耳の腫れは中耳炎や突発性難聴かも? 耳鼻咽喉科の受診で治療しよう

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
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耳はまれに腫れることがあります。腫れとともに痛みを感じ、しこりのようなものが現れることもあるでしょう。特に痛むのは、耳の後方です。目立つ場所ゆえ、気になることも多いと思います。痛みがあれば、日常生活でも過ごしにくさを感じるはずです。

「耳の中に異常があるのでは?」「どうしたら治るのだろうか?」など、不安になることがあります。耳が腫れるのは、原因となる病気があり、きちんと治療することで腫れは引いてくるのです。また、腫れは、耳たぶ・内側・外側・後方など、さまざまな部位があり、特徴や症状などは知っておくといいでしょう。
今回は、耳の腫れや治療についてご紹介します。

  1. 耳の腫れについて
  2. 耳の腫れから考えられる病気とは? 
  3. 耳の腫れにかんするセルフチェック
  4. 耳が腫れたときの治療方法
  5. 耳が腫れたときのセルフケアについて
  6. 耳の腫れにかんするよくある質問
  7. まとめ

耳が腫れても痛みがない場合、放置してしまう方もいます。しかし、何らかの病気である可能性も視野に入れ、適切な処置をしておきましょう。適切な治療で耳の腫れは改善します。セルフケアなども覚えておき、早期回復に向けたポイントとしてください。 

1.耳の腫れについて

耳そのものが異常を起こしている場合や、隣り合うリンパ節に異常がある場合もあります。耳の腫れにはどのような種類があるのかを見ていきましょう。

1-1.耳の腫れとはどんな症状なのか?

部位別に耳の腫れについてご紹介します。

1-1-1.耳たぶが腫れる

耳たぶは、耳で最も柔らかい場所です。しこりのようにコリコリしたものができ、痛みを生じます。ピアスの穴空(あ)けがきっかけで発症する場合や、粉瘤(ふんりゅう)と呼ばれる老廃物の蓄積が原因となっている場合もあるでしょう。

1-1-2.耳の外側が腫れる

耳の外側は、耳介と呼ばれる軟骨組織です。軟骨膜に炎症を起こし、腫れや痛みを起こしています。赤みや熱っぽさを感じる場合もあるでしょう。

1-1-3.耳の内側が腫れる

耳の内側には、外耳・中耳・内耳といった組織があります。内側が腫れた場合、引っ張ると強い痛みを感じるでしょう。外耳炎や中耳炎などの可能性もあります。耳かきをやり過ぎて、耳の中に炎症を起こす場合もあり、自然治癒が多いものの、中には膿(うみ)や出血を伴って、炎症が広がる可能性もあるので注意が必要です。

1-1-4.耳の後ろや周囲が腫れる

耳はリンパ節とつながっているため、リンパ節の炎症で耳の後ろが痛むことがあります。耳周辺が痛むのは、耳下腺の腫れによるものです。おたふく風邪などが原因となっている場合もあります。

2.耳の腫れから考えられる病気とは? 

耳の腫れには、病気が関連している可能性が高いものです。中耳炎やリンパ節炎、感染拡大が心配されるおたふく風邪なども原因となっています。ご自身の症状と照らし合わせ、受診時のポイントとしてください。

2-1.耳の腫れに関連する病気と原因

2-1-1.リンパ節炎

前述したとおり、耳とリンパ節は関連があるため、風邪などで免疫力が低下し、リンパ節炎に発展することがあります。耳の周辺や後方が痛むのは、リンパ節の腫れが原因です。

2-1-2.おたふく風邪

高熱・鼻づまり・食欲減退などの症状が併発しているときは、ムンプスウイルスに感染しておたふく風邪にかかっている可能性があります。両耳の耳下腺が腫れるのが特徴で、まれに片側だけに留(とど)まる症例もあり、耳鼻咽喉科への受診が必要です。

2-1-3.外耳炎

外耳は、鼓膜まで続くとおり道です。外耳炎の主な症状は、耳垂れ・ひりひりした感覚・引っ張ったときの痛みなどとなっています。自然治癒するケースも多い一方、長引くようなら耳鼻咽喉科への受診が必要です。

2-1-4.耳介軟骨炎

耳の外側にある軟骨に炎症が起こり、腫れ・しこり・変形などが起こります。発症原因として、耳介軟骨の圧迫やピアスによる刺激が考えられ、まれに出血を伴う場合もあるでしょう。細菌感染による炎症もあり、進行するとヘルペスを併発する恐れもあります。

2-1-5.突発性難聴

聞こえが悪くなり、耳の閉塞感を抱くのが、突発性難聴の特徴です。原因となるのは、ストレスや疲労も関係があるとされています。突発性難聴は大きくわけて2種類です。耳垢(あか)が溜(た)まることで起こる伝音難聴や、大音量で音楽を聴いた後に起こりやすい感音難聴があります。片側の発症が多い病気です。

2-1-6.メニエール病

メニエール病は回転するようなめまいや吐き気などを感じる病気で、内耳の異常が原因となっています。ストレスや過労が重なると発症し、進行しやすい病気であるため、注意が必要です。聴覚異常により、難聴を発症する可能性もあります。

