー対策におすすめしたいのが、運動と入浴です。どちらとも体の血のめぐりが活性化します。血のめぐりが悪くなると、粘膜が炎症を起こしアレルギーが発症しやすくなるのです。ストレッチやヨガ・軽めのジョギング・ウォーキングなど適度に体を動かしましょう。また、入浴の際はお湯の温度を38℃~40℃にしてください。ぬるめのお湯にゆっくりつかって体の芯を温めます。

4-2.対策グッズ

花粉症の時期になると、さまざまな対策グッズが店頭に並び始めます。特に、花粉をカットするマスクとメガネは大きな効果が期待できるでしょう。外出時は装着することをおすすめします。また、寒暖差アレルギーにはマスクが最も効果的です。アレルゲンが原因ではないアレルギーですが、マスクは鼻粘膜を温めて潤いを与える力を持っています。そのため、症状の緩和につながるというわけです。

4-3.市販の薬について

ドラッグストアには、花粉症など春のアレルギーに効く市販の薬が手に入ります。確かに、服用した途端、症状が楽になるでしょう。しかし、一時的に症状を和らげるだけで、根本的な解決にはつながりません。また、市販の薬には刺激の強い化学薬品が含まれているものもあります。体質と合わなければ症状が悪化する恐れもあるため、気をつけたほうがいいでしょう。

4-4.身につける衣服に要注意!

外出時、身につける衣服にも気をつけてください。特に、ウール・フリース・ファーは要注意です。これらの衣類は花粉がつきやすく、外から花粉を家に持ち込んでしまいます。花粉を室内に取り込まないようにするためにも、レザー・ポリエステル・ビニールなどつるつるした素材の衣類を身につけましょう。

4-5.注意点

花粉症の人が合併しやすい疾患に、口腔(こうくう)アレルギー症候群(OAS)があります。口腔(こうくう)アレルギー症候群はものを食べた瞬間、口・のど・唇のかゆみやピリピリ感が起こるアレルギー症状です。植物アレルギーの一種でもあります。もし、アレルギーを起こしやすい卵・小麦・乳製品・甲殻類などを食べて症状が出てきたら、すぐに食べるのをやめてください。そして、病院でしっかりと検査してもらいましょう。

5.春のアレルギー予防法

春のアレルギー症状が悪化しないためにも、自分でできる予防を心がけることが大切です。

5-1.予防法とは

春のアレルギーはほとんどが異物を体外から出すことで起こる症状です。そのため、毒素をいかにスムーズに排出できるかどうか、アレルゲンを体内に取り込まないようにするかが予防のポイントになります。自分でできる予防法はたくさんあるので、できることから実践してみてください。

5-2.食べものと栄養素

食事は免疫力を高める栄養素を摂取することが大切です。すぐに炎症が起きない強い粘膜をつくるためにも、栄養バランスが整った食事を心がけてください。特に、ビタミンA・ビタミンC・たんぱく質の3つの栄養素が大切です。ビタミンAは汗腺や皮脂を正しく分泌させる効果があり、アレルギー物質を体内に入りにくくさせます。ビタミンCは粘膜や皮膚の代謝・再生を促し、たんぱく質は皮膚や粘膜の素材をつくる栄養素です。それぞれの成分が含まれている食材を以下にピックアップしてみました。

  • ビタミンA:レバー・うなぎなど
  • ビタミンC:キウイ・レモン・ブロッコリ―・小松菜・ほうれん草など
  • たんぱく質:肉・魚・乳製品・大豆など

5-3.生活習慣

規則正しい生活習慣はアレルギー予防の基本です。基盤となる生活がきちんとしていなければ、アレルギー症状は一向に治りません。特に、睡眠は免疫力をアップさせストレスを軽減させる大切なものです。早寝早起きを心がけ、できるだけ毎日7時間以上の睡眠をとってください。

5-4.空気清浄機・加湿器の活用

部屋の中にアレルゲンが漂っていると、体内に入り込んでしまいます。そのため、空気洗浄機を活用するのも予防策の1つです。花粉が入り込みやすい玄関やホコリ・ダニが発生しやすい寝室などに置くといいでしょう。また、空気の乾燥は粘膜の炎症につながるため、加湿器を上手に使ってください。部屋の湿度は40%~60%が好ましいです。

5-5.注意点

あなたは定期的に部屋の掃除をしているでしょうか。花粉や黄砂は窓をあけると室内に入り込んでしまいます。部屋の中でアレルゲンにさらされることのないよう、定期的に部屋を掃除してください。掃除はホコリやダニの死がいなどのアレルゲン物質を減らすことにもつながります。最もリラックスできる自宅は、常に清潔な状態にしておきたいですね。

6.アレルギーの治療について

自分でできる予防や対策はもちろんのこと、症状を和らげるためには病院での治療も必要になるケースがあります。どんな治療を行うのか、詳しく見ていきましょう。

6-1.受診すべき症状は?

