鼓膜が破れる4つの原因とは? 対処法とともにご紹介しましょう。

川村耳鼻咽喉科クリニック院長 川村繁樹

記事監修
川村耳鼻咽喉科クリニック 院長 川村繁樹
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

私たちの耳が聞こえるのは、「鼓膜」という器官があるからです。
膜という名前のとおり薄いものですから、何かの拍子に破れることも珍しくありません。
そこで、今回は鼓膜が破れる原因と対処法についてご紹介します。
鼓膜が破れると耳が一生聞こえなくなる、と思っている方もいるでしょう。
しかし、鼓膜が破れても慌てることはありません。
でも、そのまま放っておいてもよくないのです。
今回は鼓膜が破れた際の注意点もご紹介しましょう。
興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 鼓膜の役割とは?
  2. 鼓膜が破れる原因とは?
  3. 鼓膜が破れるとどうなるの?
  4. 鼓膜が破れた場合の治療法とは?
  5. おわりに

1.鼓膜の役割とは?

鼓膜は、外耳(耳の穴)と内耳を隔(へだ)てている器官です。
薄い膜状をしており、外耳がから入ってきた音を振動として受け止め、内耳に伝える役目を担(にな)っています。
また、鼓膜は内耳と外耳の空気圧が同じときはピンと張っていますが、空気圧のバランスが崩れるとどちらかへ大きくへこむでしょう。
トンネルの中に入ったり、飛行機が離陸したりする際に耳が痛くなるのは鼓膜がへこむからなのですね。
また、鼓膜の厚さは約0.1ミリしかありません。
ですから、私たちが思っている以上に鼓膜は破れやすいのです。
では、鼓膜が破れる原因には、どのようなものがあるのでしょうか?
それを次の項でご紹介します。

2.鼓膜が破れる原因とは?

この項では、鼓膜が破れる原因をご紹介します。
鼓膜が破れると当然耳は聞こえにくくなりますが、気がつかないうちに破れている場合もあるのです。

2-1.病気

中耳炎にかかると、内耳の中に膿(うみ)がたまります。
内耳は鼻とつながっていますが、たまった膿(うみ)は鼻からではなく、鼓膜を破って外耳側へ出ることも多いのです。
鼓膜が破れる際は痛みがあるため、赤ちゃんなどは激しく泣くこともあるでしょう。
それがきっかけで中耳炎だと分かった、というケースもあります。
なお、鼓膜が破れて膿(うみ)が出ると外耳からどろっとした耳垢(みみあか)のようなものが出てくることもあるでしょう。
また、内耳の中に膿(うみ)がたくさんたまっている場合は、医師が鼓膜を切開して膿(うみ)を排出することもあります。

2-2.衝撃

耳を強くたたかれたり、爆発による衝撃波と爆風を浴びたりした場合も鼓膜は破れます。
格闘技などで耳を強くたたかれるケースは意外と多く、ボクシングや剣道の経験者は鼓膜が破れたことのある人が少なくありません。
また、ガス爆発などがすぐ近くで起こると、その衝撃で鼓膜が破れることもあるのです。

2-3.外傷

鼓膜というのは、案外外耳の浅い部分にあります。
ですから耳かきのし過ぎで鼓膜を破ってしまう人もいるのです。
また、虫が耳の中に入りこむと鼓膜が傷ついて破れてしまうこともあるでしょう。

2-4.気圧の変化

飛行機に乗っていたり海に潜ったりすると気圧が急激に変化して、鼓膜が耐えられずに敗れてしまうこともあります。
旅客機ではめったに起こりませんが、戦闘機などで急上昇、急降下をくりかえすと鼓膜が破れることが多いそうです。
また、ダイビングをして耳抜きがうまくできないと、鼓膜が破れてしまうこともあります。

3.鼓膜が破れるとどうなるの?

映画やドラマなどでは、鼓膜が破れると一切の音が聞こえなくなるような描写がされていることもあります。
しかし、実際は鼓膜が破れた瞬間に音が全く聴こえなくなる、ということはありません。
鼓膜が破れると、強い痛みを感じます。
次に、周りの音が聞こえにくくなったような感じがするでしょう。
水の中で音を聴いたようにくぐもって聞こえたり、ざわざわとしていて聴き取りづらくなったりします。
しかし、鼓膜の破れが小さければ、聴こえにくさにも気がつかない場合もあるのです。

4.鼓膜が破れた場合の治療法とは?