2-1-7.中耳炎

鼓膜より先にある組織を、中耳と呼んでいます。ウイルスや細菌感染により、風邪から進行して中耳炎になることもあるでしょう。鼻づまりがひどく、長引く場合は中耳炎にならないよう警戒が必要です。耳の腫れ以外に、鼻血や耳垂れが起こります。中耳に膿(うみ)が溜(た)まるため、痛みや閉塞感などが併発するものを滲出(しんしゅつ)性中耳炎と呼び、適切な処置を怠った場合、鼓膜に異常を示す場合もあるでしょう。

2-2.耳の腫れにかんする主な治療法

ストレスや疲労が原因である、突発性難聴やメニエール病の治療は、まず体をゆっくり休めることが重要となります。リンパ節炎も同様で、休息が必要です。メニエール病は吐き気止めやめまい止めを使い、必要に応じて精神安定剤を併用する治療も行います。
おたふく風邪は、ウイルスによる感染であるため、抗生物質では改善できません。耳が痛いときに対症療法として、痛み止めや解熱剤を使い、経過観察をしていきます。
中耳炎の治療は消炎鎮痛剤で痛みや腫れを解消し、腫れがひどい場合は抗生物質の投与が必要です。鼻づまりの解消に、鼻水を排出する薬の処方がなされます。
耳介軟骨炎も中耳炎と同じような処方となり、消炎鎮痛剤の投与と合わせ、患部を冷却すると効果的です。重度の耳介軟骨炎では、ステロイド軟膏(なんこう)が処方されることもあります。

2-3.耳の腫れを放置した場合はどうなるか? 

耳の腫れは、大人の方が進行しやすく、重症化する恐れがあります。難聴や耳鳴りといった別の症状も出現し、治りにくくなってしまうでしょう。病気は早期発見が重要です。耳の腫れ以外に症状がないかを確認するためにも、耳鼻咽喉科へ早めに受診してください。

3.耳の腫れにかんするセルフチェック

耳の異常は、なるべく早めに気づくことが大切です。中耳炎は高熱を伴う場合もあり、治りにくくなってしまいます。受診前のセルフチェックとして、下記の症状がないかを確認してください。

  • 耳垂れがある
  • 耳鳴り・めまい・吐き気の症状がある
  • 片側の耳に閉塞感を抱く
  • 発熱・鼻づまりなど風邪に似た症状を伴う
  • 鼻血が出る
  • 耳かきをしていて出血する
  • 耳が痛い

4.耳が腫れたときの治療方法

耳の中まで痛む場合、耳鼻咽喉科を受診しなければと考えることでしょう。しかし、耳の軽い腫れなら、自然治癒すると思ってしまう場合があります。まれに、重大疾患の前触れであることも考えられるので、異常を感じたら受診が必要です。耳の腫れにかんする治療方法などをご紹介します。

4-1.耳の腫れで受診すべき症状とは? 

耳垂れは内部で膿(うみ)が溜(た)まって起こるもので、放置すると炎症が広がり、難聴になる恐れもあります。耳の後方が腫れるのは、リンパ節の炎症であり、感染症にかかっているサインです。早期治療で長引かないようにしなければなりません。
高熱や耳の閉塞感なども放置せず、すぐに受診してください。熱が出るのは、体内にウイルスや細菌が侵入し、耳の中だけではなく、全身に影響を与えている証拠です。悪化する前に、治療を開始しましょう。耳の閉塞感を放置すると、治りが悪くなり、聴覚低下を招く恐れがあります。

4-2.耳の腫れにかんする治療について

病気の種類で治療方法はわずかに変わります。外耳炎や中耳炎では、消炎鎮痛剤・抗生物質・抗ヒスタミン剤などです。突発性難聴は、聴力回復のためにビタミン剤を使うことがあります。リンパ節炎は、抗生物質の投与と併発する感冒症状の対症療法がメインです。
耳介軟骨炎では、患部の冷却を軸に、広範囲に効果を示す抗生物質と痛み止めで治療を行い、症状が進んでいるものにはステロイドを投与します。
メニエール病の場合、めまいや吐き気を抑える薬・精神安定剤・血流を促すビタミン剤などを主に使い、慢性化した場合は利尿剤で体内の水分を出す処置が行われるでしょう。

4-3.耳の腫れに使う薬の種類

耳の腫れに使う薬の種類をご紹介します。

  • 消炎鎮痛剤(痛みを止めて、炎症を鎮める作用があります)
  • 抗生物質(細菌による感染を治療する薬です)
  • 抗ヒスタミン剤(かゆみを止める作用があります。アレルギー症状にも効果的です)
  • ビタミン剤(主にビタミンB12が使われます)
  • ステロイド(炎症を鎮める強い作用が特徴です)
  • めまい止め(めまいを抑え、ふらつきや浮遊感をなくします)
  • 吐き気止め(めまいに伴う吐き気を抑えます)

薬には副作用があり、抗生物質は長く使用すると耐性菌ができてしまいます。期間を定め、処方された薬を服用した後に、再受診して症状の改善を確認することが大切です。
抗ヒスタミン剤は、眠気・体重増加・口の渇きなどが副作用としてあります。ステロイドも同様ですが、短期間の服用ならさほど心配ありません。