くしゃみ・鼻水が止まらない・鼻づまりがひどくて夜眠れないなど、生活に支障が出てきている場合はすぐに病院を受診してください。また、自分で対策を立てても一向に症状が治まらないときも同じです。病院で原因を突き止め、適切な治療を受けたほうが症状が和らぎます。今以上に悪化しないためにも、できるだけ早めの治療が大切です。

6-2.どんな治療法があるか

病院で行う治療は、薬物療法・鼻粘膜焼灼術・免疫療法が主流です。薬物療法には抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬・鼻噴霧用ステロイド薬の3種類が使われます。どれもくしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状に効果的です。鼻粘膜焼灼術は、レーザーやラジオ波などを鼻粘膜に照射してアレルゲンが吸着するのを防ぎます。効果は抜群ですが、永久的なものではありません。3年以上経過すれば、効果が薄れていきます。そして、免疫療法はアレルゲンを低い濃度から体内に取り入れていき、免疫をつける方法です。近年は、舌下免疫療法に注目が集まっています。

6-3.病院の選び方

春のアレルギーに対して治療を行っている病院は多数存在しています。どこの病院を受診すればいのかわからない場合は、以下の項目に注目してみてください。

  • 春のアレルギーの知識や治療経験が豊富か
  • 原因や治療内容について丁寧に説明してくれるか
  • 治療内容の選択肢が多いか
  • スタッフの対応がいいか
  • 評判や口コミをチェックする

6-4.処方薬について

病院で処方してもらう薬は、経口薬と点鼻薬に大きくわけることができます。経口薬は、抗ヒスタミン薬・ステロイド薬・化学伝達物質遊離抑制薬・ロイコトリエン拮抗薬などです。点鼻薬は、鼻用ステロイド薬・抗コリン薬・血管収縮薬・漢方薬などが挙げられます。症状や体質をきちんと踏まえたうえで処方してくれるため、市販薬よりも効果が期待できるでしょう。疑問点や気になる点があれば、医師や薬剤師に尋ねてください。

6-5.漢方薬について

病院で漢方薬を処方されることもあります。漢方薬は体質改善を目的としているため、アレルギー体質の方でも少しずつ改善できる可能性があるのです。春のアレルギーに効果的な漢方薬は以下のとおりになります。

  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう):花粉症に効く代表的な漢方薬。鼻水やくしゃみがひどい症状に効果がある
  • 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい):鼻づまりを強く出ているときに効果的
  • 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):寒気や倦怠感を伴うときに効果的

以上の漢方薬は、多くの耳鼻科で処方されている漢方薬です。念のために、処方される漢方薬は保険が適用できるのか確認してみてください。

6-6.注意点

毎年花粉症になる人は、花粉が飛散する1~2週間前から医療機関で抗アレルギー薬を処方してもらいましょう。花粉症は症状が出始めてから治療するよりも、その前から開始することが大切です。すぐに効果は現れないかもしれませんが、服用し続けることでアレルギー症状が和らぐ可能性はあります。

7.春のアレルギーに関するよくある質問

春のアレルギーにかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.花粉の飛散時期はいつになりますか?
A.春のアレルギーの原因となる花粉はスギ科・ブナ科・カバノキ科・イネ科があります。最も多いスギ科は2月~5月下旬、ブナ科は4月~6月、カバノキ科は4月中旬~6月上旬、イネ科は4月~10月中が飛散時期です。

Q.鼻粘膜焼灼術の治療費はいくらかかるのか?
A.鼻粘膜焼灼術を行う場合、平均費用は1回およそ9,000円~2万円です。あくまで保険適用3割負担となった場合の金額となります。医療機関によって具体的な費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。

Q.病院を受診するときは何科に行けばいいのか?
A.春のアレルギーの場合、ほとんどの方が耳鼻咽喉科を受診します。風邪を疑う場合は内科を受診することもありますが、原因がアレルゲンとわかれば耳鼻咽喉科をおすすめされるので安心してください。

Q.舌下免疫療法とはどういうものですか?
A.スギ花粉に効果的といわれている舌下免疫療法は、アレルゲンを含むエキスを舌の下に投与して体内に吸収させる方法です。継続的に行うことで症状を和らげることができます。治療期間は最低2年間程度、毎日1回続けていかなければなりません。

Q.アレルギー症状の手術は入院しなければならないのか?
A.症状や手術内容・病院によって異なりますが、日帰りでできる手術もあります。たとえば、「川村耳鼻咽喉科クリニック」の場合、粘膜を焼く手術などは日帰りで可能です。開院後の9年間で2300例以上の手術を行っており、実績と専門的な知識で的確かつ素早くできます。

まとめ

いかがでしたか? 春のアレルギーとして代表的なのが、花粉症・黄砂・寒暖差アレルギーの3つです。花粉症と黄砂はアレルゲン(異物)の混入が原因となりますが、寒暖差アレルギーは鼻粘膜への刺激が原因となります。症状を和らげるためには、なぜ起きているのか原因を突き止めなければなりません。原因がわかれば適切な治療法・対処法も知ることができます。また、食生活や不規則な生活習慣は症状を悪化させる要因です。アレルギー症状を抑えるためにも、自分でできる対策を心がけていきましょう。