では、鼓膜が破れてしまったらどうすればよいのでしょうか?
この項では、鼓膜が破れた場合も対処法をご紹介します。

4-1.まずは耳鼻咽喉科を受診しよう

激しい痛みを感じた後に耳が聴こえづらくなったら、鼓膜が破れている可能性があります。
そのような状態になったら、まずは耳鼻咽喉科を受診してください。
医師が鼓膜を診察すれば、破れているかどうかはすぐに分かります。

4-2.自然治癒を待つ

鼓膜が破れている場合は、基本的に自然治癒を待ちます。
鼓膜は再生しますので、一度破れてしまったら一生耳が聴こえなくなるということはありません。
1週間~10日もすれば鼓膜は再生し、聴覚も元に戻るでしょう。
ただし、鼓膜が破れているときは外耳から内耳へ雑菌が入りやすくもなっています。
ですから、炎症を防ぐために点耳薬を使ったり抗生物質を服薬したりするのです。
また、耳掃除もやめてください。
プールなど外耳に水が入るようなこともダメです。
耳鼻咽喉科によっては経過を観察し、きちんと聴覚が戻っているかどうか聴力検査をすることもあるでしょう。

4-3.大きく鼓膜が破れた場合は、再生手術が必要

しかし、衝撃などが原因で鼓膜が大きく破けてしまった場合は、鼓膜の再生手術が必要です。
手術といっても短時間で終わりますから、安心して受けてください。
手術を受ければ鼓膜の再生もスムーズに行くでしょう。

4-4.耳掃除には気をつけて

耳掃除で鼓膜を破ってしまったという人は少なくありません。
特に、子どもは外耳が短く細いので鼓膜をうっかり破ってしまう親が多いのです。
耳掃除が好きな人は、耳がかゆかったりすると、ついがりがりと耳かきでかきたくなるでしょう。
しかし、耳掃除は1か月に2~3度やれば十分なのです。
赤ちゃんや子どもでも、同じ頻度で大丈夫でしょう。
赤ちゃんや子どもの耳の中に大きな耳垢(みみあか)を発見した場合は、無理して取らずに耳鼻咽喉科を受診してください。
医師が専用の器具を使ってじょうずに取ってくれるでしょう。
また、中耳炎が原因で鼓膜が破れると、耳から膿(うみ)が大量に出てきて驚くこともあると思います。
しかし、この場合も焦らなくても大丈夫。
ガーゼなど清潔で柔らかい布で膿(うみ)をふき取り、耳鼻科咽喉科を受診してください。
夜間の場合は、そのまま朝まで様子を見ていましょう。
子どもがひどく痛がるのなら、保冷剤などで耳を冷やしてあげてください。
耳の痛みは冷やすとましになるのです。
治療後は、外耳に水が入らないように注意して生活しましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は鼓膜が破れる原因と対処法についてご紹介しました。
まとめると

  • 鼓膜は思っている以上に破れやすい。
  • 中耳炎の治療の際に、わざと鼓膜を切開する場合もある。
  • 鼓膜が破れた場合は、自然治癒を待つことが多い。
  • 大きく敗れた場合は再生手術が必要。

ということです。
鼓膜が破れた、というと大変なことのように思えます。
しかし実際は、慌てる必要はありません。
感染に気をつけながら普通の生活を送っていれば、10日後には再生するでしょう。
しかし、鼓膜が破れるときはかなりの痛みがあり、その後の生活も何かと不便です。
ですから、格闘技をやっている方は耳のけがには十分注意してください。
また、小さい子どもは風邪をひくと中耳炎を併発することが多いです。
鼻水がたくさん出る風邪をひいたら、元気そうでも耳鼻咽喉科を受診して治療を受けましょう。
中耳炎の予防にもなりますし、早期発見もできます。
さらに、前述したように耳掃除はほどほどにしておいてください。
耳をかきすぎると鼓膜が破れる危険とともに、外耳炎を発症する可能性もあります。
こちらも大変な痛みをともなう病気です。気をつけましょう。