4-4. 耳鼻咽喉科の選び方

耳の腫れは、出血や膿(うみ)を併発する病気もあります。耳鼻咽喉科は、検査態勢が整い、必要に応じて手術もできるところを選びましょう。画像診断なども行い、正確な診断ができることも大切です。
さまざまな疑問や不安にも、専門医の視点でしっかり応えられ、治療方法などの説明も丁寧にしてくれることも重視しましょう。

5.耳が腫れたときのセルフケアについて

耳の腫れは治療も重要です。しかし、自己管理で早期回復できることもあります。セルフケアについても覚えておきましょう。

5-1.耳のケアを自分でするなら? 

耳垢(あか)が溜(た)まっている場合、耳掃除できれいに取り除(のぞ)きましょう。ただし、耳垢(あか)は何度もこすることで炎症が起こります。適度に留(とど)め、取り過ぎないことが大切です。
温度差も耳の痛みや耳鳴りを助長するため、首を温めて保護するといいでしょう。気圧も注意が必要で、エレベーターに乗ると耳の閉塞感を抱くことがあると思います。唾液を飲み込むなど耳抜きはしておくと安心です。
耳下腺が腫れているときは、首元を軽くマッサージして血流の改善を促してみてください。炎症がある場合は、冷却が必要となることもあります。主治医の判断に従い、自宅でのセルフケアに生かしてください。

5-2.セルフケアで薬は使ってもいい? 

耳の病気は、長い場合は1か月以上治療を要します。自分で薬を併用する前に、飲み合わせは主治医に判断してもらってください。サプリメントなども同様です。処方薬以外で飲み合わせが悪いものがあったら、副作用や相乗効果などにより、気分が悪くなり、より症状が悪化する恐れもあるでしょう。

5-3.耳が腫れているときに自分でやってはいけないこと

難聴の原因は、ヘッドホンなどで大音量の音楽を聴くことがきっかけとなる場合もあります。なるべく音量は下げ、耳に障害が起こらないよう工夫しましょう。
耳が腫れているときは、ピアスも避けてください。炎症が広がり、耳たぶの痛みが増します。かゆみがあるからと、かきむしるのも逆効果です。抗ヒスタミン剤や処方されたかゆみ止めの軟膏(なんこう)などを使い、自宅でのケアをしてください。

5-4.子どもの場合はセルフケアをどうすべきか? 

子どもは耳が痛いと触ってしまい、炎症がひどくなることがあります。なるべく触れないよう注意し、耳垢(あか)が溜(た)まったら、耳鼻咽喉科で取り除(のぞ)く処置をしましょう。鼻づまりも同じで、子どもの鼻水は自宅でもこまめに吸引し、耳鼻咽喉科でも処置をしてもらうようにしてください。

6.耳の腫れにかんするよくある質問

耳の腫れは、生活していく中で困る場面が多いものです。難聴は自分の声が反響して聴こえるなど、過ごしにくさも感じます。耳の腫れにかんする質問集を、治し方のポイントにしてみてください。

Q.ピアスをして腫れた場合は冷却するべきか? 
A.ピアス後に消毒をこまめにし、炎症部位は冷やすといいでしょう。化膿(かのう)し始めたら、耳鼻咽喉科を受診し、適切な処置を受けてください。

Q.メニエール病では食事にも注意すべきか?
A.ビタミン剤の処方が多い病気です。普段から、食生活に食物繊維やビタミンを多く含む食材を、バランスよく取り入れてみてください。

Q.おたふく風邪なら耳下腺を冷やした方がいい?
A.耳下腺の腫れが起こる病気で、炎症により痛みが激しくなる場合もあります。首元を冷やすことで楽になり、腫れも一時的に引いていくでしょう。

Q.耳の腫れがあるときは飲酒してはいけない?
A.アルコール摂取は避けてください。特に、めまいや吐き気を伴う症状がある場合、転倒や意識混濁なども起こりやすくなります。耳の腫れが治るまで飲酒は止めましょう。

Q.外耳炎は耳栓でも起こるもの?
A.耳栓でも起こります。耳に合うものを選び、違和感を抱かない工夫をして予防しましょう。ただし、音量には注意してください。感音難聴になる恐れがあります。

7.まとめ

いかがでしたか? 耳の腫れには、さまざまな病気がかかわっていることがわかりました。特に注意したいのは、耳垂れや聴こえの悪さです。放置したため、難聴になり、炎症が広がってしまうと、治癒が遅くなります。普段とは違う症状があり、耳の腫れを感じるようなら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳鼻咽喉科は、検査や手術などの態勢が整っていて、診断技術が高いクリニックを選ぶと安心です。治療は早めに始め、症状が長引かないようしっかり処方薬を服用します。セルフケアでは、炎症がある場合は冷却を、気温差による首の痛みにはマフラーなどで温めるなど、工夫が大切です。耳かきのやり過ぎも注意しましょう。重大な疾患が隠れていることもあるため、早期受診を心がけてください。